B.A.D. 8 繭墨は髑髏に花を手向けない (ファミ通文庫)
- エンターブレイン (2012年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047279902
作品紹介・あらすじ
「ふたりが殺されたからと言って、ボクに困ることは何もない」繭墨【まゆずみ】あざかは柔らかく、だが断言する。彼女の言葉は理解できるが、怒りは募る。ヒルガオを失った嵯峨雄介【さがゆうすけ】は、唐繰舞姫【からくりまいひめ】と繭墨あさとを殺すと言い、失踪した。この復讐を止めなければ、今度こそ彼の心は崩壊するだろう。焦りと後悔に苛まれる僕に、繭墨が告げたのは、あさとが座敷牢から抜け出したという最悪な事態の訪れだった――残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第8弾!
感想・レビュー・書評
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ヒルガオが首を吊って死んだ。それをきっかけに壊れてしまった雄介は死の原因の一端の絡繰舞姫、繭墨あさとの殺害を試みる。舞姫とあさとを守ろうと動く小田桐だが、守る対象は所在不明、それぞれがどう考え、どう動くのか。
雄介の話だが、前作に続き舞姫が出突っ張りだ。そして、異能者は考え方がぶっ飛んでいて、もはや小田桐すらも普通ではない。なので、雄介の悲しみに共感出来し、寄り添える人がいないのが切ない。強制的に気分のスイッチを切り替えて生活する雄介は日常生活でON/OFFを繰り返す読者と感覚はそう変わらないのかもしれない。それだけに読者としては雄介の言動に共感し、心配し、この先の幸せを望む気持ちが生まれた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヒルガオを失い、あさとと舞姫を殺害する決意をした雄介に対して、小田桐は身体を張って彼を止めようとしますが、雄介はそんな彼の説得に耳を貸さず、彼のもとを飛び出していきます。
その後、あざかと小田桐、そして舞姫と現在彼女の「犬」となっている久々津の4人は、菱神昭の家に招き寄せられ、閉じ込められてしまいます。人間ではなく人形でないことに不安を覚えた彼は、人間と人形の違いを知るため、人の身体を解体したいと言い募ります。小田桐たちの活躍により菱神の事件は解決しますが、そこへ雄介から小田桐に連絡が入ります。
雄介が、ヒルガオを売買した人買い業者のところへやってきたことを知った小田桐は、ただちにその場へ行こうとしますが、そこで彼は信じがたいものを目にすることになります。
雄介の怒りと小田桐の苦悩がストーリーの展開にうまく絡んでいて、前巻に引き続きライトノベルにしてはややハードな作風ながらおもしろく読めました。 -
小田桐くん、少し黙りたまえよ。
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ヒルガオの仇を求めて彷徨う雄介と、それを追う小田桐。理性を失った雄介の描写に胸が痛む。
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前巻のあとがきの通り嵯峨雄介を軸とした物語.主人公小田桐視点で話が進むが,どちらかというと雄介側に感情移入させるように地の文で小田桐の独白を差し込むのが,これまた非常に効果的で,読んでいてとてもイライラした.小田桐の,どうせ何もできやしないのに自己満足のためだけに他人に道徳を押し付けるという態度は,ここまでくると異能と変わらない狂気に思えてくる.作中でもそのまま繭墨に指摘されていたが.
話としてはB.A.Dらしい容赦ないゴシックホラーだったけど,(私だけかもしれないが)ここまで嫌悪感を感じる主人公というのは珍しいと思った.