「時間」の作法 角川SSC新書 (角川SSC新書 118)

著者 :
  • 角川マーケティング(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315419

感想・レビュー・書評

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  • 情けないことですが、最近体が思ったように素早く反応できなくなってきていると痛感します。自分に残された時間の定義は、観点によって長さは異なってくると思いますが、何をとっても限られた時間しかないことを悟り始めました。この本は時間を有効に使うための生活や仕事をする上でのヒントが書かれています。

    来るであろう瞬間に、自分は充実した人生を送ったと自分に対して言えるように、この本に書かれたことを参考にして、これからを過ごしていきたいと思いました。

    はしがき(p7)に書かれてあった「無駄な時間を省くとは、有用な時間を生産する」という考え方は、私にとって重要なものでした。

    以下は気になったポイントです。

    ・A4サイズの1枚の紙を、まず縦長に4等分に折って、それを垂直方向に折ると名刺サイズの大きさになり持ち運びに便利になる(p22)

    ・キーワードは3脚と同じ、1脚、2脚では自立できないが、3脚ならしっかりと地に足をつけられる(p27)

    ・日頃からよく読む好きな作家がいれば、まずは自分が読んで面白いと思った文章を真似る(p41)

    ・文章を書き始める前に、3つほどのキーワードをパソコンの入力画面に入力しておく(p47)

    ・何十回と同じ単語を使うかわりに、具体的な描写で表現する(p53)

    ・読書は個人的な体験であり、本を読み続けるには、自分の中にモチベーションが必要、それに合った本であれば読破できる(p72)

    ・一流の人は、どなたも物腰が穏やか、自然体で優しく人に接してくれる、自分の「眉間」(しわを寄せない)と「目線」(相手の目を見て話す)に気を付ける(p81、82)

    ・美空ひばりはステージから出た瞬間に、周りを見回ることであった、そうするとみなの心は引き込まれる、話を人に確実に伝えるには、語りかける姿勢が必要(p86)

    ・90分の講演であれば、聞いている人に満足してもらえるには、その10倍時間をかける努力が必要(p88)

    ・外国語を効率よく勉強するには、国内の英会話学校へ行くよりも、海外で数か月間、現地で苦労してみることである(p97)

    ・海外で話し掛けるには、お年寄りに定めるとハードルが低くなる、どこの国にもお年寄りには親切な人が多い(p103)

    ・時間の見える化をするには、「いつまでに仕上げる」というように、一つの物事にかかる時間を見極めながら常に動く(p125)

    ・失敗しないためには、一つ一つの仕事の内容をどう組み合わせて同時進行するか、重層的に使うことが必要である(p127)

    2012年9月30日作成

  •  タイトルがちょっと気になったので手に取った本です。
     林望さんの著作はエッセイや小説など何冊か読んでいますが、今回のものは、とても実務的・功利的な内容です。情緒的・文学的な風情を感じる余韻は全くありません。そのうえ、本書で紹介されている時間の使い方に関する「リンボウ流の勧め」は、残念ながらほとんど私には響きませんでした。
     正直な言い方が許されるならば、こういった趣向のエッセイなら、あえて林望さんのものを選ぶこともなかったように思います。

  • 自己啓発っぽいけど林さんの考えが前面に出てるからエッセイ枠で。

    再読。
    読んでると気分がせこせこしてくるから、林さんがおそらくそういう人なんだろう。時間を1秒たりとも無駄にしたくない、っていう。
    ほぼ野菜のスープを鍋いっぱいに作って毎日それを食べる、というズボラな食生活の元となったのはこの本だった。
    パスタにキャベツをもりもり入れるのも、この本を読んでおもしろそう、と感じたからだった。
    そのことを思い出して、本の影響力に驚いた。
    ホタテ缶やバルサミコ酢は入れてなかったけど、キャベツと塩と胡椒と油だけで美味しくなったから、良いレシピを仕入れられた。

  • 文学者というイメージと著者の風貌からコンピュータは無縁の,紙メモ術とかノート術とかそういった内容を勝手に想像していたが,著者は実は20年以上のパソコン使用歴があり早くからメモの電子化を実行していたというから驚きだった。

    本書には昨今話題のライフハック本として読むこともできるが,随所に散りばめられた時間短縮術はクラウドサービスを使うとか,ツールを使うとかいった技巧的なものではなくいたってシンプルであり,自分にはそれほど魅力的ではなかった。むしろ著者の「時間がもったいない」という視点がユニークであり面白い。例えば病気は最大の時間損失だとしている。これは著者が物書きを生業としていることから病気・入院イコール無収入となり,生活がかかっているかということもあるが,物書きでなくても大きな時間損失となることは他の職業の人についても言えることである。そして最大の時間損失をしないために,マスクを二重にするとか,飛行機は絶対乗らない,最悪のらなくてはならないときには毛布を頭からかぶって風邪の感染を防ぐとか,徹底的な対策を実行する。

