ベロニカは死ぬことにした

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047913448

作品紹介・あらすじ

ベロニカはすべてを手にしていた。若さと美しさ、素敵なボーイフレンドたち、堅実な仕事、愛情溢れる家族。でも、彼女は幸せではなかった。何かが欠けていた。1997年11月11日の朝、ベロニカは死ぬことに決め、睡眠薬を大量に飲んだ。だが、しばらくすると目が覚めてしまった。そこは精神病院の中で、彼女はまだ生きていた。そして医者は彼女に、心臓が弱っているので、あと数日の命だろう、と告げた-。

感想・レビュー・書評

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  • イゴール博士の、「普通さ」と「狂ってる」ことについての説明に、なるほどなあと思わされた(P200)。
    ベロニカは死ぬことを決意して大量服薬したのだが、その後意識が戻って余命が1週間足らずと告げられた時は一体どんな気持ちだっただろう…その気持ちの変化やその他いろんなことが、淡々と、でも丁寧に描かれている。

    博士は、薬の効能についても強調しているが、私は、その病棟での、人々、ピアノ、その他薬以外の環境との出会いも、影響を与えた重要な因子だと思う。

    博士の論文の最終章は「死を意識することで、より濃い人生を送るように力づけられることがある」だったそう。
    色々考えさせられた小説だった。

    多分、河合隼雄の本で紹介されてたから読みたい本リストに入っていた本だと思うのだが自信がない。でも読めてよかった。
    パウロ・コエーリョの「アルケミスト」も読んでみたい。

  • 「狂う」。

    いったん自分が狂ってるってことにしたら、どうなるか、っていう実験みたいなことを、精神病院での経験を通して伝えている、みたいなストーリーで、
    何が狂っていて、何が健常なのか、を改めて考えたり。

    ・・・
    自分が本当は情熱を持っていたり、大事だと思っていることを抑え続けてたら本当に精神病になる。そしてそういう状況が蔓延していたりするこの社会。

    個人的には、行き詰ったら、場所とか変えてみたら、違う常識に出会い、いろいろ吹っ切れると思う。

  • タイトルと冒頭から物語終盤近くまで続く陰鬱な雰囲気からのラスト数ページでの転調のような展開に、開放感と言うか希望と言うか、とにかく悲壮感漂うラストでなくて良かったなと思う。

  • 魂の救済。
    生命と向き合うこと。

    危ういほどリアルでいて、それでもおとぎ話のよう

  • 一日、一日が特別であり、自分を抑えて生きることなんてなくて、心の向くままに生きることが生なのだと感じた。
    本書が発行された2001年から今現在まで鬱病の問題はなお根深い。
    みんな普通であろうとして、狂人を避けて、時にはバカにして、そうした他者をみて自分に優越性を持たせる。
    とくにネットが普及した現在は、それをさらに広げている。
    もっと自分を素直に深く見つめ直し、少しズレていていようと心の声に従い、生きていきたい。

  • 自分に余裕が無くて、生きるのが嫌になった時とかに読めば響く本じゃないかなぁ。
    私自身今はそういう時期じゃなかったのと、ちょっと訳で読みづらかった。でも話自体は嫌いじゃないし、文庫化の際に訳にも手を加えてるそうなので、そのうち文庫版を買おうかな。
    本来、人間は自由に生きられるはずで。
    生きることを縛ろうとするあまりに、狂気が生まれるのではないか。

  • 生きることと、世界の見方、愛のかたち。いろいろな考え方があることが分かりました。一つ一つの言葉を理解するのは難しかったけど、後からひらめくことがあります。読んで良かったと思える一冊です。

  • 若く美しい主人公は、家族にも恋人にも恵まれて、職場についてもとりたてて不満を持っているわけではない。ただ、不満がないイコール満足感を得ている、ということにはならない。すべてを手にしているはずの彼女が、自分には何もないと感じていた。

    1999年11月11日の朝、ベロニカは死ぬことにした。

    とってもとっつきやすい設定だ。
    たまたま、ベロニカはベロニカなのであるけれど、これが日本人女性の、たとえばミカとかいう女であっても(名前を出すと妙にリアルなのですが……)、何ら不思議はない。
    端的に言えば、死ぬと決まってから生きることに目覚めていく過程が描かれた話。
    何となく「やっぱりな」と思わせる筋書きではある。結末も、かなりベタだった。きちんと答えが待っていて、きちんとおさまるべきところにおさまる感じ。そこまでに至るコエーリョの文章は、淡々としている。

    本書の良さと言えば挙げたいのは、国籍や宗教観を問わない点だ。他のコエーリョ作品はかなり宗教色が濃く、純日本人としては受け入れがたさを感じることもあるけれど、この本にはそういう抵抗感がなかった。すいっと水に入って、すいっと出られる。だから、すいすい読める。

    文体も、水のような味だ。味がないようなのが味なのだ。文章の温度が上がらず、コエーリョらしさが保たれ続ける。
    これが作家なのだ。シチュエーションに左右されて色や温度をかえたりはしない。淡々と、ベロニカはベロニカを、マリーはマリーを、コエーリョはコエーリョを続ける。
    あるきっかけを得て、ベロニカの視野は急速に広がることになるけれど、変化を書くにもどこまでも抑制が利いている。

    しんとした気持ちで、奇跡を受け止めてみた。
    二度と読み返すことはないだろう。もう読みたくないからという理由ではない。必要ないのだ。二度、三度と読まなくても、一度で充分に感じさせてくれる小説だから。

    ※bk1掲載書評

  • つまらなかった。いいこと書いてるんだろうけど気持ちが入り込めなかった。「アイデアはいいんだけど書き方が下手」的に原作が悪いのか、海外作品によくある「翻訳が下手」のどちらかだと思う。

    舞台がそこだというのもあるけどユーゴスラビアのことに触れてたのはよかった。いままで考えたこともなかったので、その辺のことを考える機会を与えてもらった。

  • タイトルの魅力が卑怯だ。

    病人たちがえー?って病状でなんだかな。あまり好きじゃない。

    「日本人でさえそんなことで自殺しないよ」みたいな言い回しでちょっと吹いた。

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著者プロフィール

1947年ブラジル、リオデジャネイロ生まれ。現代において最も影響力のある作家の一人といわれている。2002年よりブラジル文学アカデミー会員。著作の多くが世界的ベストセラーとなり、88か国語に翻訳され、これまで170以上の国々で3億2000万部以上を売り上げた。多くの名誉ある国際的な賞を受賞しており、そのなかにはフランスのレジオン・ドヌール勲章がある。2007年には国連ピース・メッセンジャーに任命された。

「2021年 『弓を引く人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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