- Amazon.co.jp ・マンガ (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047295476
作品紹介・あらすじ
異形の者たちの哀切な運命――津原泰水の傑作幻想譚を、近藤ようこが鮮烈に漫画化。
感想・レビュー・書評
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近藤ようこさんの絵は余白が多く、その空間に常に寂しさ悲しみ静けさが感じられます。そういった空気感と共に話が進行していきます。
読み進めていくうちに物語の中に彷徨いこんでいき、読み終わったあとには不思議な読後感とともに印象的な話が懐かしい思い出のようにずっと胸に残ります。
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難しそうだなという第一印象だったが、読み始めた途端この物語の不思議な世界に引き込まれて一気に読んでしまった。
原作読んでまた読み返したい。 -
みんなめちゃくちゃ高評価だけど、
言いたいことはわかった的な感じに自分の中では、まとまってしまった。。。
なんだか、薄い感じがする。桜が言葉を話した時は感動したが、うーん。もっと濃密な描き方はなかったのかと思ったり。物事の表面上をつらつらと描いてるように見えてしまった。 -
津原泰水という作家の、同名小説の漫画化でした。近藤ようこさんは坂口安吾とか、小説のコミカライズがお好きですが、原作も読まずに言ううのは何ですが「近藤ようこワールド」で、納得しました。
マア、詳しくは、くどくどとブログとかに書いています。お読みいただければ嬉しいですね。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202108050000/ -
漫画:近藤ようこ
原作:津原泰水
作品『五色の舟(2014)』を読了。 -
どうしたらいいのだろう、何とも不思議な読後感。
異形の者たちが身を寄せ合い家族となり、見世物となって戦時下を生き抜く。
ひと昔前、世間から隠され、弾かれてきた人たちの哀しさ、強さ。
弱い存在に思えるけど、彼らは逞しい。ただ自分への執着が薄く、家族への愛だけを強く持っている。そんな人たちを見ていると苦しくなるのだ。
五色の舟というタイトルも、五色となった理由含め美しい。
しっくりくる言葉が見つからない。こことは違う未来へと導く「くだん」、一度では無理だ。また何度も読もう。 -
原作elevenを読んだのがかなり前だったので、まず原作を再読してから読みました。原作自体を自分自身の中できちんと消化してから目にしたこともあり、ものすごく丁寧に綺麗に漫画化されているのがよくわかりました。特に最終話は原作を補って余りある美しさでとてもとても良かったです。賞を獲ったのも納得です。
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原作と同じ…!すごい!
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津村泰水・原作、近藤よう子・漫画。
第二次世界大戦終盤の日本。
不思議な一座が旅をする。
或る者は両脚がなく、或る者は侏儒。或る者は半身を失った片割れで、或る者は関節が逆についた脚を持つ。或る者は両手を持たず、聾唖である。
血のつながらない彼らは「家族」として暮らし、見世物興行で糊口をしのぐ。
彼らの住処は粗末な舟。
ありあわせのとりどりの色の布で覆われた五色の舟に、異形の五人が暮らしていた。
「父」であり、かつての名女形である雪之助は、あるとき、「くだん」の化け物が生まれたという噂を聞く。
人と牛のあいのこであるその化け物は、牛だけれども人の顔を持ち、過去のことも未来のことも、本当のことしか言わない。それを一座に加えて一儲けすれば、皆の生活も安定するだろう。そう決心した父に連れられ、一行は「くだん」を買い付けようと、その地、岩国へと向かう。
「くだん」とは本当に未来を知ることができるものなのか?
彼らは「くだん」を手に入れることができるのだろうか?
予知能力を持つ「くだん」を求めているのは彼らだけではなかった。
もう少しのところで彼らは「くだん」を手に入れそこなうが、聾唖の和郎はちらりと「くだん」を見かける。
その日から、彼は不思議な夢を見るようになる。
幻想的、耽美的な一編である。
「くだん」の持つ不思議な力に導かれ、彼らは「皆が幸せになれる世界」に向かう。
「くだん」が予言した「恐るべき爆弾」は落ちたのか。それとも落ちなかったのか。
此方か、彼方か。
どちらが真実の世界なのか。
すべての業苦から解き放たれた夢のような世界。
しかし襤褸の小舟は追憶の中で五色の光を放つ。
郷愁と妖しさ。夢のような虚しさを秘めた幻想譚。 -
タイムスリップSFなんだけど、見世物小屋の一家が未来を予言するという妖怪「件(くだん)」を買いに行くという道中から始まる。
原作を読んだことがあったので読んでみた。なかなか「件」のヴィジュアルが衝撃的だった。
原爆が落ちる直前の広島が舞台なんだけど、いまは「原爆ドーム」として誰もが知る建物が、原爆が落とされる以前は「産業奨励館」というハイカラでにぎやかな建物だったというのが(考えてみれば当たり前なんだけど)印象に残った。