    「時間がもったいない」という思いが強ければ強いほど,普通我々が気づかないところにも時間の無駄を見出し,時間を節約できる。時間節約術にばかり目を向けるのではなく,原点に立ち返り何が時間の浪費につながっているか,今一度考え直したい。

  • 第1章 「忘れる」ことに備えるー“A4万能メモ”と“壁ファイル術”/第2章 いかに迷わず「書く」かー“メールは距離感”と“手紙は横書き”/第3章 誤った「読み方」をしないー“書縁”と“読書術”/第4章 無駄なく「話す」ことースムーズな“会話”と“スピーチ”/第5章 「英会話」を最短で覚えるー“海外に出よ”そして“質問せよ”/第6章 何事にも「凝らない」ことー“美しくなくていい”という精神/第7章 「一日」の中で時間節約を重ねるー“時間の見える化”と“家事の短縮”/第8章 「人生」という枠で時間を見るー“遠回りが近道”と“急がば回るな”/第9章 身も心も「丈夫」であることー“超・風邪予防術”と“菜食主義”

  • 作者個人の考えが強め

  • 人生における時間に対する考え方をいまいちど再認識する本。
    ただ、著者独自の観点が強い部分もあるとおもう。

  • 知的生産において、材料となるのは情報です。しかし、情報だけあればそれで十分かというとそうでもありません。それ以外に何が必要かというと、「時間」です。

    情報を集める時間、考える時間、アイデアが発酵するまでの時間、実際に手を動かして何かを生み出す時間、そういったもろもろの時間がないと作業を前に進めていくことはできません。

    これは知的生産に限ったものではありませんが、共同作業・分担作業ではなく自分の頭を使って進めざるを得ない知的生産においては、「自分の時間の使い方」というのは制限要因になりえます。

    本書は作家であり書誌学者でもある林望さんの「時間の使い方」を紹介した本です。内容的にはタイムマネジメントの手法ではなく、有用に時間を使うための知的生産術として読むことができそうです。

  • 時間を短縮かつ、有効に使う方法など。
    結構為になりそう。

  •  思いっきり期待外れの内容であった。

     そもそも、タイトルがひどい羊頭狗肉だ。
     このタイトルでは誰もが時間管理術の本だと思って手に取るだろうに、時間管理がテーマになっているのは全9章中の2つの章だけ。で、ほかの章には何が書かれているかといえば、メモ術、読書術、文章作法、英会話を学ぶコツ、上手なスピーチのコツ、風邪を引かないための心構え(!)など……。
     要は広い意味での「リンボウ流仕事術」の本でしかない。にもかかわらずこんなタイトルをつけるのはいかがなものか。

     それでも仕事術の本として役に立てば腹も立たないが、その点でもかなりのダメ本であった。とにかく、あたりまえのことしか書かれていない。

     たとえば、読書術についての章にはこんな一節がある。

    《インターネットの利点は何かというと、一つのニュースに関連する情報を、数カ月前からさかのぼって読めることです。新聞やテレビで過去の情報を知りたくても、その日、その時間のことしかわかりません。
    (中略)
     それに、テレビの場合は芸能ニュースのように私にはまったく興味のないニュースでも見続けていないと次のニュースに進めませんが、インターネットであれば自分で見出しを見ながらニュースを選べるので、仕事をやりながらちょいちょいと読むことができる。
     この、自分の都合で時間のかけ方を調整できるというネットニュースの性格は、時間を無駄なく使う上でとても重宝なものです。》

     2011年に刊行された本の一節とはとても思えない。いまどき、これを読んで「へーえ、インターネットってそんなに便利なのかぁ」と感心するような読者がいるだろうか。

     時間管理をテーマにした章が2つあると書いたが、それらの章がまた輪をかけてしょーもない内容なのだ。たとえば、こんな一節がある。

    《何かの仕事をしているとしたら、「今は二時四十五分だから、四時までに終わらせよう」とか、あるいは原稿を書いているときであれば、「この章はだいたい五時くらいになって目鼻がつくだろう」とか、そういう時間の戦略を立てていく。
     それが終わったら、次は「晩飯を作ろう」、またその次は「ご飯を何時までに食べ終えよう」と、自分の頭の中で先へ先へとタイムマネジメントを重ねていきます。》

     「仕事を四時までに終わらせよう」とか「ご飯を何時までに食べ終えよう」なんてこと、「時間の戦略」「タイムマネジメント」というほど大層なことかよ(笑)。ごく日常的な思考の断片じゃん。

     じつは私は林望の著作は初めて読んだのだが、ほかの本でもこんな調子なのかね? エッセイストクラブ賞を受賞したりしているのだから、エッセイはもっとまともなのだと思うけど。

     前にも一度書いたことがあるが、時間管理術の本で私のイチオシは、メリル・E・ダグラスの『決定版 時間を生かす』(知的生き方文庫)である。古い本だが、本書などよりもはるかに有益で、示唆に富む名著だ。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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