NHK連続テレビ小説「あまちゃん」完全シナリオ集 第2部 (単行本1(5000円未満))

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  • 角川マガジンズ
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (711ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047319011

作品紹介・あらすじ

2013年4月?9月放送のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」。宮藤官九郎による書き下ろしシナリオのうち、ヒロイン・天野アキ(能年玲奈)が東京へ戻りアイドルを目指す第73回?第156回までを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 話がよく分かった。

  • 構成の緻密さ狡猾さ、セリフのリアルの妙、ギャグや小ネタに紛らしての深い人間洞察など、今なおクドカンの脚本に対するというより、作・宮藤官九郎ということへの同様の賛辞は尽きることなく頻出しているはずで、それはもちろん感慨深く再認識したのだが、まだ奥があった。今回Blu-rayにてドラマ鑑賞と併行して読み進んだことで、映像作品におけるパーツとしての脚本というスタンスを貫いていることに気付く。そしてそのことがむしろ全体を律していることを知った。演技、撮影、編集、そしてーこれが今回最大に効果をあげた要因としてあるー音楽をあらゆる影響力を持って脚本が導き出し、ディレクションしているのだということが如実に解かったのだ。結果、この脚本テキストを読むことよりも、当たり前だがドラマのほうが面白い。というか、2000年代未だにあらゆる表現はこの「あまちゃん」を超えていない。あらためて平服。

  • 親友・ユイを残し、アイドルになるべく一人上京した天野アキ。しかし待っていたのは“奈落”と言う、補欠の補欠のそのまた補欠と言う身分。ところがひょんなことから憧れの大女優・鈴鹿ひろ美に出逢い、付き人になることに。アイドルの卵として日々奮闘していくアキだったが、人気投票で圏外になり「君を必要とする人間はここにはいない」と言われ傷心のまま北三陸へ帰省。そこには変わり果てた姿のユイがいて――そして明かされる、鈴鹿ひろ美とプロデューサー太巻をめぐる、母・春子の“影武者”としての真実。春子と太巻の戦い、GMT脱退、種市先輩との恋ふたたび、映画オーディション、デビュー、和解……そして東日本大震災。アキはユイの笑顔を、海女カフェを、かつての北三陸を取り戻すことが――「ぎゃくかいてん」が、出来るのか!? 2013年日本中に大ブームを巻き起こし、朝ドラの歴史を変えた大傑作「あまちゃん」東京編・復興編の全脚本をカットされた部分もあますところなく収録。

