森の旅人 (角川21世紀叢書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047913271

作品紹介・あらすじ

我々はどこから来て、どこへ向かうのか?世界的霊長類学者が意識、生命、進化、そして魂の根源に挑む。21世紀を予見する画期的著作。

感想・レビュー・書評

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  • 全面的に著者の意見に同意する。物質的で外面だけ成功しているような人間の、精神的な内面の豊かさは必ずしも比例しない。むしろ、反比例するほど、貧しいぐらいだと思う。環境に悪い行為を繰り返している。世の中は便利になった。ただ、現代は悲劇的である。インターネットという飛び道具を擁していながら、教養をつけようとせず、ただ環境のことを考えず、毎日行動している。私は世界を変えることはできない。けれど、周りの人、友人、家族だけでも変えることはできる。それが全世界広がっていって欲しいとただ願う。私はなるべく、プラスチックゴミを出さないように再利用などを心掛けている。こういう本を義務教育で使い、多くの人に自然の現状を知って欲しい。

  • 著者の講演を聞きに行ったときに購入した本。チンパンジーの研究と環境保護運動に生涯を捧げている英国人女性の自伝である。原題は「希望の理由」。人間の持つ残酷さなどを知りつつも、人間の持つ良心への希望を捨てない生き様は、ある種の感動を覚えた。

  • 動物行動学者として心から尊敬する人のひとりであるジェーングドール博士の本の中でも特別に心を打たれるものがありました。

    チンパンジーたちとの距離感を縮めていく過程の中に、ジェーングドール博士の動物に対する尊厳の気持ちを感じることができ、その気持ちは博士の動物を観察して得られた内容のすべてにみてとることができるものです。

    ジェーングドール博士はチンパンジーの住む深い森の中で長い間生活をしながらチンパンジーの観察による研究を進めました。それはとても都会で育った人間が快適に住めるような場ではなかったことが想像できますが、その森に自分も共に連れて行かれているような感覚を得られました。

    本書に書かれたチンパンジーの行動は、ジェーングドール博士が専門的に論文として選別したものでなく、日常的なシーンで直接的な言葉から出されるものであるだけにワクワクする内容です。論文としてはそれほど価値のないものであっても、動物を理解することが愛であり、動物との距離を保つことがまた愛であることを、博士の姿勢を持って受け取ることができます。

    また本書は翻訳者が上野圭一先生と松沢哲郎先生という逸脱された先生方です。上野圭一先生は代替医療の専門家でもあり、見えない自然の力についての様々な専門的な本を国内に紹介してくださっている先生です。松沢哲郎先生は国内のチンパンジー研究者であり、ジェーングドール博士のようなフィールドワークでの観察者ではありませんがやはりその松沢先生の研究の中にも、深い愛を感じることができます。

    今は新書で販売されているようですので、自分は動物好きと思われる方、動物と共に暮らしている方、動物と関わる仕事をしている方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

  • 力強く聡明で、優しく穏やかな著者の生き方がとても美しいと思った。
    自分にはとても経験できないような人生を、この自叙伝を通してほんの少しでも体験することができて良かった。
    おもしろい本でした。

  • 著者は世界的なチンパンジー研究者で、環境保護・動物保護の活動家。この本は著者の自伝である。
    チンパンジー研究では有名な人なのだが、経歴がちょっと変わっていて、アフリカの動物世界に憧れて、単身友達を頼ってアフリカに渡り、そこで現地の博物館の所長のアシスタントになり、彼にチンパンジー研究を進められたんだそうだ。チンパンジーの住む森に、テント一式とノートひとつで住み込んで、チンパンジーの観察を続けたという。

    科学者・研究者であるが、動物の観察に「観察者」というよりは「共感者」の視点を持って挑んだというところが当時としては非常に果敢な行動だったと思う。チンパンジーに共鳴するというのは、つまり自分自身を自然の一部として認識することで、これは精神的な悟りのようなものだろう。科学者でありながら、こういう高みに達する人も珍しいんじゃないかしら。

    また、自らのクリスチャンの信仰を、著者が慣れ親しんだ自然、ひいては地球全体への敬意と信奉へと広げ、自然保護への布石とした点がとてもユニークで、月並みだけれども感動した。

    自然保護や動物保護は、もっと個人個人が深くかかわるべきことだと気づかされた。地球そのものが破壊され続けているのは本当で、自分の生活(または社会の一部)に犠牲が伴うとしても、そういうことを言っている場合じゃないということはよくわかった。
    著者は子供のころ、ナチスの犯罪に大きなショックを受けたそうで、その例を出して、
    「ゲシュタポの将校の職を維持するために、強制収容所が存在することが許されるだろうか?」
    これは面白い例えだけれど、地球環境の破壊をナチスの悪業と同等に捉えているあたりに、著者の環境問題への深い懸念が伺われる。

    原書が読みやすい英語だったのかもしれないけど、訳もとてもよかった。

  • 読み終えた後も売らずにずっと持っていたいと思えた本。ジェーングドールさんの愛に溢れる人柄が感じられる。また、人間には人間の、チンパンジーにはチンパンジーの世界があると知る事を通して、人間は自分達の力を過信せずもっと謙虚に生きるべきだと再確認した。

  • 一人一人が生きている限り世界に影響を与えている。小さなことから始めても、それが世界を変えていく力に変わっていく。
    私なんかが、と思わずにやろうと思う勇気をもらった。

  • 発端
    準備
    アフリカ
    ゴンベの森
    孤愁
    激動の十年
    失楽園
    悪のルーツ
    戦争のルーツ
    慈悲と愛

  • ジェーン・グドールの半生。
    世界はどこへ向かうのか。
    どこへ向かうべきなのか。
    原題は“Reason for Hope”

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ジェーン・グドールの作品

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