東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)

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  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047275225

作品紹介・あらすじ

何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく…。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • ザ・青春ラノベ.ちょっとしたきっかけから一緒にいることが多くなった三並と東雲の,まさに青春を謳歌している様を描いており,読む人にとっては心を抉られるんじゃないだろうか.ヒロイン東雲は作中ではすでに小説家としてプロデビューしており無口な女の子で普通というにはずれているかもしれないが.対する主人公三波は至って普通であり,逐一思考が普通でちょっと笑える.出来のよい兄と自らを無意識に比べながら育ったためか卑屈であり,また苦い初恋が未だに尾を引いている中,女の子に対してどう接すればいいのか考えあぐねいている姿がとてもよかった.
    普通の高校生男子による普通の思考と行動で,とてもほろ苦い表情豊かな作品に仕上がっている.

  • ライトノベルという程、突発としたものはなく、強いて言えばヒロインとなる東雲侑子が特殊といったくらいで、どちらかと言えば一般の、普通の小説とあまり大差が無いと思う。ベタと言われるくらいストレートで、甘酸っぱく初々しい恋愛は読者ももどかしくなる。歩み寄ったり、離れたあったり……個々の繋がりはやっぱり難しい。だからこそ美しさを感じ、求めるのかもしれない。

    十代の自分のような人間は一般の恋愛小説よりも本作の方が親近感を持つことが出来て、尚且つ満足の出来る内容なのではないだろうか。

  • 久々にケチのつけようがなく面白いと思えるラノベに出会った。この「ケチのつけようがなく」というのは、弱点がないという意味ではなく、読んですぐ素直に面白かったと思えたということ。最近の流行から大きく逸脱した、ぶっ飛んだ設定やアクの強いキャラなどは全くない。だがむしろそれが登場人物を自然体に魅せていて、本作の場合はゆっくりと進展する物語によく調和している。「近年のラノベは面白くない」と嘆くオールドラノベファンの皆様に是非ともオススメ。

  • んー甘酸っぱい!
    手の感触とかにどぎまぎしたり、初々しい二人が微笑ましくて、もどかしくて、可愛い。
    森橋先生と言えば心理描写が巧みなイメージがありますが、今作もそれは健在でした。主人公の一人称で話は進められていくのですが、ヒロインの心理描写も合間合間でうまく表現されています。
    挿絵もとても可愛いです。
    東雲に萌えた人はきっと多いのではないでしょうか。

    続きが出ているようなのでそちらも読みたいです。

  • 小説の取材のために恋人のフリをするところからはじまるという、いかにもラノベの展開。
    とりあえず1巻を読んだ時点まででは大きな事件などがあるわけではない。描写も大げさでなく淡々と物語が進んでいく。
    だが、それ故に話がさらっと水のように入ってきて、爽やかな読後感で締められる。
    あまり特徴のない主人公には感情移入しやすいし、ヒロインの可愛さもよく出ている。
    欲を言えば、もう少し話に起伏がほしい。まだ、二巻を読んでいないので何とも言えないが、このままだと飽きが来る可能性が高い。友達の興味のない恋愛話を聞いているのではなく、小説を読んでいるのだからストーリー性というのも大事なのかなと思う。

  • 設定がぶっとんでいないラノベを読みたくて、試読の末購入。英太の心理描写にうんうんと頷きながら読み進めていった。侑子と景介のやりとりが英太にとって不安の種にしかならなかったことや、侑子が有美のようになれるかなと言った描写など、もし自分の立場であれば英太と全く同じことを思っていただろう。しかも、英太は有美が好きだった経緯があるわけだし、なおさらだ。そして、最後の多分恋人同士という距離感はそれこそ愛い愛いしく、好感が持てた。

  • ええいもどかしい!←ニヤニヤしながらこれが出る時はだいたい上質な青春恋愛モノw 序盤に義理の姉のNTR(ryとか思った自分の首絞めたいほんとうにw
    主人公の主観以外で東雲の心情がわかりづらいのも、章ごとの東雲の短編小説を際立たせてくれてる。お話に引き込まれて一気に読んじゃった。2巻が手元にあるのが楽しみw
    あと、Nardackさんの表紙絵が麗しすぎる。

  •  本屋に行ったときにたまたま見つけて、裏表紙のあらすじを読んで面白そうだと思ったので買ってみた本。

     部活に入らなくて済むから、なんて理由で図書委員になった無気力な主人公、三並英太が、クラスメイトで同じ図書委員であり、作家である東雲侑子に長編の恋愛小説を書くための取材として付き合って欲しいと言われて協力する話。
     これといってすごい事件が起こるわけでもないのだが、そのぶん読みやすくてどんどん読み進められた。全体の雰囲気が良かったし、英太と東雲のやり取りなんかが結構面白かったと思う。
     主な登場人物も4人ぐらいと少なめなのも、その分1人1人が丁寧に書かれるので良かったと思う。

     続きが出るらしいので読みたいな。

  • 甘酸っぱい青春恋愛小説。特に主人公(男)の複雑な(でもない?)恋心の描写が上手い。

  • 高校一年生か中学三年生くらいにおすすめしたいという意味での「ジュブナイル」
    よりみちのない良い意味で狭い視野の恋愛小説
    「青春」という方に寄らないところが良いところ
    ただその分学生がお金を出して買って読みたい本かというと
    「ラブ」の後ろに「コメ」をつけたほうがこのまれるのだと思う
    「コメ」の前についている「ラブ」と恋愛小説の「恋愛」が一緒かはさだかでない

    ライトノベルのジャンルでも「コメ」にも「青春」にも頼らずとも
    例えば『狼と香辛料』とか
    男女関係のうれしはずかしもどかしさを感じさせるものは出来うると思うので
    もっとこの手のを読みたいと言う意味で頑張ってもらいたいものだが
    同性同士の関係もつきつめないのが
    社会性のない大人でないライトノベルを買う年代の自分というものでもある
    というより単に簡にはずかしいからというほうが正しいか

    ファミ通文庫はいまいひとつなんだかよくわからなかったが
    『思春期妄想』『ヒカル』『カマタリさん』そしてこれと
    各種ライトノベル度強弱男女双方振り幅つけて恋愛からめたものを出しているところ
    実に故文庫の「L・O・V・E!」寄せを受け継ぐにふさわしい
    バカテスの終了と共に終焉しないことを期待したい

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著者プロフィール

2002年にファミ通文庫でデビュー。主な著作に『三月、七日。』シリーズ、『東雲侑子』シリーズ(ファミ通文庫)。『デビルメイクライ』シリーズや『鬼武者Soul』などのゲームシナリオの他、漫画原作も手がける。

「2016年 『この恋と、その未来。 ―三年目 そして― 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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