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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784047915060
作品紹介・あらすじ
強引な社長や独りよがりの専門家が下した判断よりも、何も知らない素人の集団の判断の方が、実は正しい。カリスマCEOよりも賢い意思決定の方法を具体例で紹介。「烏合の衆」が秘めた驚くべき潜在能力とは?
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
集団の意見が専門家の判断を上回る可能性について探求する本書は、私たちの意思決定における「正しさ」の概念を再考させます。具体的な事例を通じて、意見の多様性や個々の独立性、情報の分散性が賢い判断に寄与する...
感想・レビュー・書評
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体感的、経験的には「みんなの意見」が正しい事をある程度、私も知っている。関連する本でも読んだ。しかし、本著で述べられる潜水艦の位置や雄牛の重さを皆で当てるような「正しさ」には答えがあるから、答え合わせが可能だ。そうではない議論の場合、「正しさ」はどこにあるというのか。本著の盲点は二つ。一つは、答えがある問いに対し、大衆が答えに近付いていくメカニズムを解き明かしてはいない点。もう一つは、「正しさ」を定義していない点。
考えられるのは、議論に関与する人数が多く、より多くの人の意見が反映される議論の場が成立しているならば、気付きの数が増える分、全体利益に結びつきやすいという事。立場により利益が異なる場合でも、議論に参加する事で納得感が得られるならば、より「正しさ」に近づくのだろう。つまり、「正しさ」とは答え合わせが可能な範囲では、その経済合理的な最適解を。答え合わせが難しい場合は、大衆の納得感を指しておくのが良さそうだ。それなら数多く議論した方が、正しい方向に導かれるではないか。
経済学者ハーバートサイモンは、私たちは有限の合理性しか持ち得ない存在であると言う。限定合理性による判断を持ち寄って、全体利益っぽい決め事をする。個々のモチベーションは、自己利益の追求と最後通牒ゲームのようなフリーライダーを罰する心理的動機による。
経済合理性という言葉も範囲が不確かかも知れない。つまり、種の保存可能性を最大化する結論が正しさであり、後は、同種の範囲を自我の赴くままに規定していくのだろう。国、民族、ファミリー、会社、など。その国の正しさは、他国には不利益で大間違い、なんて日常茶飯事。それに対して、独裁でも民主主義的手続きであっても、答えなんて簡単に出ない。そこには、立場を選ばない限り、正しさが無いのだから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
みんなの意見が専門家の意見よりも優れることを例を出しながら話す本
条件はあるが専門家よりも正しい意見を出せるというのは興味深い。一方で集団として賢い判断をするための条件の難しさもわかる。
賢い判断のためには
①意見の多様性:独自の私的情報
②独立性:他者の考えに左右されない
③分散性:身近な情報に特化し、利用する
④集約性:個々人の判断を集計し一つの判断に集約するメカニズムの存在
個人の回答の情報と間違いのうち間違いが相殺され情報が残る
できるだけ多くの選択肢を列挙し、そこから選択する
認知的多様性、調達先、アプローチ
大量の敗者を排出できる能力、敗者をはっきりさせ速やかに淘汰する能力
集団思考:異なる意見が合理的にありえないと思わせる
情報カスケード:情報不足の中で判断が積み重なる
賢い模倣①潤沢な選択肢②自分の意見を優先させる人の存在
個人が専門性を通してローカルな知識を入手、集約して集団全体に組み込む
認知の問題:個々が影響しない、調整の問題:個々の利益追求で解決可能、協力の問題:周りの人を信じる姿勢が肝要
信頼から手に入れられるメリットが非常に大きい
税金①周りの人の支払いの信頼②政府の使用法の信頼③悪を罰する信頼
議案が明確で、参加者全員が発言できるようリーダーが振る舞うと議論がいい方向に向かいやすい
権限の分散化により①関与度が高まり業績が高まる②調整がしやすくなる -
我々は有限の合理性しか持ち得ない存在である(ハーバート・サイモン)
家畜の重さ、スコーピオンの位置、チャレンジャー号の事故に関するエピソードからわかるように、適確な意思決定には意見の多様性が不可欠であると思います。
今は、基本的に一人で明細書を書いています。一人といっても、技術者に書いて頂いた原稿を基にしています(実施例などの実験は書けないので)。
現状の業務形態では、できるだけ他人に頼らずに一人で多様性を維持する必要があります。そのための工夫として「一度書いてから時間を空けて見直している」や「技術者の方とできるだけ口頭での議論をする」などを行っています。今のところ、自分にできそうなことはこのくらいでしょうか。
後は、経験だと思います。ただし、これから30年パテントエンジニアを続けるとして、1ヶ月に3件提出したとしても、たかだか3×12×30=1080件にしか対応できません。
