機動戦士ガンダムUC (10) 虹の彼方に (下) (角川コミックス・エース 189-12)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年8月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047152878
感想・レビュー・書評
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ガンダムユニコーンは素晴らしい作品だと思う。ファースト~逆襲のシャアをきちんと押さえ、新しい設定もうまく組み込みながら、古くからのファンも、新しいファンもどちらも納得させるクオリティーの高いストーリーに仕上がった。
「ラプラスの箱」の正体も、許容範囲というか、うまく説明したと思う。
そしてやっぱり、フロンタルの圧倒的な強さ、カリスマ性にガンダムファンとして胸が高鳴った。
アンジェロはフロンタルと共に逝くことを選んだのだろう。
美しい青年の将来を嘆く気持ちもあるが、彼は彼なりに自分の命を全うしたのだと、つらいばかりの人生だったが、最後は心安らかであったのだと思いたい。 -
全10巻(読書記録によれば、半年)の長丁場、十分以上に物語世界を満喫することができた。
まず感心したのは、物語の締め方。すごく真っ当に盛り上がって、ちょっと、ご都合主義を感じさせるところはあれど、落ち着くところに落ち着いた感動。最初から、プロットとラストシーンがしっかり構想されているのだろう。さらに、このラストシーンに向けて、途中それほど中だるみ、迷走、無駄なエピソードを挟まず、10巻を読ませる力。
さらに感心させられたのが、背景世界への深い理解と配慮。自分が創作に関わっていない世界に対して、これだけ矛盾なく、また、結果として大きく世界、登場人物を変質させることなく、それでいて、将来的に歴史的な一歩として位置づけられる「可能性」をしっかりと残す。自分で書いていても矛盾しているようでいるのだけれど、でも、実際にそうなのだから仕方がない。
これらを高次元にまとめ上げた手腕。伊達に、人気作家ではないなぁ。ガンダムファンには、ぜひ一読をお勧めしたい作品。長い時間をかけるだけの価値はある。 -
・ついに完結。福井晴敏の出した宇宙世紀への答えは「人の善意」だった。クソ面白かった。
・全編ガンダムへの愛で溢れてた。どのシーンもが過去のガンダムへのオマージュでありながらさらに高められてた。ガンダム好きじゃなきゃ書けない。必読。 -
ガンダムを一つの歴史としてとらえるならば、この作品は福井晴敏という作家によるその歴史への答えだと思う。
基本的に宇宙世紀のガンダムシリーズは、社会のシステムやエゴに飲み込まれ、時に大義のために、時に平和のためにと殺しあうオールドタイプに、人と人の分かりあえる可能性を示すニュータイプが一筋の光を指し示す、という流れが基軸となっている。
分かりあえるはずなのに分かりあえず流れる血。
そして時が経てば繰り返される戦争。
そのような閉じた円環の繰り返しの果ての物語が、このユニコーンだった。
よって、それまでに紡がれてきたガンダム史への理解、すなわちガンダム・リテラシーがあればあるほど、また人生が苦いと思った人ほど楽しめると断言する。
人は善意のもとに成り立つ生き物だ。
根本的には人は自分に降りかかる理不尽をさけたい、もっと住みよい世の中を作りたい、という欲望という名の善意に突き動かされて行きていく。
しかしそれが集まり、巨大になるほどに、互いの善意はすれ違い、それはやがて呪いや怨念の渦を生む。
そしてエゴを原動力とした遺伝子という螺旋の輪を紡ぎ、退行を繰り返しながらも、血にまみれながらも、闇雲にゆっくりと前進する。
その営みは時に目をそむけたくなるほどに醜いものだが、それが人の営みであり、生きる力である。
そんな人間の営みに可能性を示すのが、理解しあう能力を拡大させた宇宙人類、ニュータイプであるとしたのは富野監督だった。
そしてそれに加え、究極のニュータイプは人間の持つ遺伝子の、肉体の螺旋からの脱却であるとしたのが福井晴敏の答えだった。
終劇、主人公は、その彼岸たるニュータイプへの革新を遂げようとするが、人とつながり続ける醜くも泥臭い世界を選んだ碇シンジのように、彼は人間の生臭くも温かい肉体の世界に戻ることを選ぶ。
