“花散里" ヒカルが地球にいたころ……(8) (ファミ通文庫)
- エンターブレイン (2013年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047290914
作品紹介・あらすじ
母との別れを支えてくれた葵を、妙に意識してしまい動揺する是光。そんなところに、「ぶ、文化祭の実行委員に、赤城是光くんを、推薦します」みちるの発言に始まり、月夜子主催の日舞研の出し物、朝衣の特別警護班への参加要請と、文化祭の準備に奔走するハメになってしまう。学校行事には慣れない上に、クラスメイトには避けられ、帆夏も何故か素っ気ない態度。そんな時、資料を差し入れてくれる、正体不明の援助者が現れ-!?大人気学園ロマンス、第8巻!!
感想・レビュー・書評
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穏やかで家庭的な、心優しい源氏の妻の一人「花散里」を
モチーフにした巻。級長こと花里みちるさんがヒロインです。
本歌取りともいえるこの作品。
源氏物語の花散里も、華やかさはないけれど、心優しく
聡明で、人を恨むことのないヒロインとして、源氏の息子
夕霧の養育を任され、傷心の源氏を包む花散里は異色の
存在です。他の美女達のように、熱情を傾けられることは
なかった花散里。身分が高いだけに、女性としての自分に
他と比べてつらい日もあったのに、それを見せない
芯の強さもあるのです。
花里みちるちゃんも、同じく、健康美に溢れる人気者の
帆夏の陰で、切々と恋心を育んでいました。
自分なりに可愛くなりたくてイメチェンした彼女。
十分かわいい娘なのに。
幼いころ、友人に溶け込めなかったヒカルの傷ついた心を
癒してあげたのは、彼女でした。人の悲しみに寄り添える
のは、とても素敵な長所だけど、みちるは自分が、ただの
便利でいい子でしかないことを、良く知っていました。
それと、本当に好かれるのは違うこと。
頑張ってもただの便利使いで終わる自分の孤独も
言わないだけではっきり見えている。
自覚がある、ということは時に凶器です。
やわらかな心をざっくり切る。
ヒカルはちゃんと全てを理解していたけど、
何もしないまま死んでしまいました。
是光くんは、やはり本当の良さを理解されないという点で
みちるちゃんと同じような痛みを抱えていましたけど、
彼女と帆夏ちゃんのがんばりに支えられ友人も出来そう。
ただ、クライマックスシーンでみちるちゃんと是光くん
デートするのですけど、結局それは、余計に恋心を
苦しくさせるだけじゃないかな、と思うのです。
恋の夢を叶えてもらったみちるちゃんですが、それは
作中にもある通り、所詮は二時間だけの恋人。
みちるちゃんがいい子なのと、やっぱりお話だから
諦めて帆夏に譲ってくれますけど、普通はのたうち回る
思いで、叶わない片思いに壊れていくことでしょう。
本当に愛されなければ、彼女の悲しみは埋まりません。
でも、だからこそ。
赤城くんとくっつかなくってよかった。
だってみちるちゃんは十分普通に可愛いのだもの。
みちるちゃんでないとダメなんだ、って人に愛された方が
どう考えても彼女の幸せです。
橘の花が彼女の傷を、芳しく隠してくれますように。
いつか傷がいえた頃、彼女を誰かが愛しますように。
お話は、帆夏と葵・夕雨の三つ巴の戦いになりそう。
是光くんもヒカルくんもいい子だけど、本当に愛せるのは
ひとりのはず。他の少女たちの寂しさに思いが向いて
作品に惹かれているから読んでいるけど、切ないです。
次は「六条」。
なぞの怪メールのからくりが解けるでしょうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ」最初の頃は、ただの脇役だと思っていたみちるも、立派なヒロインでした。今までのヒロインの中では、性格が自分と一番近かったので、感情移入もしやすかったです。橘のように優しく、清らかな心の彼女が、ヒカルを喪った哀しみはとても大きかった。そのヒカルの代役を果たす是光は相変わらずかっこいい!文化祭を通して、是光がクラスメイトと交流するようになっていく場面は胸が温かくなりました。恋愛は怒涛の展開を見せ、次巻が早くも楽しみです。
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どうしても叶えたい夢。
常に一緒に居るだけでなく約束を果たす為に代理人を請け負ったからこそ、面影を感じたのかもしれないよな。
自分の目で見極める事が出来たからこそ、偏見だったと気付いたのだろうな。 -
文化祭の準備や当日には代理デートもするみちると是光が、爽やかで微笑ましくてほのぼのした。みちると帆夏のややこしさもすっきりと終わってくれてほっとした。ここへ来て夕雨が帰国することになって、そこに一朱が関わっていることが意外。葵や帆夏に遅れをとりながら是光を気にしている短編の朝衣が可愛かった。
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クラス委員長、花里みちるのターン。
恋をしてきれいになる……にしても、これは変わりすぎじゃないか。
ラノベらしいラノベと言えなくもないけれど。
今まで周囲から「ヤンキーキング」だの好き勝手言われ距離を置かれていた是光。学園祭の実行委員に任命され奔走するうちにクラスメイトと馴染んできてよかったなぁ、と親心。
モブ扱いのクラスメイト(男子)にもやっぱり名前はありました。 -
紫織子とこるりは?
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8巻目です。
クライマックスな感じになってきました。
前巻で笑顔を見せた是光が、文化祭をきっかけに
少しずつ皆に馴染んでいく。
確かに前回がターニングポイントではありましたね。
今回大きいのは、彼がそうなっていったことに
Wヒロイン?が直接は関わっていないことも
大きい気がします。
誰と進展云々でなく、彼がヒカルを通してでなく
一人の男の子として皆と関わっていくうえで。
同じものを背負っていたのが、ずっと親友・帆夏ちゃんの
影に(自分から)隠れていた今回のヒロイン・みちるちゃん。
この子のお話を読むには「末摘花」を読んでからが
良かったんですが、諸々で前後しておりますorz
この子が表紙ということは…ですが、個人的には
何だか寂しかったようなううぬ
ますます帆夏ちゃんを応援したくなりました(ぇ
しかも最終巻所持してます。
かなりネタバレ匂わせる挿絵もあったので読むまでは
あまり見ないほうがいいか;
クライマックスまで追いかけたいです。 -
みちるヒロインの話。
以前に少しだけみちるの話が出てきてたのでこれで終わりかなぁ、と思ってたのでビックリ。
影で支えてるところがみちるっぽくて良かった。
朝ちゃんの空回りとか、三つ巴戦の展開とかも気になる。
(他ちょっと気になるのが、しーこは是光にたどり着けたのだろうか?)