B.A.D. 12 繭墨は自らの運命に微笑む (ファミ通文庫)

著者 :
  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047293243

作品紹介・あらすじ

「小田桐君、何故、内臓は落下するんだと思う?」再び内臓落下事件が起きた。いつかどこかで見た怪異を、繭墨は紅い女の罠だと言い、反撃の切っ掛けになるかもしれないと涼やかに笑った。最近の繭墨はなんだかいつもの彼女らしくない。人の死を嗤い、不幸を悦び、惨劇を望む最低で最悪な少女。それでも僕は彼女の力がなければ生きられず、だからこそ救わねばならないはずだったのに…。残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー第12弾。

感想・レビュー・書評

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  • 綾が残したのは小田桐の白い左手だけだった。小鳥もいなくなったことで異界化はおさまっていたが、紅い女の脅威がなくなったわけではない。そこで繭墨は紅い女への恐ろしい反撃の策を考える。
    反撃の狼煙を上がって、さあ異界に乗り込むぞという雰囲気がある人とない人の差が印象的だ。七海は怒りを応援に変え、白雪は小田桐のために頑張るし、舞姫は人形作りにせいを出し、雄介はバットを持ち出す。だが、繭墨はいつも通りだし、あさとは相変わらずの死にたがり。小田桐も相変わらずの精神力ないのに持久力無限大。最終巻を前に主要人物はこういう人ですと、再確認していたように思う。最初の怪異を出して来る所やあさととまた対峙すること、同じようなことをすることで変わるものと変わらないものがあると感じた。

  • 小田桐の腹の中で成長する雨香が、しだいに「鬼」の本性をあらわしていきます。一方あさとは、あいかわらずの態度で小田桐の心を揺さぶり続けます。

    他方、雄介は「紅い女」との最後の戦いに向けて、唐繰舞姫に協力を執りつけ、さらに一時は戦いの舞台から手を引くという決断をおこなった水無瀬家も、白雪の小田桐に対する想いを変えることはできず、ふたたび助力を申し出ることになります。こうして小田桐たちは手筈を整えて「紅い女」との戦いにそなえますが、そんな彼らの思いとは裏腹に、繭墨はすべてを終わらせるための決断をくだすことを心に決めていました。

    展開としては分かりやすいのですが、これまでのところ、「狐」の事件の結末と少しかぶっているような印象もあります。もっとも、愚直なほど自分の生き方を変えようとしない主人公らしいとも言えそうですが。とまれ、最終巻でどのような結末が描かれることになるのか、見届けることにしたいと思います。

  • どうやって雨香を腹に戻していたのかずっと気になってたけど、そうやって戻すのか。というか、雨香をポジティブに利用したのって、初めてな気がする。これまでの歪な関係を経ての、一致団結というのは、このシリーズのクライマックスらしい。

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著者プロフィール

2009年『B.A.D ―繭墨あざかと小田桐勤の怪奇事件簿―』(刊行時『B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる』に改題)で第11回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞を受賞し、翌年デビュー。主な著書に「異世界拷問姫」シリーズ、他多数。

「2022年 『偏愛執事の悪魔ルポ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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