政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315709

感想・レビュー・書評

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  • 世界情勢の中で、政府機関の嘘を我々が信じさせられているのではないか?
    9.11以降のテロとの戦いは、何だったのか?誰が得をして、被害や迷惑を被った側は誰なのか?10年経過して、アメリカは、どうなったのか。同じようなスキームに、日本の東日本大震災、3.11はなっていないだろうか?政府は、我々に、どんな意図をもって、正しくない情報を広めているのか。読んでいくうちに、マスコミ経由の情報は、全くあてにならないと実感しました。こんな状況を安易に受け入れてはいけないと考えさせられました。

  • 軽く目を通しただけて読むのをあきらめました。このてのジャーナリストが真実を発信する形のパターンの中でも主観が強すぎます。(本書が発売された時点ですでに)新しいことはなく、すでに別の人が主張しています。

    アメリカで起きたことは日本でも起こる。そう感じたときの相手の発言は常に正しいことになっている。取材現場にいた人の意見が正しく、政府が公表したものは間違っている、との前提が強固にあるため何が正しくて何が正しくないのかを検証しているとは思えません。

    また政府とメディアの関係も問題視していますが、アメリカと日本では癒着の形態が異なるのでアメリカのメディアが嘘をついたから日本のメディアも嘘をつくことにはなりません。

  • 政府やメディアが流す情報は曖昧で嘘が多い、なんてここ数年よくいうようになったと思うのですが、何故そういうことが起こるのか?の背景について書かれている本、という感じでしょうか。

    僕は311以降ですかね、そういうことが急激に意識が向くようになり、色々調べてみると???なことにぶちあたり、政、官、財、学、メディアの関係について知る事になりました。

    別途、日本の戦後について米国の介入が凄まじい事も知りましたが、近年のグローバル化や多国籍企業が唱える成長とは、俗にいわれる1%と人たちの利益を追求しているだけという視点があることも知りました。(一時、これらを陰謀論でくくって考えていましたが、本書ではそんなレベルのものではなく、現実に目に見える範囲で起こっていることと書かれています)

    この本は主に311以降に焦点があてられ、原発、TPPを題材に、カラクリの事例や、それへの気付き方についてが説明されており、もっともまずいのは市民が無知であること、だと書かれています。比較的ライトな書かれ方がされているので、少しでも疑問を感じた事がある方は手に取ってみると良いと思います。

    賢い人はとっくに気付いていたことかもしれませんが、そうではない僕らのような人たちは、こういった事実があることも知り、何が正しいかを知ることを訓練しておくといんじゃないかなぁ、と僕は思っています。

    TPPによってこれから日本を起こって行く事をイメージすると、なんだよどうにも止められないのかねぇ…と思ったりするわけですが、完全同等とは言わないまでも、アルゼンチンがそういった状況から脱する事ができていることが本書で書かれており、まるっきり光明がないわけでもないのかと少し安心しました。(別途調べてみるとこれはこれでとても複雑な経緯があるようですが…)

  • 米国野村証券に勤務中、アメリカの9.11テロに遭遇。
    以降、ジャーナリストとして活動を行っている著者。

    「政府や権力は嘘をつくもの」ということを前提に、
    原発、TPP、東北震災などの日本の重要な問題に対する真実、それを隠そうとする政府はどんな意図を持っているのか、を伝えてくれるとともに、アラブの春やバラ色革命などの世界情勢の裏側の現実も教えてくれる一冊。

    これから、僕たちに求められるのは、発表される情報に疑いを持ち、自分たちで調べて、判断して、そしてそれに対する行動だと思った。
    今まで以上に、毎日を真剣に考えて生きる必要があると痛感した、そうでなければ、明日は今までの生活が全て壊されているかもしれないから。

    「違和感」という直感を見逃してはならない。

    以下、気になった点をピックアップ。

    ■ショック・ドクトリン
    ⇒災害やテロ、クーデターや大規模伝染病など、人々が恐怖とショックで思考停止に陥っている間に、企業寄りの過激な市場化政策を推し進めてしまう手法。
    *ハリケーン・カトリーナの被害を被ったニューオリンズでは、「復興」の名の下に、地元民の意見を完全に無視した大規模な民営化が行われた。政府と癒着のある企業に事業が任せられ、政府は【不法移民の雇用解禁】と【最低賃金の撤廃】という規制緩和を行ったため、地元民は大きな打撃を被った。また、市場原理主義をベースとした教育改革(ブッシュ政権下の「落ちこぼれゼロ法」)により、教師は大幅に解雇され、組合が解体されてしまった。

    現在の日本に鑑みると、東日本大震災の被災地がそこに該当。
    政府は、同震災の被災地を「復興特区」に認定、被災地の農地や漁業権、住宅などを、外資を含む大資本に解放し、金融等の規制緩和を適用。企業や行政に大きな権限を委ねるものとなっている。

    ■TPP
    ⇒2015年までに工業製品、農産物、知的所有権、司法、金融サービスなど、24分野の全てにおいて、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃するという内容。
    企業がその国の政府を相手に訴訟を起こす権利(ISD条項)も付与される。例えば、政府が自国の産業に対して、保障制度などを採用した場合、外資などの企業は"不当だ!"と訴訟を起こすことができるようになる。

    ■リビアの真実
    ⇒リビア人は、高学歴・高福祉の国であるリビアを誇りに思っている。独裁者と呼ばれるカダフィは、家を持つことは人権だと考えており、新婚夫婦には約5万米ドルもの住宅購入補助金を、失業者には無料住宅を提供、豪邸は禁止。車購入時、政府が半額を補助。電気代は無料、税金ゼロ。教育・医療は高品質のものが無料で受けられる。大家族の食料費は固定相場、ローンは全て無利子。農業を始める国民には、土地、家、家畜、種子など国が無料で支給。カダフィ政権が始める前の識字率は10%以下だったが、現在は90%以上。これらの政策は、全て豊富な石油資源によるもの。
    アラブの春と呼ばれる運動は、石油などの利権が絡んだ西欧メディアによる"メディア戦争"。

  • そこは是々非々で。

  • 情報リテラシーを鍛えたい方は必読。
    西側的には良き事とされたあのアラブの春ですら、その背景を探るとグロテスクな事実が。

  • ものごとの本質に気づくことの重要さや、正しいと思われる情報を自分で見つけだすことの重要さについてかかれている。

    最近の日本政府の対応などをよくみて、その裏に隠された真実にきづけ!

    というメッセージが随所にちりばめられている。

  • 久しぶりにじっくり時間をかけて読んだ。
    それぐらい内容が濃く、今まで何も疑わずにいた事は、考える事を放棄してた事でもあるのかなと反省。

  • 「貧困大国アメリカ」等従来の著作に比して、やや荒っぽい。日本国内のことを論じている割に国内の関係者への取材が行き届いていないと感じる。「政府の嘘」といういかにもありそうな主題だけに、その分丁寧な取材が必要。単純に米国の状況とのアナロジーで論じてしまうと質の悪い陰謀論に陥りかねない。強いて言えば、(これまでの著作にもいえることだが)権力機構について論じる場合には、インナーに対する取材をもう少し行なうべきと思う。
    著者は、能力のあるジャーナリストだと思うので、期待をこめつつ、敢えて苦言を呈しておきたい。

  • 9.11後にグローバル企業が躍進し、格差が広がったアメリカと3.11後の日本を重ねる著者。直感的な違和感を大切に、情報の背景や利害関係を考えるくせをつけよう。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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