習近平と中国の終焉 角川SSC新書

著者 :
  • 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
3.61
  • (4)
  • (15)
  • (16)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 88
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047315907

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中国と言えばこの人。わかりやすい語りがよい。

  • 恥ずかしながら中国の政権については何も知らなかったので、最近の中国の政権事情、中国内での政府の扱い、権力図などが簡潔にまとめてある本書は非常に役立った。意思決定機関(今の権力者とその周辺)のその時の方針に合い、かつ親に問題がないことが起用されるには重要らしい。運に恵まれて、消極人事でのし上がった習近平である。2012年に著者は、彼は何もできないであろうと予想したが、4年経った今、習近平の例えば南シナ海への圧力などは予想以上ではなかろうか。これが民意に応えるということなのか?ハクキライの失脚についても勉強になった。

  • 中国ウォッチャーとして知られる著者が、格差と権力者の腐敗をキーワードに、薄熙来事件と習近平のトップ就任の背景を解説。「中国の終焉」というのはちょっと内容は違うけど。

  • 中国の現代を描く。

    ■中国共産党が真に恐れているものは、今後もし中国が本格的な経済の失速段階を迎えた場合、人民の政治に対する失望と苛立ちが高まり、文化大革命のように全国的な激烈な運動となって共産党政権を襲うことを危惧している。 この事態を避ける方法は「民主化」しかない。
    共産党は人民を恐れているのだ。

    ■「打黒唱紅」の衝撃
    「打黒」とは、マフィア撲滅作戦のことである。中国におけるマフィアの黒幕というのは、党や地方政府の身内であったり、公安の大幹部であったりするため、当局は取り締まりに手加減を加えるのが通例であったが、薄は容赦なく徹底的に断行し、決定的な成果を上げた。このため、「格差」と「不公平=権力者の腐敗」を怨んでいた市民は大いに沸き立ち、溜飲を下げた。

    「唱紅」とは、かつての革命ソングを皆で歌う運動を指している。これが「毛沢東時代は貧しかったが、皆、平等だった」と当時を懐かしむ大衆に人気を博し、全国に広がっていった。このことが文化大革命で酷い目に遭わされた共産党幹部たちに、もし文化大革命のような悪夢が再現されたらと、恐怖心を甦らせた。今や、格差と不公平に対する不満と怒りが、圧倒的多数の中国庶民の間で渦巻いている。発展から置き去りにされた者たちの怒りがいつ爆発してもおかしくない状況なのだ。

  • ここ最近の中国共産党の動きがよくわかる。薄熙来の失脚の背景や習近平が選ばれた理由等。これだけ色々と矛盾を抱えて中国共産党は今後もやっていけるのだろうか。

  • 易姓革命と民主化、
    共産党の一党支配、
    政治家を引退しても国民の中に入って安穏と暮らすことができる。

  • 薄熙来に関する一連の事件がやっとわかった。TV、新聞のニュースではわかんなかったから。すっきりしました。

  • 中国では警察とマフィアが一体化して利益を独占する現象を警匪一家という。
    ポスト習近平も、習と同じように貧しい地域、極貧地域を長く経験した人にフォーカスが当たっている。中国はより強く、人民に寄り添えるリーダーの育成を目指していることのアピール。

  • 最近、この手の本を立て続けに読んでいる。断片的におもしろいところと退屈なところがある。胡耀邦についての評価はちょっとおもしろいと思った。

  • 最近、中国のニュースがTVや新聞で報道されることが多いが、近現代の中国を知らないので何冊かの本を読んでいる。その中の一冊。

    習近平体制が明確になり、中国のことを勉強しようと読んだ本。薄熙来事件と文化大革命の関係は明確だ。
    -------------------------------------------------------------------------------------------
    文化大革命は、そもそもは権力回復を狙った毛沢東が1966年に始めた大衆運動をいうが、当時を知るものにとっては死者3000万人以上とも言われる暗黒時代の記憶でしかない。毛は反資本主義、反ブルジョアのもとで社会主義文化の創生を訴え共産党幹部や知識人を批判したが、これに呼応した学生らが紅衛兵と呼ばれる実行部隊を組織して暴力で人民の思想統制に乗り出すという暴走を生んだ。(中略)現在50代、60代という共産党幹部たちにとって、あるいは70歳以上の長老たちにとっても、文革は実体験として体に刻み込まれている忌まわしき記憶である。
    -------------------------------------------------------------------------------------------

    焦った薄熙来の行動は、毛沢東のころの文革をほうふつさせた。それを快く思わなかった人が多かったということだろう。一方で、民衆は格差社会が明確になる中、毛沢東時代を比較対象とした。そこに歴史のジレンマがある。

    習近平がトップに選ばれた4つの理由は、それほど珍しいことは書いていない。経験があって、引っ張ってくれる長老がいて、かつ、誰もが反対しない人物であったということ。つまり、圧倒的なリーダーシップではないということ。これが、今後の中国の問題にも繋がるだろうというのが著者の見方に思える。

    一方で、習近平が臨むのは、格差が大きくなる一方で、民衆が意思を持ち始めた中国だ。中国のタクシー運転手の話しが時代を象徴している。助手席に放り出された水筒を指差し、「80年代はどの運転手もこの中にお茶を入れていた。90年代の終わりごろにはコーヒーを入れるようになった。2000年を超えてからは同じコーヒーを入れてはいるが、それは薬になった。喉が渇くから飲むのではなく、眠さを吹き飛ばすために飲むものになったのだ」と。中国の格差社会は実社会で顕在化している。

    最後の、「胡耀邦が党中央に残したもの」という章も興味深かった。鄧小平以後の中国共産党は、基本的には鄧小平という偉大なカリスマの敷いたレールの上を進むしかなかったが、そこに隠された伏線として胡耀邦の残した「ねじれ」があるというのだ。それは、胡耀邦と人民の距離感といえると思う。社会資本主義という体制の中、格差が顕在化してきた共産党と人民の距離。やはり、ここにも歴史のジレンマがある。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年生まれ。台湾で中国語を学んだ後、北京語言学院を経て、北京大学中文系に進む。1988年に北京大学を中退後、『週刊ポスト』、『週刊文春』の記者として取材にあたる。2002年、フリージャーナリストとして独立し、中国情勢、中国問題を中心にインサイドレポートを発表している。
1994年、『龍の伝人たち』(小学館)で21世紀国際ノンフィクション大賞(現・小学館ノンフィクション大賞)優秀賞受賞。
さまざまなメディアへの執筆活動のほか、テレビ番組のコメンテーターも務める。2014年に拓殖大学海外事情研究所教授に就任。

「2018年 『感情的になる前に知らないと恥ずかしい中国・韓国・北朝鮮Q&A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

富坂聰の作品

習近平と中国の終焉 角川SSC新書を本棚に登録しているひと

ツイートする