角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年 (単行本)
- KADOKAWA/角川マガジンズ (2014年2月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047319059
作品紹介・あらすじ
1976年「犬神家の一族」から始まり、「セーラー服と機関銃」「時をかける少女」など日本映画の傑作を生んだ角川映画初期10年の歴史を発掘!出版と映画のメディアミックスなど、日本映画を変えた秘密に迫る!
感想・レビュー・書評
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この本は2ちゃんねる用語で言うところの「おっさんホイホイ」で、角川映画全盛期に少年時代を過ごした私には買わずにはいられなかった。
1976年の『犬神家の一族』から1986年の『キャバレー』『彼のオートバイ、彼女の島』までを対象とした、角川映画の通史である。
もっとも、86年以降も角川映画は作られたのだが、この年で区切っているのは納得。実質上角川映画広報誌であった『バラエティ』もこの年に休刊しているし、ここで一つの時代が終わったのだ。
中川右介の著作がいつもそうであるように、関係者への取材はなしで、ひたすら膨大な資料を渉猟してまとめあげるスタイルが取られている。
後半になるほどたんなる事実の羅列という印象が強くなり、つまらなくなるが、それでも非常によくまとまっている労作だ。
角川映画は「角川春樹の映画」であったわけだが、本書を読むと、春樹のプロデューサーとしての才覚はやはり抜きん出ていたと、改めて感じる。
中川は本書で取り上げた角川映画のすべてを封切り時に映画館で観たそうで、「わが青春の角川映画」と「はじめに」に記している。
私はさすがに全作品は観ていないが、それでも7割方は封切り時に観ている。薬師丸ひろ子のデビュー時からのファンであったから、当然彼女の出演作はすべて観たし、『バラエティ』も毎月買っていた。
まあ、いま観直すと気恥ずかしくなる作品もあるが、『セーラー服と機関銃』あたりは日本映画史に残る傑作だと思う(最近DVDで再見したが、じつに映画的快楽に満ちた作品だと改めて感じた)。
薬師丸ひろ子の『野性の証明』でのデビューから、角川からの独立までの時期を扱った3~8章は、読んでいてたまらなくなつかしかった。
かなり読者を選ぶ一冊。
角川映画をリアルタイムで観ていた人々にとっては面白く、資料的価値も高いが、それ以外の人にとっては無意味に近い本(笑)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
角川春樹氏が異業種に参入してきたのが30代。
凄いエネルギッシュだ。
角川映画を最近見直してるけど、アクの強い作品が多いですねえ。 -
これくらいの時期に作られた映画のオムニバスサントラを聴きつつ読みました。
角川映画大好きなおじさんの話をだらだらと訊いている感じ。
面白かったけど疲れた!
原田知世に惚れた角川春樹の眼力たるや。
タキャシが渡辺典子推しなの思い出した。観なきゃ。 -
大量の宣伝費とメディアミクスにより出版界と映画界の双方から嫌うに嫌われまくった「角川商法」。その始まりから実質的に角川春樹の手を離れるまでにあたる『犬神家の一族』から『キャバレー』までの軌跡をつぶさに描いたノンフィクション。
大手五社体制が崩れつつあった当時の映画界において彼の仕事がなかったら現在の邦画の世界はすっかり変わっていた気がする。 -
出版界の怪人・角川春樹が社長時代の角川書店により作られた、いわゆる「角川映画」についてまとめた本。
綺麗にまとめられております。映画の内容というよりはその映画が作られた時代背景や社内背景などについて語られた本です。
やっぱりなんといっても薬師丸ひろ子がいきなり大スターとして登場する部分は読んでて盛り上がりますね。
日本全国に影響力を持つほどの大企業のトップが、荒くまとめるならば「文化」って分野に参入するってところから、セゾングループの堤清二との類似性を感じました。
でも角川春樹は自分からB級を志向していたんですね。
結果B級になってただけかと思ってました。
それにしても、売上成績とキネマ旬包の評価がこれだけ違うと、なんか映画評論って現実に存在しなくても影響ないんじゃないのと思ってしまいますな。
もっと売れ筋の分析とかしたほうがなんぼか世のためになるんじゃなかろうか… -
どうせなら、すべての「角川映画」について、詳しく書いてもらいたかった。