大卒だって無職になる "はたらく"につまずく若者たち

著者 :
  • エンターブレイン
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本棚登録 : 323
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047284463

作品紹介・あらすじ

大卒無職急増中!!知識も能力もあるのに働けない…一体、彼らは何につまずくのか?

感想・レビュー・書評

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  • 肉体的には健康なのに、心の問題で働けない人間は甘えなのか?そういう人間を税金使って支援する事は許されるのか?と著者は問う。その答えはこうだ。こういう人間を放置していると社会保障費が増えるだけ。だから支援事業は経費でなく投資だと。確かにその通りだろう。が、このような対処療法的な支援事業で根本的な問題は解決するんだろうか?
    そもそも学歴と職業には基本的な関係性はない。大学は勉強するところで、会社は仕事をするところだ。勉強と仕事は違う。仕事の能力を身に付けたいなら職業訓練を受けて、現場体験をし、学んでいく必要がある。昔はOJTでそのコストは企業が負担していたのだろうが、もうその余裕もなくなってきた。このGAPを埋める制度なり仕組みなりを政治的に構築して構造的に変えていかない限り、支援事業は終わらないだろう。
    NPOは社会問題を解決するという目的で存在している。目的が達成されれば存在価値はない。NPOは零細が乱立している。そこに組織の存続欲求が見え隠れする。そういうジレンマの中で活動する事の難しさも認識する必要があると思う。

  •  工藤啓著『大卒だって無職になる――“はたらく”につまずく若者たち』(エンターブレイン/1404円)、育て上げネット編著『「働く」ってなんですか?――働けなかった僕が働けるようになってからわかったこと 』(バリューブックス/1620円)を読了。仕事の資料として。

     2冊とも、若者への就労支援を専門とするNPO「育て上げネット」の支援事例を元にまとめた本である。

     『大卒だって無職になる』は、タイトルのとおり、大卒無職者への支援事例に絞り、各ケースを物語風に再構成したもの。
     大卒者が希少で、日本経済が右肩上がりだった時代のイメージしかない親世代は、「大学まで卒業したのに就職できないのはフツウではない」と思いがちだ。しかしいまや、「ニート」は大学新卒者でも数万人にのぼるという。
     本書は、「大卒でも無職になること」が「フツウ」となった時代のありようを、ヴィヴィッドに伝える。

     そもそも、日本で若者が「社会的弱者」として支援の対象となったのは、ここ10年ほどだと著者は指摘する。
     だからこそ、「多くの人は、若者を支援するという新しい動きへの反動として、『そんなものは不要だ』と思い込んでいる」と……。

     なるほど、かつての若者たちはどんなに貧しくても支援の対象とは見做されなかった。いずれはその貧しさから脱却していく道筋が描けたから。
     だが、いまは時代が違う。10年後にいまよりも収入が上がっている保証などないし、当の若者たちも未来にそのような希望が抱きにくくなっている。

     さまざまな事情から「大卒無職」になってしまった若者たちが、「育て上げネット」のサポートによって再び働き始める蘇生のプロセスを追って、感動的な1冊。

     『「働く」ってなんですか?』は、「働けない」経験を乗り越えてきた6人の若者(または元若者)へのインタビューを中心にしたもの。

     巻末の対談で著者も言うように、世にあふれる若者の労働についての論考の多くは、「働けなかったことのない人ばかりが論じている」。
     だからこそ、自分が「働けない」ことに悩み苦しんできた人たちが、自身の経験をふまえて働くことの意味を語ることには、意義がある。

  • この本の内容に片足突っ込んでるようなものなので身にしみた。今の状態が就活はするけど今までの経験から職業訓練行って自信はつけてもやっぱり怖いと思ってしまうからこういう場所は私みたいなのには有難い存在なんだろうなぁと思う。就活の不安はハローワークで話せるけど就職の不安は話せる場所がないからこういう場所が欲しい。

    あと、ネットとかでニート批判している人に読んで欲しい1冊。

  • 若者の就業支援を行うNPO法人代表が書いた「症例集」です。「大学は出たものの諸々の事情で働けない」という人々のエピソード集であり、どことなく切ない雰囲気が漂う文章になっています。

    わたし自身も似たような状況にありましたので、嫌な言い方をすれば、「もっとひどい人をみて安心したい」という動機があって手に取ったような気がいたします。

    身につまされるのは第3話のIさん。「とにかく失敗したくないし、失敗するのがこわかったんです」(P.77)。ああ、分かる。分かります。著者は"「へへ、すみません」とへこたれず、笑顔で乗り切ればよかったのかもしれない"とおっしゃいますが、ある種のひとが平気で投げつけてくる、人間を否定するような言葉は、うまくスルーできないほうがむしろ健全な感性の持ち主だと思います。

