甘木唯子のツノと愛 (ビームコミックス)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 330
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047344907

作品紹介・あらすじ

「楽園にいたユニコーンは、そのツノで仲間を刺し、ノアの方舟に乗れなかったんです」
母親と離れて暮らす、ツノのある妹と、ツノのない兄。ふたりは秘密基地で、ある“特訓”を続けていた……。

2010年に月刊コミックビームでデビュー後(久野酸素名義)、アニメーターとして活躍している久野遥子の、待望の初漫画作品集。
その圧倒的才能に魅せられる、痛すぎるほど純粋な“少女”たちの物語。

収録作◆『甘木唯子のツノと愛』全3話/『透明人間』/『へび苺』/『IDOL』

感想・レビュー・書評

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  • 久野遥子さんの漫画作品は初めて読みました。

    コマの中の世界が独特で、紙面が久野さんにしか出せない雰囲気を漂わせている。また、余白の関係が考えられていてとてもカッコいいし読みやすい…。
    表題作は、様々な解釈ができそう。行間を読まなければいけないところが映画的だと感じます。

  • めっちゃヴィレヴァンに置いてそうな本やから欲しかった読んだ。IDOLの話が一番好き!!

  • 『透明人間』
    『IDOL』
    『へび苺』
    『甘木唯子のツノと愛』全3話

    ちょっと、ありえないくらい、ぐさぐさ刺さる。
    まずは『透明人間』で、あー描き方が少し独特で素敵だな、と。
    カメラ位置が俯角だったり仰角だったりと、斜め上下の視点取りに、まずは魅せられた。
    んで読み進めるうちに、幼女らが巨大な草や花やとにかく植物群を掻き分けて進むうちに、「入り込んで」しまった。
    飛行機が印象的に差し挟まれ、沖縄の小学校か……?と少し触れた沖縄の風景が浮かんだ。
    そのうち、まるでヘンリー・ダーガーを読んでいるような気持になったというか……うーん言い表すのは難しいが、幼女を描く線の柔らかさが、『非現実の王国で』の小さく儚いものへの憧憬を思い起こさせたというか、どこか似ているというか。
    ダーガーの少女が大きな葉っぱを玩具にしていることからの連想かもしれない。
    しかしただフェティッシュなだけではなく、「正しくないことをしたとわかっています、でももう自分には正しさがわからないのです」という「あの頃」「わかる!」を呼び起こす。紛れもなく現代の話なのだ。
    あえて説明を省いた行間で、感動を生み出す作法が、素晴らしい。

    デビュー作だという『IDOL』の主人公は高校生女子だが、彼女が好きな小学校の先生は、いってみれば卑小なヘンリー・ダーガー。
    そんな男に対し、
    「少女なんて、女が大きいか小さいかだけの違いじゃん」
    と言い切る、しなやかさというかつよさというか。
    ラストのコマは今後も振り返りたい。というか大林宣彦にぶっつけたい。

    『へび苺』はいわば理想的な「あのころの」少女漫画を現代のタッチで描き直したというか。

    『甘木唯子のツノと愛』はミニシアターで見たいタイプの話。
    好きだ。「少女の変容」という作家性が一番顕著。

    矢も楯もたまらず作者について調べている。1990年生まれ。tunblrを漁ったり。
    ・「Airly Me」卒業制作だとか。5分程度の至福。マジですごいよ。視線の優しさも。
    ・岩井俊二『花とアリス殺人事件』のロトスコープアニメーションディレクター。あー岩井俊二ね。自分の「好き」の軸を作ったあの人と、タッグを組んでいたのね。
    ・NHK『おかあさんといっしょ』の人形劇『ガラピコぷ~』OPアニメのアニメーター。あのドラッギーな! ケモナー手塚治虫が嫉妬に狂うんじゃないかなーとと思ったあのOPが、なんとこの人!
    ・『宝石の国』のED! あーあれ!「煌めく浜辺」に乗せて一種謎めいた簡潔な線で、しかし動くこと自体が快楽であるような、アニメーションを、なんとこの人が。
    ・「東アジア文化都市2019豊島」山下敦弘の実写映像をロトスコープでアニメーションに。初めて見たが、これは凄い。女の子が父母に挟まれて繋いだ手を引っ張って歩くところの、体重が前にかかっている感じとか。

    志村貴子や安永知澄に出会ったときと同じくらい、ざわざわしている。
    断然好きになった!

  • ツノ、果たしてどちらが生み出したものだったのだろうね

  • だからノアの方舟に乗れなかったんです

  • すごく引き込まれた。

  • 久野遥子さんの作品『甘木唯子のツノと愛 (2017)』を読んでみた。 おいら、大好きな作品集です!! 特に”IDOL”とタイトル作の”甘木唯子のツノと愛”がGood!! 切なくて、儚かなくてイイネイイネ!!

  • 「マンガ」を読んだという充実感が凄い。極論ストーリーなんてどうだっていい(本書に限っては内容も挑戦的なものでかなりいいが)と思わせる力。

  • すごく繊細な絵でした…

  • 作品集。

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著者プロフィール

1990年生まれ、多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。在学中の2010年に第12回えんため大賞を受賞し、月刊コミックビームに漫画作品を発表。卒業制作のアニメーション『Airy Me』で第17回文化庁メディア芸術祭[アニメーション部門]新人賞を受賞。卒業後はアニメーション制作へ進み、岩井俊二監督作の長編映画『花とアリス殺人事件』(2015年)でロトスコープアニメーションディレクターを務める。また2016年にはNHKのおかあさんといっしょ『ガラピコぷ~』のオープニングアニメーションを制作した。

「2017年 『甘木唯子のツノと愛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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