幻獣の書―パラディスの秘録

制作 : Tanith Lee  浅羽 莢子 
  • 角川書店
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本棚登録 : 30
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047911994

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんの魅力はなんといっても、耽美的な描写と流麗な語り口。退廃的な雰囲気。アールヌーボーの絵画の様な世紀末美術のような美しさ。
    時代に埋没させられた吸血鬼や異教の女神の復活を女性独自の観点から、退廃や冷笑に密かに宿る妖しさで描いています。
    そのため、作品にはキリスト教を題材とした異話、再話、新解釈のたぐいが多い気がします。
    この作品でもそれは色濃く出ていて、対立するユダヤ教、リリス伝説、ギリシャローマ神話、エジプト神話が盛り込まれそれを効果的にしています。

    彼女にはそうした世界に棲む美しい人々を生み出す魔力があるのです。


    彼女に出会ったことで私は幻想文学の世界に足を踏み入れ、学生時代は幻想文学ばかり読み漁る毎日でした。

    学校の図書館の幻想文学のエリアだけは…何故か狭い倉庫みたいな場所にあって、隔離され隠れ家みたいでした♪

    お気に入りの場所(*^-^*)

    私が小説に美しさを求めるのも、こうした幻想文学を読んで来たせいだと思います。夢幻的なものを写実的に色彩豊かに描くという文学。
    言葉遣いや語彙も多くはこうした小説で学びました。


    さて、肝心のあらすじですが。最初に書けば良かったですね(T_T)


    ――舞台はヨーロッパのとある幻想の都市パラディス。そこは公爵が統治し教会や貴族一門の館が並ぶ街。地方から学問を極めるため上京したラウーランは没落貴族デュスカレの屋敷に下宿する。まもなくラウーランはこの不気味な屋敷で美貌の亡霊と出遭う。その名はエリーズ。誰もがその名を忌み嫌う。やがて屋敷で起こる 奇妙な出来事の数々。その謎はローマ時代まで溯り、一族の呪われた運命が解き明かされてゆく……。


    ファンタジーと一口では括れない複雑な構造の世界や絵画が息をふきかえした美しさを伴ったリアリティ、彼女こそがストーリーテラーだと溜息すら出てしまいます。


    補足)他の幻想文学としては、メキシコの作家、カルロスフェンテスの幽冥界神話「アウラ」やメキシコ神話の神チャックモール復活の「チャックモール」や、Gマクドナルドの「リリス」も素敵です。

  • 想像以上に官能的で濃厚な話だった。翻訳も雰囲気が出ていてよいと思う。エロスやプシュケ、サロメといった耽美さを助長するモチーフが随所に織り込まれ、一方でキリスト教世界と異教の世界が底部にチラチラと見え隠れする構成が、読んでいてゾクゾクする。紫の書の終わりがわかりづらかったけれど、そこの部分も緑の書の最終部でよくわかったので、ホッとした。

  • ローマから離れたパラディスの退廃的な雰囲気の都市。この街にやってきた青年ラウーランが古い廃墟のような館の下宿屋で亡霊エリーズと出会う事から物語は始まる。エリーズの物語である紫の書を挟んで、魔物との狂おしい同調と戦いを描いている。アッシリアに端を発しユダヤ教に救われる。これはキリスト教への批判もあるのかな?

  • 彼女特有の神秘的でエロティックな
    ファンタジーが堪能できます。
    だけれどもその反面、なぜか
    このジャンルは腕のない人が書くと
    疲れるのです。

    彼女の作品はそうではなくて
    本当に神秘的で、
    まるで自分がその場面で
    第三者の視点で見ている感じでいられる本です。

    1体の悪魔に翻弄されるものたちの物語。
    ことごとくその悪魔によって
    男女さまざまなものが人生を壊されます。

    かなりグロいけれども
    読めてしまうのが不思議。

  • 学問をおさめるため地方からやってきた青年ラウーランは、下宿先のデュスカレ家にまつわる恐ろしい話を聞く。それははるか昔より続く呪いであり、やがてラウーラン自身にも魔の手が忍び寄る…キリスト教、ユダヤ教、ギリシア・ローマ神話、アッシリアなど、妖艶な幻想の匂いがふんだんに散りばめられていて、ドキドキするとともにめまいを覚えた。

  • 残念ながら処分。

  • ビアズリーの壮麗な表紙なのに、画像がないのが残念。
    パラディスの秘録2の邦訳。3.4は何故邦訳されないのか。

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