時間の制約はありますが、1件1件魂こめて作成したいものです。でも、専門家にありがちな「ただ間違っているだけでなく、自分がどれだけ間違っているかすらわかっていない」には陥らないようにしたいと思います。 -
個々判断した「みんなの意見」は案外正しいと思う。
でも、「みんな」は多くの人に左右されやすい。
だからいじめも減らないし、バブルもおこる。
「そうそう!」と言えるなじみがあるやわらかい事例から企業、市場、民主主義などビジネス的な話題まであって、マーケティングや組織作りの参考になりました。 -
1~6章
序盤は、集団の知恵が個人の専門家の知恵を上回るのはどのような時なのかを、ギャンブル、株式市場といった現実社会の事例や、実験上で起きた仮想の事例から読み解く。それらの事象を通して、集団の意見が優秀な個人の意見を上回る時は、集団の「独立性」と「多様性」が保障されている時であると示す。一般的に、集団の行動とは理性からかけ離れたものだと考えられているが、それは上記の「独立性」と「多様性」が保障されていない場合だと著者は論じる。独立性が保障されていなければ、ある事象の判断の際にたまたま先頭に立った人の意見が重んじられることになり、多様性がなければたとえある一人が誤った判断をしても、集団で見れば正しい判断ができるという集団のメリットが失われてしまう。集団において独立した個々人は、他者が持っていない情報を持っており、また個人が犯した間違いが他者に伝搬しないので、集団として間違いを犯すことはない。
また、一元管理的に権力者や専門家だけが意思決定をするのではなく、「分散性」をもったコミュニティのもつ力についても触れている。ただし、あくまで各人の意見を集約するメカニズムが必要だと注意する。
話は「調整」、「協調」へと移っていく。一人ひとりが市場のようなメカニズムに組み入れられると、自己の利益を追求することで他社とのうまい調整は行われると筆者は述べる。ただし、合理的ではない社会的な慣習があるなど、「こうあるべき」という目標に対して障害がある場合は、正しい調整が行われないこともある。「協調」の事象の場合は単純ではなく、一人ひとりが自分の利益を追求すると、集団が協調的である場合よりも全体的な利益は劣ることを、公共財などを例にして示す。
7~12章
後半は、実社会における事例を、1~6章で解説してきた「みんなの意見は大体正しい」という主張に照らして分析していく。章ごとに別の話を取り上げているので、ここでは特に面白いと思ったスペースシャトル「コロンビア号」の事故の話と、なぜバブルが起きるのかという話についてまとめておこうと思う。
2003年、コロンビアの飛行管理班、MMTとコロンビアの搭乗員は断熱材の破損の事実を軽視して悲惨な事故を引き起こしてしまった。筆者は、宇宙飛行に関する専門家たちが正しい判断を下せなかった理由を、視点の多様性の欠如にあると述べている。現在のNASAは、大学を卒業してすぐに入社した人が多い。MMTメンバー内に多様性がないために、「集団極性化」という現象を起こした。これは、集団に偏りがあるときに話し合いをすると、話し合いの後では集団の意見はその偏りのほうに極端に移動するという現象である。この現象は、人々の価値基準は「社会的比較」にあるから起きるのだとする。最初は意見が中立にあった人も、集団全体の意見が偏っている場合、自分の意見をその偏りのほうに移動させることで自分の中立の立場を確保する。このため、話し合いをすると段々偏りの側に意見が動いていくのである。
バブルはなぜ起きるのか。バブルが起こる原因は、株式が転売可能であるからだ。普通、リンゴやテレビを買う時には、転売することを考えない。なので、リンゴやテレビの価値を判断するときには、相対的に独立した状態で判断する。しかし、株式は、企業の収益の配当を得る権利を持っているのと同時に、転売して売りぬくことで差額の収益を得るという性質も持っている。このため、株価は相互依存した判断に基づいて決まっている。人々が高く買うことが予想できれば株価は上がるし、そうでなければ株価は下がる。投資家は個人個人で考えて投資するので、普段は相互依存と独立性が共存している。しかし、何かのきっかけで相互依存の方向へ大きく傾くと、バブルが発生する。他者が高く買ってくれると予想するから高い価値をつける、といったように。ここでわかるのは、集団がお互いに模倣し合うようになると、集団は賢くなくなってしまうということである。
注目点
本書を読んで一番納得させられたのは、「集団が賢くなれるか賢くなれないかは、多様性と独立性にある」という部分です。一般的に集団は賢くないと思われていますが(自分も集団は賢くないと思っていました)、いずれの場合をみても集団が狂気に狂うのは、自分の意見を持たないで集団に依存してしまったり、反乱分子を抑圧してしまったりする場合であり、多様性と独立性に欠ける場合がほとんどだとわかりました。バブルや暴動は前者の例、談合や貴族政治は後者の例でしょう。
現実にどれだけの集団が多様性と独立性を持っているかというとかなり疑問です。人間は人に流されやすく、また声高な人の意見を採用してしまうきらいがある気がする。本書中でも、意見が賢くなる好例として賭けのときを挙げているように、社会で役に立つレベルで集団の意見を採用している場合というのはあまりないような気がします。集団の意見をより活用するためには、集団の独立性を確保できる状況と、その意見を公平に集約する機関が必要だと思います。
