ぼくらが旅に出る理由

著者 :
  • エンターブレイン
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本棚登録 : 103
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047273016

作品紹介・あらすじ

部活のない夏休み、中学2年生のコウは姉と旅行する約束だった「大島」行きのフェリーに思わず飛び乗ってしまう。その船内で"サイアク"の出会いをした勝ち気な少女・リンコと大島で過ごすうち、コウは彼女の重い過去-両親の死の秘密、消えた記憶-の存在に気づく。過去にとらわれ続けるリンコに、コウは「ガキのやり方」で彼女を救うことを決意。たった4日間。だけど、一生忘れられない夏休み-。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生のめいっぱいな等身大さがとても魅力的。
    「ガキはガキのやり方で、奇跡を超えた魔法を見せてやる!!」というあおりの通り、自分にできることは何もない、やれることは数えられるほど、でもそれでも何かしたい、力になりたい。
    そんなコウのがむしゃらな想いの行動が、何よりリンコの心に響いたのだろうと思う。
    相手に全身でぶつかっていくのって、すごくエネルギーがいることだし自分も全部さらけ出さなきゃいけないからすごく難しいことだけど、それをやってのける中学生の若さあふれるパワーがとても魅力的でした。
    前半の思春期真っ盛りな描写の多さはちょっと読みにくくて気になったけれど、中盤から後半にかけてのエネルギーはとてもよかったです。青春小説。

  • 2011年8月13日読了

    夏に毎年読みたくなる一冊。
    「ガキはガキのやり方で、奇跡を超えた魔法を見せてやる!!」
    帯に書かれたこの言葉、本の装丁から本屋で即買。一気に読了。
    最初は楽しくて元気なれる。中盤から後半にかけて話は重く佳境に。最後はハッピーエンドで感動出来る。
    私の短い読書人生で最高のお話!

  • なんて言うお話し
    表紙のポップ感はどう・・・

    とても悲しくて
    とても強くて
    とてつもなくしんどい

    面白かった!!

  • 中学生という、子供でも大人でもない多感な時期だからこその、主人公たちの繊細な心の揺れ動きがじんわりと伝わってきました。
    美しい離島で繰り広げられる、しょっぱくて切ない、でもどこ甘酸っぱい青春ストーリーに、みずみずしい気持ちで心が洗われ、感動しました。

  • 年代が近いときに読んだからこそ、共感できるものがある、励まされるものがある。
    読み終えたとき、心があったかくなった気がした。

  • さすが物語。話しがうまくつながる、ふくらむ。エンタメ小説はこうでないと!
    夏休みの中学生の弾けるくらいの眩しさを感じて、若さが羨ましかった。
    ただ、主人公のバックグランドが、もう少し明確なほうが良いかな。紹介はしているけど明確に説明していない。もっと単純にしていないと、書かれていない所が余計気になる。

  • 大好きだった姉を事故で亡くし、生前、約束していた
    「夏休みに大島に旅行に行くこと」を思い出し、お使いの途中で、思い立って 船に乗り込んだコウ(14歳)。所持金わずか、制服のまんまの思いつき。
    船で 中学生のリンコと出会う。出会いは最悪。乗り合わせたバカンスの客たちに酒を飲まされ、ゲロを吐いた所に居合わせた(ゲロをかぶってしまった)少女がリンコだった。
    でも、その出会いから、リンコの家に宿泊させてもらえることとなった。
    リンコは、美人4姉妹(リンコを含む)のいる高台の家。
    彼女らと一緒に過ごす家に、リンコも両親を亡くし、心が傷ついていると知る。
    しかし、心の傷は、その秘密はそれだけではなかった・・・

    一夏の、少年の成長物語。
    前半は軽いエロねたが多くて読みにくいが、後半は意外に重たい話に。
    でも、
    リンコを助けてあげたいコウの気持ちが よかった!

  • 大島旅行に行く時に持って行くと楽しめますよ。

  • 明るくて眩しい少年少女と、大島の夏。
    それと対極的な暗さを持った、リンコを中心にして朝海家に隠されたパンドラの箱。
    主人公のコウにできること。
    リンコは生まれ変われることができるのかー?



    主人公のコウくんの青い葛藤がなかなか面白かったw
    リンちゃんの素晴らしいツンデレっぷりや美人なお姉様たちもそれぞれ個性的で素敵。
    リンコの過去に関しては壮絶だったけど、全体的に筋が通ってたから作り物っぽい感じがしなくて良かった。
    本来一番辛かったリンコが記憶を失ってるから、リンコの口から語られる言葉の空虚感と、ハル姉さんの生々しいリアルな心理描写が対極的で印象に残った。
    ハル姉さんも相当壮絶な目に遭ってると思うけど、リンコがコウと出会ったことで、彼女自身もちょっとは救われたのかな…って思った。

    心理的にもっと考察するなら、一番傷を負ってしまったのはやっぱりハル姉さんな気がする。
    彼女がどうしようもない父親を心の底から憎みながら、深く愛してしまっていたことがわかったから。
    きっと彼女からしたら、リンコが父親から暴行を受けたことを知っていながらも彼女と接していること自体が辛かったに違いない。
    だから心の奥底ではリンコのことを恨んでいる自分がいて、それに気づいてしまったときの罪悪感からリンコを救いたいという気持ちに繋がったんだと思う。
    彼女もリンコと同じくらい、あるいはそれ以上に心が壊れていた。
    父親を受け入れることを、家族を守るためだと言い聞かせて。
    リンコを恨む気持ちを抱いてしまった罪悪感から、彼女の記憶を操作することで彼女を救い、自分の心を保とうとした。
    なんていうか、やっぱりハル姉さんが…かわいそう。

    一番幸せになってほしい。

  • 最初の方は完全なギャグでどうなっていくのか気になりました。終盤になると、途端にシリアスな展開へ。
    人を救う方法はいくらでもあるものですね。

  • 伊豆諸島に向かう船に飛び乗った中学生が軽蔑の眼差しで見るのがチャラケた大学生。大昔に自分がその大学生のひとりだったなぁと思い出しました。
    まあ、この物語の主人公の中学生君も、船の中でビールを飲んで大失態をするので、似たり寄ったりですかね。が、彼はチャラケてない。船で出会った美人のお姉様4姉妹が住む家に居候する事になっても、その真面目さは揺るがない。

    素敵な青春物語です。また、あの船に乗って、島を訪ねてみたくなりました。

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著者プロフィール

1967年5月生まれ。「ワイヤード」などのライターとして活躍しながら小説を執筆。繊細かつ情緒溢れる独特な筆致が注目を浴びる。著書『BLOODLINK』は2ちゃんねるラノベ大賞で1位、『ノーサイドじゃ終わらない』は「このミス!」ランクイン。

「2015年 『BLOODLINK 5 地涌の哭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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