相羽奈美の犬(全) (ビームコミックス)

著者 :
  • エンターブレイン
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本棚登録 : 113
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・マンガ (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047285750

感想・レビュー・書評

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  • ストーカーの青年が神様パワーで犬になり、大好きな美少女を守りたい、という話。ギャグのゆるい感じがすき。

  •  単行本はぶんか社から1巻のみ刊行され、完結巻である2巻は電子貸本でしか読めなかったといういわくつきの作品。それを『ママゴト』の版元であるエンターブレインが、全1巻(つまり2巻分の厚さ)のコミックスとして刊行し直したもの。「(全)」と銘打たれているのはそうした事情による。

     『ママゴト』や『赤い文化住宅の初子』とは違い、こちらはファンタジーである。
     自分が恋した美少女・相羽奈美をストーカーから救おうとして交通事故死した主人公の少年が、犬に生まれ変わって奈美に飼われる物語。ただし、人間だったころの記憶と意識は犬になっても残っている、という設定だ。

     松田洋子のことだから、通りいっぺんのキレイゴト・ファンタジーにするはずもない。短編連作形式で進む物語には、毎回人間の暗部を凝縮したようなドス黒いキャラが登場するし、ブラックなユーモアもちりばめられている。
     それでいて、ときどき胸をしめつけられるような切ない場面が登場する。つまり、ファンタジーではあってもいつもの松田洋子ワールドなのである。これは傑作。

  • 主人公オンの気持ちいいほどの自虐ぶり。卑屈と言えば卑屈なんだけど嫌な気分にならない。時々失笑、時々泣いて、出会えてよかった。

  • 人間ってやつは、汚くて、脆い。ってのを濃縮。寓話のよう。作者の持ち味である昭和的シアワセて何だっけ?感はしっかり存在している。

  • 雷造になりたい。

  • 松田洋子の才能が遺憾なく発揮された傑作。『薫の秘話』での強烈すぎる毒舌と、『赤い文化住宅の初子』での悲惨と希望がない交ぜになった、奇妙だが泣かせる物語を掛け合わせて、恐怖感を効かせた極上の物語です。少々強引な展開もまったく気にならず、一気に読んでしまいました。
    こんな傑作が世に知られないまま、埋もれてしまうのはもったいない。もっと多くの人に読まれるべきだと思う。

  • 名門高校に通う清楚な美少女・奈美。彼女を愛し密かに見守るろくでなしストーカーが主人公。
    事故に遭い、なぜか犬になってしまった彼は奈美に拾われて「オン」という名を貰い、ペットとして生活を共にすることになる。これぞまさに天国……かと思いきや、彼女の境遇は経済的にこそ裕福だが、父親からの病的な束縛と精神的虐待に苦しんでいることを知る。奈美の美しさと純真さは逆に性根の歪んだ連中を呼び寄せてしまい、オンは「とある特殊能力」を用いて彼女を守っていくのだが……という物語。
    連載がホラー誌ということと、何しろ松田洋子なので、毎回出てくる「奈美を害しようとするダメ人間連中」の描写がなかなかにえげつなく、容赦なくリアルで、そしてどこか哀しい。
    ラストでは奈美と父親の関係の真実、先輩犬である「ネン」の正体がやるせなく明かされます。
    以前ぶんか社から出た単行本が1巻(前半部分)だけ(後編は電子書籍のみの発行)だったので、完全収録版を出してくれたのがとても嬉しい。「ママゴト」が売れたのを機に、この名作ももっと世に知られてほしいです。

  • ギャグとして読めば、面白いと思います。
    ただ、考えすぎるとどつぼにハマってしまうので
    ご注意を・・・。
    主人公もこのノリで生きていければいいのにね。

  • 201301/松田洋子の本領発揮。幸せとは。

  • 「ママゴト」よりもこちらの方が断然面白かった。それにしても犬に変えられてしまった人達は、その後どう生きたのかなあと思いを馳せる。人間としては愛や温もりを信じられず、自分の殻に閉じこもったり、犯罪に走っていた人達だったが、犬に変身した事で初めて人の温もりを知る事になったんだろうか。そして、最後に人間に戻ったオンは、人としてまっとうに生きていけるんだろうか。生きていけると信じたい。

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著者プロフィール

大阪生まれ、広島県福山市育ち。初めて描いた作品『薫の秘話』が第27回ちばてつや賞大賞を受賞し、95年『モーニング』でデビューする。以降、『秘密の花園結社 リスペクター』『人生カチカチ山』『まほうつかいミミッチ』『相羽奈美の犬』などの作品を幅広い媒体で発表し、2003年刊行の『赤い文化住宅の初子』は、2007年にタナダユキ監督により実写映画化され大きな話題を呼んだ。なお『ママゴト』は、第15・16回文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選出されている。

「2017年 『大人スキップ 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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