節電社会のつくり方 スマートパワーが日本を救う! (角川oneテーマ21)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 59
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102927

作品紹介・あらすじ

日本の送電網、実は7割がロスするだけ。日本の電力システムは世界基準から取り残されている。柏崎刈羽・チェルノブイリが教えるもの。日本型スマートグリッドの基本的な仕組み。"一億総発電所"で収入も増える。エネルギー革命はビジネスチャンスの宝庫。日本の未来を照らす新しい電力のしくみ。

感想・レビュー・書評

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  • 2020年にピークオイル(物理的な枯渇前に採算ベースから生じる経済的枯渇)
    火力60原子力30他10%(発電段階で6割捨てている)
    北欧は電力取引所で(ノルドプール)
    通常家庭の消費電力は2割程度だが、ピーク時は4割で産業用と逆転する。そこで!
    スマートグリッド(情報通信技術を取り入れた新しい電力網)の活用。
    電力の地産地消、コジェネ(1つの燃料から複数のエネルギーを取り出すシステム)
    SFや精神論ではなく、実現可能な建設的な話でした。201412

  • 次世代の電力供給網として期待されているスマートグリッドですが、東日本大震災後は俄然注目されるようになってきました。自分が初めてスマートグリッドの話を聞いたのは、2009年に埼玉に引っ越してきてすぐに参加した勉強会で、グーグルがこの事業に興味を持っているという話でした。そのときはグーグルは何屋になりたいのかと疑問に思ったのですが、ウェブと同じような形の電力供給網を、すでにかなり具体的に想定していたのですね。

    大震災後、というよりは福島第一原発の事故後、電力供給のあり方が問われています。自由化や発送電分離といった競争を促進する施策もありますし、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギー、そして本書で取り上げているスマートグリッドといった新しい仕組みの導入も提案されています。
    財政難とねじれ国会で政治は動けず、5月には国内の全原発が稼働を停止し、再稼働も地元の理解が得られていない状況です。何の施策もなく、節電だけでこの夏を乗り切ることになります。電力不足で大規模停電に陥る地域が出る可能性もありますが、この夏を乗り切った後、ようやく国民が危機感を持って次世代の電力網のあり方を真剣に考えるようになる、……といいですね。

    本書で紹介されている、スマートメーターについて。
    家庭の電力消費を、従来のように1か月ごとの積算でとらえるのではなく、いつどれだけ使ったかを記録しておける装置が、スマートメーターと呼ばれるものです。スマートメーターを導入することで、電力消費の多い昼は高く、夜は安くといったきめ細かい料金設定を行ったり、家庭内の電気機器を管理したりできるようになります。家庭で太陽光などの発電、売電を行う場合も、スマートメーターに情報が蓄積されていくものと思われます。
    反面、電力の細かな使用状況が電力会社に知られるところとなるため、プライバシーの問題が起こることが懸念されています。自分は認識していなかったのですが、たしかに利便性と情報漏洩は裏表の関係ですし、将来スマートメーターが普及したときに問題になってくるかもしれません。

    こういったスマートメーターを各家庭に導入し、複数の電力供給源を組み合わせた電力網(スマートグリッド)を実現する地域が、社会実験としてではありますがいくつか出てきています。まだ実験は始まったばかりですし、市全体といった広い地域での導入を行ったところはありませんので、スマートグリッドが普及するとしても、あと十数年はかかるのかもしれません。とはいえ、歩みを止める必要はなく、着実に問題点を洗い出し、インフラとして日々の生活に耐えうる品質の電力網を作り上げてほしいものです。
    当面は(1)大規模な節電、(2)シェールガス、メタンハイドレートといった新しいエネルギー源の開発、そして(3)再生可能エネルギーの実用化、といった流れになるのでしょう。スマートメーターの活用は、(2)(3)と並行した流れになるかと思います。
    原発が利用できれば電力需給は楽になるのですが、世論は生活に影響が出ても原発を利用しないことを選んでいますし、私たちも原発再稼働はできないことを前提に、次世代のエネルギー問題を考えていく必要があります。

  • 本書は(社)スマートプロジェクト設立の元通産省役人の著者が、自らの団体と一緒にエネルギーのスマート化を進めることで節電社会を作っていきましょう、と呼びかけている本です。全体的に役人的なコンセプトペーパーのきらいは否めませんが、関連情報を提供してくれると言う意味はあるかもしれません。例えば、

    ○ 日本のエネルギー源の64%は捨てられている。これは山奥につくった発電所からの長い距離による送電ロスと発電プロセスでの電力変換効率が半分以下で後は熱として逃げているため。これは他国でも同様で米国で62%、イギリスで63%、フランス72%、そして中国は78%といずれも高い数字。

