五色の舟 (ビームコミックス)

  • KADOKAWA/エンターブレイン
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047295476

感想・レビュー・書評

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  • 原作小説をコミカライズした作品として、こんなに完成度の高いものはないと思う。
    原作の幻想的な世界を損なわず、近藤さんならではのテイストも加わって、津原作品の世界がぱあっと立ち上がる。
    コミカライズだし……と買うのを躊躇していたらプレゼントで頂いたけど、これなら買っても絶対後悔しなかったな。原作ファンにもお勧めです。

  • 見世物小屋一家と未来を見通す異形の獣くだん。血の繋がりはないが家族のように暮らす一座と、座長を以前から支援する医師。気の持ちよう、なのかもしれないけど、望んだ世界へと人を運ぶくだんの能力。あったかもしれない戦後の話と家族の行く末にすこし救われる思い。

  •  ホモのシーンがよくわからない
     戦争といふ時代を使って、かたわを選民として描く、と言ふのはかっこいい。
     GHQの人もアレしてゐるのであった。うむうむ。
     そして、然るべき医療技術ができても、かの皆さんは補助具を外してゐると描かれる。うむうむ。

  • ジーン・ウルフの原作にも取り組んで頂きたい、という無茶振りがしたくなるでしかし

  • もう一回じっくり読むつもり

  •  ビームでの連載で読んでいて、改めて単行本で通して読んだ。フリークスたちが身を寄せ合って健気に生きている感じが心に沁みる。ただどんなに仲がよくても、あんな狭い舟で寝泊りするのはオレには無理だ。

     言葉を話せなくて、テレパシーで意思の疎通をしているところをとてもすっきりと表現されていて素晴らしい。桜が初めて言葉を話すところがじわじわと感動的だった。

     くだんがとても不思議な存在で、平行世界のSF的な展開がすんなり入ってくる。今より古いけどそんなに古くないテクノロジーの時代と悲惨な展開を迎える場所がとてもよかった。

  •  人間ポンプや見世物について調べていると、このマンガについて言及されている方がいたので読んでみました。
     太平洋戦争末期に身体に障害を負った人々が見世物一座として生きていく様が淡々と描かれています。
    “件”という異形の生物に出会ってからは怒涛の展開。登場人物がパラレルワールドに移動して、その世界が微妙に違う。読者である私も頭がクラクラします。
     このセンス・オブ・ワンダーをどう表現したらいいのか。
     私には表現する能力はありません。
     他の方の感想文を検索して読むと、皆さんうまいですね。
     私もそのような文章を書けるように努力しないと。
           
     それにしてもこの“件”という伝説上の動物、非常に不気味な存在です。
     しかし本作品では、美しい言葉使いだし言動も立派なので、いい人というかいい生き物のように思えてきます。
     ネット上で“件”の伝説について調べてみると、非常に不気味な言い伝え・都市伝説が出てきます。
     私は何でも真に受けて信じてしまう方だから怖くなってきます。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170125/p1

  • 特別な人たちが、世間とは少し違う家族となる話。
    特に巻末の原作・津原泰水さんと漫画・近藤ようこさんのコメントが素晴らしい。

  • 原作がとても好きなので、なかなか手に取れなかった一冊。「五色の舟」を漫画化しようと思い、出版を実現させた、その肝の据わり方にまず感銘を受けた。

    ほぼ原作の通り、何もぼかすことなく描かれているが、絵柄のせいか、グロテスクな感じはほとんどない。本当に、こういうタッチで描かれてこそ、原作の、陰翳が深く、かつ端正な世界が生きてくるのだなあとしみじみ感じ入った。

    あとがきで津原氏も書かれていたが、原作をふくらませた終盤がすばらしい。かつての姿のまま立ち続ける建物の姿に、もう一つの世界の確かな実感がある。

  • ※一部に暴力及び流血描写、性表現の含まれる作品です。

    【印象】
    第二次大戦下、見世物小屋一座。

    【類別】
    ファンタジー、SF、怪奇の要素。

    【脚本等】
    陶酔を好む人にお薦めします。

    【画等】
    押しだされる手描き感。

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著者プロフィール

1957年新潟市生まれ。漫画家。国学院大学文学部卒。大学在学中にデビュー。「見晴らしガ丘にて」で第15回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。折ロ民俗学や中世文学への造詣が深く、安吾や漱石作品の漫画化にも取り組む。作品は「水鏡綺譚」「説経小栗判官」「ルームメイツ」「恋スル古事記」「戦争と一人の女」「死者の書」「夢十夜」ほか多数。第18回文化庁メディア芸術祭大賞受賞。

「2021年 『兄帰る 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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