「もう、うんざりだ!」 自暴自棄の精神病理 角川SSC新書 (角川SSC新書 128)

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315518

感想・レビュー・書評

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  • 11/07/23。

  • 精神科医である著者による、自暴自棄をテーマにした本です。子供の頃の記憶、身の回りのこと、文学作品など様々な面から自暴自棄について書かれています。最終章にある、「自暴自棄になるような状況でも、些細な喜びや感動が踏みとどませることがある、臨床医として患者の心を底上げすることに専念する」という意味の言葉が印象に残りました。

  • 春日先生の他の著書にも「コントロール願望」という言葉が出てきますが、人生は不条理という大前提に立ち、コントロール不可な事態に直面し「無力」であることを自覚した時、「自暴自棄」も選択肢の一つになるのでしょう。当の本人はチョイスしたつもりはなく、他の選択肢は見えなかっただけかもしれませんが。
    「無力感」に一旦飲み込まれることで、不条理な生を肯定する気持ちが生まれるようヒトはプログラミングされているようです。そういう考え方があると頭の隅におくだけでも、不条理にであってしまった時、踏みとどまるよすがになりそうな気がします。「無力感」にたゆとう時間の先にもまだ人生は続く。たゆとうヒトを認める人が近くにいると、さらに良いようです。
    ゲートキーパー育成の一つの方向性が書かれていました。
    フォトリ11冊目。Kindleで読みました。

  • 烏兎の庭 第四部 書評 9.24.11
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/bunsho/unzari.html

  • 誰でも思い通りにことが運ばないことはある。容易には解決できない問題の前で、蜘蛛の巣に絡め取られたように自由が効かずに、「もう、うんざりだ!」と言いたくなったことは、誰にでもあるはずだ。

    そうした時に、大声で「うんざりだ!」と自己主張せずにはいられない人がいる一方で、その場はじっと耐える人もいる。いずれにしても、その鬱屈が澱のように心に溜まっていき、他人からは自暴自棄としか見えない行為に及ぶ人もいる。

    本書は、さまざまな小説から自暴自棄に至るまでの状況や登場人物の心の動きを取り出して、自暴自棄について考察している。

    「誰でも自暴自棄への誘惑に駆られることがある。ある種のカタルシスが伴うことは確かにせよ、そんなことをしたら「損」なことはしっかり理解している。にもかかわらず、人は自暴自棄に走りたくなる。」(p.4)

    と著者は書いているが、自暴自棄の行動に走ったときに、理性はどれほど働いているのだろうか。損得の理性の歯止めが効かなくなるから自暴自棄になるのではないか。

    アメリカ映画を観ていていつも嫌な気分にされるのが、登場人物が些細なことで怒り狂ってモノを投げたり叩き壊したりするシーンが多いことだ。アメリカ人にとって破壊によって怒りを収めるのは普通のことらしい。モノを壊せば使えなくなるし、後で掃除が大変だったりする。映画で描かれることないが、放り投げ散らばってしまったモノは自分で拾いに行くのだろう。その時にこんな馬鹿なことは二度とやるまいと反省しないのか。

    「ひょっとしたら、自暴自棄とは不条理な事態への異議申し立てをするために心が創りだした突飛きわまる装置といえるのではないだろうか。不条理を与えてくれるのが(抽象的な意味での)神であるなら、神へ抗議するためには自暴自棄という理屈を超えた行為でなけでば怒りは届くまい」(p.5)

    自殺は究極の自暴自棄である。自殺に関しても考察している。「自殺を決意した私」を演じるうちに、それがやがて自殺を実行できるかどうかの二項対立に陥ってしまい、自殺の決意から逃れられなくなってしまう。

    著者は、患者が自殺をするつもりだとか打ち明けているわけでもないのに、「引き返すことのできなくなるような決断は、熟慮したつもりでも錯覚を伴いやすいから気をつけたほうがいいよ」とか、「踏みとどまることは、恥でも臆病でもないからね」などと、「独り言のように」語ることがあるという。患者はきょとんとしているか、薄ら笑いを浮かべながら黙っている、そのどちらかだという。しかし、著者がこう語った患者の中に自殺者はないくて、こうしたメッセージを発しなかった患者の中には自殺者がいるということは、自殺の抑止に役立っているのかもしれないという。

    究極の自暴自棄である自殺から逃れるには、隣にそっと立って見守ってくれる存在が必要だということなのだろう。

  • 精神科医が著者ということで、
    自暴自棄になるその心境の分析や、
    自暴自棄にならない為の対策法などについて学術的に記述されているのかと思いきや、
    著者の体験や読んだ小説などから事例をひき、感想を述べる、といった内容で、あまり今後の参考になるようなものではなかった。

    ただ、読み物として大変面白く、日常の些事なども忘れて一息に読んでしまった。

  • 〈あらすじ〉



    自暴自棄とは何なのか。なぜ起こるの
    かについて、羞恥や怒りなどの色々な事象、経験、小説を引用して、分かりやすく説明している。

    〈レビュー〉
    誰にでも起こりうる自暴自棄。それを6つの感情や行動から分かりやすく説明しているので、とても読みやすかった。

    特に五章の突飛と孤独で、突飛な行動(反社会的な行動とか)が、一種
    の自暴自棄繋がっているところが、印象に残った。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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