どのような理不尽に行く手をふさがれようとも、それでもよくあろうと普通の人間がもがき、生を全うする姿が一番美しいのである。
そうあろうという理想への願いがユニコーンのような空想や願いを育て、人の歴史を連綿と紡いでいくからだ。
物語を核とした作品は衰えない。
なぜなら消費されて朽ちる一過性の画像ではないからだ。
群像劇や強烈なメッセージは時を超えて人の心にしみいるものだ。
その点、ガンダムサーガは成熟期を迎え、青少年の情熱から大人の生きる渋みを描く段階に入ったといえるのではないだろうか。
新世紀エヴァンゲリオンはこの15年間のアニメ史をあざ笑うかのようにBD初動最大売上をたたき出すことだろう。
まだしっかりと読めていないが、変わらない情熱とさまざまな人々の思いを詰め込んだ大河マンガになりつつあるワンピースもまた然り。
一方でアニメに限らず、最近の物語が物足りない理由は、伝えたい主題のもろさと二番煎じの多さ。
ネコミミや、ツンデレ、無口な少女といった萌え要素、萌え属性といったキャラクターの直接的な消費に終始することによる違和感。
ドラマでも突然人を殺して涙を誘ったり、脈絡もない運命を演出してきな臭い展開を繰り返す。
言葉は、気持ちのこもった筋の上に語られなければただの記号だ。
その言葉を最大限に生かす新たな物語の誕生を、待ち望んでやまないのは僕だけだろうか。 -
さて、ガンダムUC最終巻です。
ついに「ラプラスの箱」の正体が明らかになります。
なるほどそういうことか、よく考えてありますね。うまいです。
ラストは、ラプラスの箱の正体を全世界に公開しようとするオードリー、それを阻止すべく狙うコロニーレーザー、それを守るユニコーン=バナージの手に汗握る展開です。迫力あります。映像化されたものはどうなんでしょう。ブルーレイ買おうかなぁ。(^_^;)
ラストはちょっとイデオンを彷彿させますね。 -
ラストの展開がエヴァンゲリオンに似ている様な気がしないでもないですが、逆襲のシャアの次の物語として読み終わった後に爽やかな読後感がありました。福井先生にはまた宇宙世紀の作品を書いて頂きたいです。
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最終話。
ガンダムらしくありながら
福井らしく熱い物語だった。
ラプラスの箱の真相は思わず「なんってこった!」だった。
可能性の獣・ユニコーンが守っていたものは
未来の可能性のひとつだった。
繰り返される争いの歴史に絶望することなく
可能性を信じて「それでも」と言い続けるバナージはかっこよかった。
映像化に期待。 -
なるほど、この手があったかという終わらせ方。でも、これやっちゃうともう宇宙世紀ものの続編創れないじゃん?
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全巻読破!初代~逆シャアからの様々なネタも仕込まれ、読み応え十分。
どこが特に?というと・・・ガンダムにはほとんど興味の無かった自分が、この作品のせいで...
どこが特に?というと・・・ガンダムにはほとんど興味の無かった自分が、この作品のせいで(おかげで)ガンダムのお勉強を初めてしまったという点です!!!
「ガンダムUC」のアニメ版も是非観たい!!!と思い・・・それを十二分に堪能するためにも「ガンダム」をレンタル。今「Zガンダム」の視聴中で・・・「ZZ」「逆襲のシャア」まで観てから、本命の「UC」を観ようと画策中です。
迷うところは・・・・「UC」は、OVA版を観るべきか?今放映されてるテレビ版を観るべきか?という点ですが・・・。
【未読なのは震災の本2冊】
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とのことですが、、、、
「平成関東大震災」は、まあ、...
【未読なのは震災の本2冊】
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とのことですが、、、、
「平成関東大震災」は、まあ、読まなくてよいかと(笑)。
「小説・震災後」も・・・まあ、“福井晴敏らしい”作品を期待して読んだらガッカリすると思います。
「亡国のイージス」が好きな福井ファンならニヤリ とくる場面はありますけど・・・