アリストクライシI for Elise (ファミ通文庫)

著者 :
  • エンターブレイン
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047287976

作品紹介・あらすじ

生きたまま埋葬された青年を掘り出したのは、一人の美しい少女だった。心を持たないからと、人間から忌み嫌われ『名前のない化け物』と呼ばれた彼に、少女エリーゼは微笑み手を差しのべ、告げる「私はずっと、貴方を探していたのかもしれませんね」。彼女もまた『穴蔵の悪魔』と呼ばれる別種の化け物だった。だが彼女は、一族を激しく憎み『穴蔵の悪魔』を殺すためだけに生きていた-儚く哀しい化け物達の闘争を描いたダーク・ファンタジー開幕。

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジー世界での物語を詩的に書き上げた作品。語られない心情は設定の中に落とし込まれていて効果的に使われている印象。ストーリーは王道と言ってしまえるものであるが、世界観と美しい言葉に酔いしれた作品。

  • 生きたまま埋葬された青年を掘り出したのは、一人の美しい少女だった。
    心を持たないからと、人間から忌み嫌われ『名前のない化け物(グラウエン)』と呼ばれた彼に、少女エリーゼは微笑み手を差し伸べ、告げる。
    「私はずっと、貴方を探していたのかもしれませんね」
    彼女もまた『穴蔵の悪魔(アリストクライシ)』と呼ばれる別種の化け物だった。だが彼女は、一族を激しく憎み『穴蔵の悪魔』を殺すためだけに生きていた。
    儚く哀しい化け物達の闘争を描いたダーク・ファンタジー開幕!

    無感情な青年と、ちょっと不遜な態度の少女のファンタジー。『名前のない化け物』と『穴蔵の悪魔』という人とは異なる存在である二人が、各地を巡って『穴蔵の悪魔』を抹殺していく話。主人公はエリーゼのようでいて、青年グランのようでもある。
    『穴蔵の悪魔』の設定がなかなか面白く、ちょっと最初は置いてきぼりだったけど徐々に引き込まれるものがあって良かった。
    不可解な街の構造が斬新で、ラストまで飽きずに読ませてくれる。
    エリーゼ、グラン双方の過去もこの一冊でとりあえず焦らさず明かされて、読み応えもあった。二人ともかなりきつい過去を抱えていてびっくり。それだけにお互いの存在がもの凄い救いなんだろうな。

  • るろおさんのイラストに惹かれて購入。

    ダーク・ファンタジーってファミ通文庫じゃ珍しい部類に入るんじゃ……とか思ったり。

    で、るろおさんのイラストってことで手に取って、あらすじと冒頭数ページを読んで、

    「あ、おもしろそう」

    と思ったのでした。

    うん、やっぱりおもしろかったですよ。

    こういうストーリーは好きですー。

    「名前のない化け物〈グラウエン〉」の青年と、「穴蔵の悪魔〈アリストクライシ〉」の少女のお話。

    二人の出会いは墓地で、グランは生きたまま棺の中に入れられていて。

    グランは傷の回復量が異様で、舌を噛み切っても死ねない体質で。

    エリーゼは同族を激しく二組、「穴蔵の悪魔」を狩るために旅をしていて。

    この二人のやり取りが本当にツボで(*´Д`)ハアハア

    淡々としているようで、二人とも共存してるよなあ、と思いました。

    グランは感情がないから結構思ったことを口にするタイプで、そのためエリーゼはちょっと苦労してそうww

    っていうか、だいたい「おなかすいてる」ってww

    仮にも女の子だからww

    デリカシーのないwww

    でもそんなグランが大好きです。



    さて――

    二人が立ち寄った村では、神隠しみたいな事件が起きていて。

    神隠しというか、「人肉料理屋」という事件があって。

    でも料理人本人は事件の関与を否定していて。

    ただ村人たちはそんなことお構いなしに詰めより、罵倒し、怒りをぶつけていた。

    それにキレちゃった料理人は店員を人質に錯乱状態になってしまって。

    そんな状態のところをエリーゼたちが真犯人を滅ぼしてしまうのです。

    そう、つまり犯人は「穴蔵の悪魔」だったわけで。

    これで一件落着かと思えば、そうではないようで。

    人質となっていた店員・ケンジーから、この村の異常性を教えられる二人。

    こうして、事件はエリーゼとグラン、二人の過去が大きく関わってくるようになるのです。

    本当におもしろかった。

    文章の構成とかも結構独特で。

    間章でのエリーゼとグランの会話が、本編にも少しずつ関わってきて。

    ダーク・ファンタジーと銘打ってはいるけれど、私の苦手な鬱展開などではなかったですし。

    次も楽しみですね(*´▽`)

    それにしても、ラストのラストまでサブタイトルの「for Elise」の意味を取り違えていました。

    エリーゼのお話的な感じで受け取っていた……。

    いくら英語が壊滅的だったとしても、これはあまりにもあんまりだ°・(ノД`)・°・

    反省します(スライディング土下座)

  • 穴倉の悪魔〈アリストクライシ〉の少女と、名前の無い怪物〈グラウエン〉の青年、二人の化け物がたどる復讐の旅路とは…
    ダークファンタジーとのことで、グロテスク成分が多めなライトノベルといったところ。その出自由来なのかも知れないがヒロインのエリ-ゼの方に、能力以外で人間との異質な部分があまり見えてこなかったので、彼女のキャラクターがよく掴めなかった。

  • 「穴蔵の悪魔」と呼ばれるエリーゼと,地方伝承に登場する化け物そのままであるグランの2人の道中記.2人が旅の途中で立ち寄った街の秘密を探るのがメインで,幕間に2人の過去話が挿入されるという構成.人間とは決して相容れない化け物の復讐と苦悩の中にも,エリーゼとグランの2人の間にある,ほんわかとした温かさを少し感じるのが良かった.好みの問題だけど,イラストはもう少しオドロオドロしくしてほしかった.

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著者プロフィール

2009年『B.A.D ―繭墨あざかと小田桐勤の怪奇事件簿―』(刊行時『B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる』に改題)で第11回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞を受賞し、翌年デビュー。主な著書に「異世界拷問姫」シリーズ、他多数。

「2022年 『偏愛執事の悪魔ルポ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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