生きる覚悟 角川SSC新書 (角川SSC新書 138)

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315617

作品紹介・あらすじ

モノには満たされても精神的には満たされず「生きる意味」が問われていた中で、地震・津波だけでなく原発禍まで引き起こした東日本大震災は、地域や人々との絆・つながりの大切さを改めて気づかせました。また、「得」を追いかけ過ぎたゆえに「徳」を忘れた日本人に、生きていく上で何が重要なのかを突きつけました。ただ漫然と流されて生きるのではなく、自らの内なる"心幹"を太くし、「覚悟」を持って生きることの大切さを問いかけます。

感想・レビュー・書評

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  • ただ大勢に流されて生きる、社会の自明生にとらわれて、自分の頭で考えない、他人の評価ばかりを気にする、そんなことはもう止めて、ちゃんと自分の頭で考え、何を心の軸として生きるのか、自分の人生という大地にしっかりと根を張り、人生の幹を太く育てる、生きる覚悟を持って生きよう。
    未来の世代へと、受け継いできた命を繋げていくために、今こそ、覚悟するとき。
    そんな著者のメッセージが深く響いてきました。

    http://glorytogod.blog136.fc2.com/blog-entry-1071.html

  • 思索

  • 私は、中国で仕事をしています。留学を含めたら、もう5年になります。ただ、私の働き方は一般的てはありません。留学をして、現地で仕事を探しましたので、海外にいる駐在員(日本の本社から派遣されてくる人)とは、違います。

    なんで、現地で仕事をしているかというと、自分の生まれ故郷である東京では仕事をしたくなかったからです(ただ、大学を卒業して、2年間東京で仕事をしてました)。

    理由は、たくさんありますが、一つの理由は、毎日の通勤列車の異様な静けさに、耐えられないなと感じたからです。

    この本の副題である「流されて生きるな!」は、たぶん、多くの日本人にとっては、無理だと私は思います。私も思いっきり流されてきたので、よくわかります。

    小中学校でのイジメが話題が毎年のように話題になりますが、職場では、もっと陰湿なイジメが横行していることは、仕事をしている方だったら、経験あるかもしれません。みな流されてイジメをしているのです。日本で起こるイジメのほとんどが、原因なしの、なんとなくイジメている、、、つまり、みな流されてイジメをしているのです。だから、タチが悪い。。。

    1年に2回ぐらい、東京に帰りますが、毎回思うことは、「どんどん便利な社会になっている」ことです。物凄い効率の良い社会になっていると思います。

    上田氏は言います。

    「すべての行為の効率を上げることは、一見便利に見えるが、それは大切なものを取り落としてしまうのではないかと感じたのです」

    その通り!だと私は思います。しかし、効率の悪い社会に、戻るわけないですし、これから、ますます、効率を追求するはずです。私なんかは、ニートや引きこもりの増加は、効率の追求から現象として起きているのではないかと思います。減ることはなく、これから、どんどん社会的弱者が量産されていくはずです。

    ※ちなみに、私はニートや引きこもりに偏見はありません。誰がなってもおかしくないと思っています。

    上田氏は続けます。

    「つまり効率化・合理化を突き詰めた状態は、人間の身体性や共同性を劣化させてしまうのではないか」

    そうだ!と私は思います。上田氏の意見に、そうだ!そうだ!と思う人は、もの凄く日本では生きにくいですし、仕事するのも難しいと思います。そして、日本社会が、これから、もっと効率を追求していくことに、絶望しているかもしれません。

    確かに「覚悟」は必要です。私は、まだ、その「覚悟」を持っていませんが、持ちたいとは、思います。それは、効率化、合理化を追求しない生き方です。言うのは簡単ですが、この社会では、至難の技です。間違いなく、変わり者扱いです。もう選んでしまったんだから、あとは、やるしかないです。

  • 2011年の震災後、私たちの生活はがらっと変わったようにも思える。その一方で震災から4年が経とうとしている今、原発再稼働などで、当時のことが風化してきているなという感じもする。
    かつて、日本が戦争に向かっていったように、世間の雰囲気、同調圧力というものが世間の流れをゆるやかに、しかし大きく動かしていく。世間の流れに従っていれば安心だ、という流れは怖い。
    どんな未来になるか分からない今だからこそ、自ら考え判断し行動するという基本のスタイルは忘れないでいたい。

  • 1/131004

  • 自分が正しいと信じる事は声を出して訴える。

  • 今こそ徳の絆を、という筆者の主張はよくわかった。
    震災を通して、日本が変われるよう、一人一人が努力をしていかなければならない。

  • 同調圧力に負けるなよ!

    自分の考えを持てよ!って、いう本だったっぽい。

    効率性 vs 少しくらい無駄やノイズがあってもいいんじゃない
    っていうの構図があった。

    うーん、海外との競争に勝つなら、どんどん効率化することが
    求められそうだけど…

    本筋から離れてるんだろうが、震災後の福島の子供たちの様子が、
    数ページあった。
    野菜を食べる前に、「何県産?」って聞く子供や
    「わたしもうお嫁にいけないの」ってつぶやく少女がいるんだって、知った。

  • やさしい文章で書かれていて読みやすいです。

  • 昨年、東日本大震災があり絆が見なおされている。この本は絆だけを重要視するのではなく、どのように絆っているかが大事だという。つまり、得の絆ではなく徳の絆が大事なのだ。
    徳の絆は自分の得のための絆であってはならない。得を超えた閉じられた組織や社会を超えたより大らかな絆でなければならない。

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著者プロフィール

上田紀行(うえだ・のりゆき) 東京工業大学副学長(文理共創戦略担当)・同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は文化人類学。特に宗教、癒し、社会変革に関する比較価値研究。著書に『生きる意味』(岩波新書、2005年)、『かけがえのない人間』(講談社現代新書、2008年)、『愛する意味』(光文社新書、2019年)など。

「2022年 『自由に生きるための知性とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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