    ちょうど再放送がまさに震災後の復興編に入ろうとしているところですが、放送終わる前に読み終わってよかった。前書きで訓覇チーフプロデューサーが第16週をベタボメしてるんですが、私も大好きでこの週が東京編で一番重要なところじゃないかなーとも思います。グレてしまったユイとアキのシーンにおいての「ダサイくらいなんだよ! 我慢しろよ!」「ここで過ごした思い出まで否定されたら、オラやってらんねえ!」と言うアキの想いの爆発や水口達による留守電リレー、そして何といっても春子がひろ美の影武者だったと言う衝撃の真実。ある意味では後半どころかあまちゃん全体を通しても最も山場と言うか、最重要回でもあったと思います。この週前半と後半でどっちも大きいことやってて、普通だったらどっちか一つをメインでやるだろうに、脚本の持つタフさというか、あるいは1週15分6回でちょうどいい長さとなる朝ドラの利点を感じました。
    個人的にはあまちゃんは若き日の春子(若春子)の未練、その浄化までの物語でもあると思ってて。アキの夢に出てきたり、太巻がオーディション中にアキを若春子の姿で見てしまったり、崩壊した海女カフェの中で出てきたり、回想だけに留まらず、時にはうしろめたさのメタファー(うしろメタファーと言われるんだとか)として様々なところで若き日の春子が現れる。人によっては(私もそう)“怨霊”と呼ばれるほどですが、この若春子が消えるのが最終週、ひろ美が歌った時と言うのが何より感動してしまうんですなー私は。読んでてじわっとしてしまったよ。和解自体は東京編最終回である第22週で決着がついてるんですが、ここで本当の意味で若春子の未練が果たされたのかなって。春子も気付けなかった未練があったんだと思うんです。考えてみればひろ美も音痴という真実を隠された影武者のようなもので、そのひろ美がやっと表舞台に立てたことで完全に呪いが解けて、何のわだかまりもなくあまちゃんを終わらせることが出来たんでしょうな。あ……潮騒のメモリーの「マーメイド」って……そういえば人魚姫は声を奪われて、王子様を別のお姫様にとられてしまうストーリーでしたね…放送当時にも指摘されてたけど今改めてそのシンクロ度に鳥肌が。やっぱ海の泡になって消えていったはずの春子、そしてひろ美が救済されるまでの物語でもあるんやな、あまちゃんは。
    私がこういう救済のストーリーが好きなものでついつい筆をそっちに割いてしまったけどあまちゃんの主役はアキでありユイです。震災後のユイがとにかく切なくて切なくて、なんか随所で泣きそうになりました。アキがユイに笑ってほしい、もう一度潮騒のメモリーズを結成したい、海女カフェで歌ってお座敷列車を走らせたい、その為に北三陸に戻ってくるその想いにもきゅんときた。恋愛ではないけど、アキの想いの向かう先ってもうホントにユイなんだなって思うとどうしようもなく可愛いなあ!と思わずにいらんない。「女の子の為に頑張る女の子」と言うものが好きな私にとってこのあまちゃんにハマらないわけがないのです。ほんとに2013年あまちゃんがあって良かった。めんどくさいユイが復活して最終回にユイの方からトンネルの向こう側まで「いってみよっか」と誘いかけるところ、もう朝あま本あままとめあま昼あま夜あまで泣きまくりました。アキユイとおとい……
    あらすじに「ぎゃくかいてん」(逆回転)と、作中の「見つけてこわそう」に引っ掛けて書いたけど、上手い具合に第一話や1984年7月1日の北三陸に戻っていくんですよね。まさに「アキちゃんだけののうりょく」で、アキ以外がやってもここまで上手くいかなかったでしょう。台詞とかもそうで一番ビビッとくるのがお座敷列車のことについて、アキが「オラにとってはスタート地点だ!真剣にやってもらわねえど困るんだ!」ってかつてのユイと全く同じ台詞を言うところ。あまちゃんには他にもこういう、かつての台詞を誰かが言うところいっぱいあるんですけどここは本放送でもすげー…って思ったところなので。クドカンがどれくらい計算してたかはわからないんですが、私もこれくらい綿密に計算や伏線を仕込んだ話を書いてみたいものです。
    カットされたところがやはり第一部と同様結構あるので、あまちゃん大好きって人にはやはりこの脚本集上下巻を熱烈にオススメしたいです。でも第一部の方でも書いたけど脚本だけじゃドラマは完成しない、役者さんの演技やアドリブ、演出や音楽や美術や…いろんな人たちの力が「あまちゃん」を創っていったのだなと思うこと必至なので、やはり脚本集と合わせてドラマ本編も何べんも楽しむとよいかも。

  • 第13週から第26週の東京〜帰郷編。実際の放送ではカットされたシーンや台詞が多い。すでに見ているシーンでも脚本を読み返すとホロリとくる部分が多い。大人数の台詞の応酬は読み応えがある。

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著者プロフィール

宮藤 官九郎(くどう かんくろう)
1970年生まれ、宮城県栗原市出身。日本大学芸術学部放送学科中退。脚本家、俳優、作詞家、作曲家、放送作家、映画監督、演出家、バンド「グループ魂」のギタリストなど多彩な活動で知られる。劇団大人計画所属。
2000年、『池袋ウエストゲートパーク』の脚本が出世作となった。『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』も担当して名を轟かせる。2005年『真夜中の弥次さん喜多さん』で映画監督デビュー。NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の脚本を担当。シナリオのノベライズを拒んでいる。

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