戦国大名の婚姻戦略 角川SSC新書 (角川SSC新書 90)

著者 :
  • 角川SSコミュニケーションズ
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315136

感想・レビュー・書評

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  •  大名間の婚姻政策に関しては類書を見るが、大名と宗教団体との婚姻政策は他書ではほとんど見ず、新奇(本書では、尼子氏と出雲大社)だ。大名と公家間も本書以外ではなかなか見ない。
     まあ、本書にある浅井三姉妹、甲駿相同盟、毛利両川は色々なところで描かれるが、些かマイナーな宇喜多直家はあまりないかもしれない。
     大名間婚姻の法規制・武家諸法度の点も良。
     描かれにくいところまで記述されているので、一読の価値はあるかもしれない。

  • 戦国大名の戦略を、婚姻の観点から分析した一冊。

    特筆すべき真新しい描写はなかったものの、今まで部分的にはあったものの一冊全体ではなかった観点だったのでとても興味深く読めた。

  • 戦国大名の政略結婚について、一般人向けにいくつかの例を紹介している本。浅井三姉妹や、甲相駿三国同盟、毛利元就の苦悩など、半分以上は知っている話だった。本書で唯一面白いと思ったのは、尼子氏が出雲大社を乗っ取るために仕組んだ婚姻戦略についての話。当時の出雲大社は、千家国造家と北島国造家が祭祀の座をめぐって代々争っていた。尼子経久はそこにうまく乗じて両家に娘を嫁がせ、式年遷宮等への経済援助を通じて発言権を次第に高めていき、最終的には出雲大社の傀儡化に成功したらしい。これが本当なら、尼子経久は相当な策士だが…。出雲大社としても、おかげで財政難を乗り切ることができ、分裂も避けられたので、結果的にはお互いにとって良かったのだと思う。(諏訪大社みたいに内部抗争で四分五裂、ってことだってありえるから)

  • 争乱の時代に御家を守り続けるために絡み合う双方の思惑。

    最近は小説ばかり読んでいたので久しぶりに新書を読みました。

    こういう戦国の解説本は大好きでテンションが上がります。

    戦国時代は武術が秀でている者が優秀というわけではなく、世論情勢や統率力など先見の明が優れていないと生きていけない時代。
    その中での外交戦略として他の大名家や公家などでの婚姻が時代を生き抜く上で大きな足掛かりとなる。
    この本では実際にあった大名家の婚姻戦略と両家の思惑が解説されている。

    ある程度の有名どころの婚姻はプチ歴女として知っていたつもりだが、
    婚姻による両家の思惑は読めておらず純粋に楽しめた。
    婚姻による両家のメリットとデメリット。
    婚姻の締結によりそこから歴史は動いたと言っても過言ではないほど、婚姻と戦国時代の流れのエピソードがたくさん入っている。

    私は中国地方の大名家が好きなので、毛利や尼子、宇喜多のそれぞれの婚姻戦略を読めたことが嬉しかった。

    戦国時代に自身の領地の拡大や守護の為にも婚姻は欠かせない外交戦略。
    両家の思惑によるそれぞれの葛藤や決断、歴史が動いたその瞬間を文章で切に感じることが出来る戦国好きにはたまらない解説本。

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著者プロフィール

(株)歴史と文化の研究所代表取締役。専門は日本中近世史。
『豊臣五奉行と家康 関ケ原合戦をめぐる権力闘争』(柏書房、二〇二二年)、『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』(星海社新書、二〇二一年)、『関ケ原合戦全史 1582-1615』(草思社、二〇二一年)、『戦国大名の戦さ事情』(柏書房、二〇二〇年)。

「2022年 『江戸幕府の誕生 関ヶ原合戦後の国家戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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