    ○ 分散型エネルギーとはこのような一極集中型発電のロスを減らすために、地域地域で創エネをすることでエネルギーの有効利用と自立が図られるというもの。再生可能エネルギーは消耗する化石燃料との対比で人類の目から見れば無限に生み出せるエネルギーのこと。

    今後の節電社会は、再エネ、スマートメーター、国・地域・コミュニティの三層構造となったスマートグリッド、蓄電池、コジェネを活用したスマートプロジェクトにより実現されると提唱しています。そのコンセプトを紙に落とすと以下のようになるとか。

    また、リアルタイムで電力需給を把握・調整できる仕組みを活用すれば、リアルタイムの料金設定などで節電を促すことができ、ライバル会社間での競争により料金費用負担の削減も期待できる。そのためにも、アメリカ競争社会のように配電・発電の自由化を認めるべきとの考えも述べています。

    行政に求められるのはこのような自由化の制度に変えることなどの制度作りや、インフラ導入のための導入補助や安心して参入してもらうための債務保証などの支援が必要と考えているようです。
    (イギリスではスマートメーターの設置が義務付けされたことや、EUではコジェネ導入目標を定めているという情報も載っていました。)

    この分野について、現在は「スマート」という言葉が先行している状況で、実際何をするとどれ位の効果があるのか、それを推進するならばどのような体制でやっていくのか、などについて未だ検証段階の気がしますので、進んでいると言われる欧米の状況も含め、分かりやすい説明と理解が重要で、その上で国・地域・コミュニティがどのように主導して進めていくのか、それぞれの整合性も考えていくことになるのでしょう。

  • 同じことを繰り返し述べています。特に蓄電池推し半端ないなと思いました(笑)手始めの1冊でも物足りないかなと感じます。スマートシティ、スマートグリッドについて詳しく知りたい方は別の本を読んだほうがいいかもしれないです。僕はスマートグリッド?なにそれおいしいの?っていう人だったので、へぇ~と思うところはありましたが。ビギナー中のビギナーが読む本ですね...多分。ざっくり書かれているので、読むスピードがそんなに早くない人でも2時間ぐらいで読めると思いますよ。

  • 2030年ごろまでの電力網として、約3割の基幹系を原子力で賄い、その上に分散型電源を取り入れたコミュニティグリッドを二段階に構築する三層構造がいいとする。コジェネの有用性などにも触れてはいるが、あとは相変わらずスマートグリッドのオンパレード。従来の筆者の書と差ない。大震災をきっかけに節電というキーワードを強調しただけ。

  • 経産省出身の加藤敏春氏のスマートグリッドについての本。やや広告を兼ねすぎとの印象を持った。内容としては、節電の必要性やスマートグリットの中身、そして著者が行うスマートプロジェクトなどについて説明していた。お世辞にもそこまで説明がうまいとは思えず、また節電を行うという方向性には基本的には賛成であるものの、それを呼び掛けるための比喩的表現は評者のセンスの範疇を超えていた。一つ特筆すべき点は、著者がエコポイントを提唱したということである。経産省の試算では5兆円とあるが、所得効果や代替効果を織り込んだものであるかは不明である。ただし、消費財の中身を社会的に良いとされるものに上手にシフトさせた点と環境に対する意識を具体的に消費という形に落とすようにプッシュさせたという点では評価できる。

  • 2011年6月に発刊された新書。スマートプロジェクトを提唱する筆者の節電で縮み志向に陥りがちな発想ではなく、分散型のマイクログリッドを張り巡らした電力ネットワークを駆使した手法でのぞむべきという主張。原子力は今後も20年間は基幹電力として有用で、これに早く先述のネットワークが層状に重なるべきという。明るくわかりやすい論調だが、後半がどんどん楽観的になるので読むのであれば前半まで。

  • 著者はアイデアマン。
    エネルギー革命はIT革命に続く21世紀の波になる。

  • 今のエネルギーの需給の問題やスマートグリッドについてとてもわかりやすく解説されている本です。もともと、著者は地域通貨を提唱されていた方という印象だったので、どうしてこのような本を書かれたのかなぁと思っていましたが、「エコポイント」という手法での国民的活動を提唱されているところで、納得。経済価値とそれ以外の価値(環境に良いという価値)を通常の貨幣とは違う媒体で交換・循環させる、ということなのかな、と思います。
    惜しむらくは本のタイトル。
    「節電」というコトバの概念が狭いので、この本が扱う世界の幅広さと合っていない気がします。流行りのコトバで「耳目を集める」というやりかたも、善し悪しだと思います。

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