    ダメ人間スパイラル。"自分に自信がないから「できない」と思う。⇒「できない」ことを人に知られたくないから、必死で自分の行動を隠す。⇒だから、評価してもらえない。(周りの人は行動が見えないから、評価したくてもできない)⇒「できている」と言ってもらえないから、いつまで経っても自信がつかない。⇒そして、どんどん自己評価が低くなり、「やっぱりできない」と思ってしまう。"(P.148~)

    「僕は、大学までの勉強も、仕事も、必死でやってきたんです」(P.106)、本気で苦しんで、こんなふうに訴えかける姿を見て、ほくそ笑んでいる人たちで溢れた社会がそこにある。そりゃあ、こんな発言には突っ込みどころがいくらでも見つかります。でも、そこを突っ込んで、さらに追い込んで、そこに何が残るのでしょう。空っぽになった人間の抜け殻が転がるだけではないでしょうか。

    無職になる、という明日は我が身的なおそろしさではなく、あまりの出口のなさ、希望の見つからなさにただ悲しい気持ちになります。本が悪いわけではありません。重要な問題提起をしていると思います。でも解決の糸口は、ひとりひとりが見つけていくしかありません。

    (2014/4/5)

  • 著者が運営するNPO法人で出会う若者の事例が紹介されている。
    分析して問題提起するというものでもなく、純粋に現状を知って欲しいというもの。解決策を提案するものではないが、新書ではないので別にいいか。

  • 社会

  •  きまじめで、挫折とかそういったものも少なくのんべんだらりと生きてきた、特にこれと言って頑張った!ということがない人たちが、悩んでいる。
     誇れるようなことがない。話のネタがない。自分を売り出せない。
     それがフツウで、そのフツウが当たり前で生きてきたから今更こういうところを頑張れっ、て放り投げられるなんて、昔の人たちは考えられもしないのだろう。
     甘え?
     勿論、本当に甘えている人だっているだろう。
     でも、みんながみんな、甘えているわけじゃない。
     その甘え方だって分からず、ブラック企業に就職し体や心を壊してニートやフリーターになってしまう人だっている。
     そういうひとたちに手を差し伸べてくれるNPO法人があるんだよ、ってことを知ってほしい。

  • 前にニートの若者について書かれた新書を読みかけたのだけど、社会学的にその原因をさぐろうとする内容で、何か苦しくなってとちゅうでやめてしまった。というのも、大きな枠組みでとらえようとすると、かならず切り捨てられたり、押し込められたりするものがあって、釈然としない思いが生まれてくるから。それに、働かない、働けない若者とその家族のつらさは、原因をつきとめたところで、べつに解消するわけではないから。

    でも本書の著者は、若者が働けなくなる原因は「わからない」という。なぜなら、ひとりひとりみんなちがうから。
    そう言ってくれることだけでも、大きな慰めだと感じた。「かくあるべし」という枠組みを用意して、そのゴールに連れて行こうとするのではなく、あくまでもその人のなかから何かが出てくるのを待つ姿勢。
    でも何もしないでただ待っているだけでもきっとだめ。
    「思い切って」つまり、ぐるぐるとまわる思考や不安を断ち切って、1歩ふみださないと、始まらない。

    さて、この本を、うちのあいつにどうやって勧めるか……。

  • <閲覧スタッフより>
    若者支援の最前線の現場で現代の若者たちの「つまずき」から「立ち直り」までを追った6つのストーリー。つまずくことはフツウのこと。大切なのは立ち直ることなのです。物語仕立ての読み物なので、読みやすい作品です。

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    所在記号:366.29||クト
    資料番号:10217709
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  • ニートになるのに「原因」はない。何故ならそれは誰にでもある「つまづき」だから共通する理由なんてものはありえない。ニートであることを責め続けるよりもどう「起き上がる」のかを考える方がよっぽど建設的な事だ。 確かに、と思った。 もっと働く事が気楽なものになればいいのになぁ。仕事で楽はしちゃいけない、大変で当たり前という感覚が私にもある。仕事が人生の全てでは無いんだ、三分の一位でたまに少し頑張ってみる位でも良い社会になればいい。そのためには、さて、どうすればいいんだろう。

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著者プロフィール

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。昭和52年6月2日、東京・福生市で生まれる。成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科中退。平成14年、米国ベルビューコミュニティーカレッジ卒業。平成15年、青少年就労支援NPO「育て上げ」ネット設立。平成16年、特定非営利法人化。現在、同法人理事長として若年者就労支援に携わる。著書に『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)がある。

「2006年 『育て上げ ワカモノの自立を支援する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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