- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047284463
感想・レビュー・書評
-
工藤啓著『大卒だって無職になる――“はたらく”につまずく若者たち』(エンターブレイン/1404円)、育て上げネット編著『「働く」ってなんですか?――働けなかった僕が働けるようになってからわかったこと 』(バリューブックス/1620円)を読了。仕事の資料として。
2冊とも、若者への就労支援を専門とするNPO「育て上げネット」の支援事例を元にまとめた本である。
『大卒だって無職になる』は、タイトルのとおり、大卒無職者への支援事例に絞り、各ケースを物語風に再構成したもの。
大卒者が希少で、日本経済が右肩上がりだった時代のイメージしかない親世代は、「大学まで卒業したのに就職できないのはフツウではない」と思いがちだ。しかしいまや、「ニート」は大学新卒者でも数万人にのぼるという。
本書は、「大卒でも無職になること」が「フツウ」となった時代のありようを、ヴィヴィッドに伝える。
そもそも、日本で若者が「社会的弱者」として支援の対象となったのは、ここ10年ほどだと著者は指摘する。
だからこそ、「多くの人は、若者を支援するという新しい動きへの反動として、『そんなものは不要だ』と思い込んでいる」と……。
なるほど、かつての若者たちはどんなに貧しくても支援の対象とは見做されなかった。いずれはその貧しさから脱却していく道筋が描けたから。
だが、いまは時代が違う。10年後にいまよりも収入が上がっている保証などないし、当の若者たちも未来にそのような希望が抱きにくくなっている。
さまざまな事情から「大卒無職」になってしまった若者たちが、「育て上げネット」のサポートによって再び働き始める蘇生のプロセスを追って、感動的な1冊。
『「働く」ってなんですか?』は、「働けない」経験を乗り越えてきた6人の若者(または元若者)へのインタビューを中心にしたもの。
巻末の対談で著者も言うように、世にあふれる若者の労働についての論考の多くは、「働けなかったことのない人ばかりが論じている」。
だからこそ、自分が「働けない」ことに悩み苦しんできた人たちが、自身の経験をふまえて働くことの意味を語ることには、意義がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人はどこでつまずくか、分からないし、どんだけ順風満帆でもつまずくこともある。1つのきっかけで大きく人生が変わってしまうこともある。
全国に約60万人いると言われるニートの人たちにもそれぞれの人生があって、言葉に出来ない思いや葛藤を抱えて、ニートになっているかもしれない。
大卒の新卒者でも数万人規模いると言われているくらい現代社会は混沌としていて、刻々と社会との接続がそれだけ厳しいものとなっている。
誰だってニートや引きこもりになってもおかしくない昨今。
今、社会に求められているのはどんだけつまずいても立ち直れる、周囲の力。若者支援現場は1つの光の道筋としてこれからの時代ますます必要とされる存在になるなと感じた。
-
こういった思いのある人(作者)が、悩んでいる若者のために情熱を燃やしているということに勇気をもらえた。
-
思いを切る、という言葉
半径3メートルの世界をみんなが大切にする
身近にニートの若者がいれば若者は甘えている、とは言わない。自分の範囲内の人間以外への想像力は弱いのが人間。
印象的でした -
内容が具体的
知り合いと -
就職できない人は甘えだとかゆとりだからという考えの人は、この本を読むと180度違った考えになるのではないかと思う。とにかくこのような支援をしてくれるNPOがあると若者にとってありがたい存在ではないだろうか。
-
数か月前、求職中に読みました。
まさに大卒で無職になった人間なので、自分がどうしてそうなってしまったのか、何年か経った今読めば冷静に考えられる気がして。
「甘えではない」とか、働けない・引きこもりになる理由は「分からない」と言ってくれる著者の暖かい姿勢がすばらしいです。どうしても人間って、理解できないものには理由を要求したくなる。でも起きてしまったものの原因を探るより、どうしたら笑顔で働きに行けるのか、そのほうが大事。
あとは、新卒の就活だけが仕事に就く道ではないと話しつつ、それでも一番開かれた門だから、活動するに越したことはないというのも、もっともだと思った。若い人には伝えるべき情報だと思う。
私自身は、在学中に内定を取れなかった2話目のケースに共感した。なるほど、生命力に乏しかったのか…(笑)。あとは3話目の失敗ができない男の子の話。
読むときっと、追い詰められた気持ちが少し楽になると思う。就活疲れの若者、退職して後悔している若者に、読んでほしいです。 -
今の若者の就活の大変さを少し見たような気がする。
ニートってひとくくりに言ってしまうけれど、その中身は様々で、ただ甘えてるの一言で片づけてはいけないと反省した。
今の若者はってどの時代にも言われるが、その時代時代の背景が違うわけだから お互いにそれを知らなくてはいけないのかも知れない。