そう考えると、近年話題の裁判員制度などは、制度の是非はともかく、集団の意見を活用する場としては面白いのかもしれないですね。
l -
訳者のあとがきで著者の職業が一切書いていないので、論文の参考文献としてきちんとしたものかそうではないかわからなかった。アマゾンで見るとビジネスコラムニストということで、後半でビジネスのことが多様されているので納得がいった。
参考文献が訳では明記していないので論文をこれから書こうと思う場合は結構大変かもしれない。話としては面白い。
悪名高いゴールトンが市場で牛の優劣を専門家だけが見分けると考えていたがそうではなかったという説明は初めて知った。 -
面白かったけど、納得感は薄かった。実例はあれど結果が示されてなかったからかも?私に合っていないだけだと思うけど、こういう本は共通して、話があちこちする印象でいまいち読みにくい。でも案外正しいのは、今後生きていく上でちょっと参考にできそうだなと思う。
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面白くなかった
タイトルに騙された・・・ -
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文庫本が出たので読んだ。間違いなく★★★★★だ。
英文原著は2004年とのことだが、インターネットのことはほとんど触れていない。事例は株式市場や渋滞、企業組織、民主主義などで、時流に迎合していない。そのため、時代を超えた普遍性が感じられる。もし仮に2004年時点でインターネットを中心に具体的に語っていたら、2010年の今から見るととてもチープな内容だっただろう。
はじめに 7
第一部
第一章 集団の知恵 22
第二章 違いから生まれる違い 47
ー8の字ダンス、ピッグズ湾事件、多様性
第三章 ひと真似は近道 68
−模倣、情報の流れ、独立性
第四章 ばらばらのカケラを一つに集める 94
−CIA、リナックス、分散性
第五章 シャル・ウィ・ダンス? 115
−複雑な世の中でコーディネーションをする
第六章 社会は確かに存在している 143
−税金、チップ、テレビ、信頼
第二部
第七章 渋滞 184
−調整が失敗したとき
第八章 科学 201
−協力、競争、名声
第九章 委員会、陪審、チーム 222
−コロンビア号の惨事と小さなチームの動かし方
第十章 企業 245
−新しいボスって、どうよ?
第十一章 市場 278
−美人投票、ボウリング場、株価
第十二章 民主主義 312
−公益という夢
訳者あとがき 331
解説 山形浩生 336
はじめに
p16 集合的な知力の論点:認知・調整・協調
必要条件:多様性・独立性・分散性
第三章 ひと真似は近道
p68 スティーブン・ジョンソン「創発ー蟻・脳・年・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク」
アリのコロニーは非常にうまく機能している。たった一匹のアリがコロニーに君臨することはない。命令するアリもいない。一匹一匹のアリは個体としてはほとんど何も知らない。それなのにアリは食糧を見つけ、仕事をすべてこなし、再生産する。
p78 集団に同調し、大きな失敗を避けたほうが、革新的な手法を導入して大失敗をするよりも、感情的にもキャリア的にも納得しやすい。この現象をハーディング(群衆行動)と呼ぶ。
p78 ケインズ「世俗的な知恵が教えるところによれば、世間は評判を得るためには、慣行に従わないで成功するよりも、慣行に従って失敗したほうがよいのである。」
第五章 シャル・ウィ・ダンス?(調整)
p114 ネットエクスチェンジ社は2004年には新しい政策分析市場を設立し、一般に公開すると発表した。政府の干渉を一切受けないものになる予定である。
p134 映画館は需要と供給の法則を無視している。
第六章 社会は確かに存在している(協調)
p150 相互応報原理ー自分にとってまったくメリットはないのに、悪い行いには制裁を加えたい、よい行いは報いたいという気持ちである。経済学者のサミュエル・ボウルズやハーバート・ギンタスが提唱した。
p179 みんなに税金を負担してもらうためには三つの信頼が重要になる。
1人々が自分の周りの人間を信頼すること。
2政府への信頼。
3国家が悪者を探し出して罰してくれる一方、無辜(むこ)の市民は罰しないだろうということへの信頼
第八章 科学
p209 研究成果やデータが公表されるおかげで、ほかの研究者がそのデータを使って新しい仮説を立てたり、新しい実権を行えたりするようになる。
p212 協力と競争の奇妙なブレンドが生まれる土壌は、情報への自由なアクセスを求める科学研究のエートスにある。
p213 科学革命が起きた時代は、「”オープンな科学”という概念が出現し、自然界に関する知識の所有権がなくなり、科学的進歩や発見が公然の知識となった時代である。
第九章 委員会、陪審、チーム
p236 集団極性化ー話し合いが行われた結果、集団の判断が前よりもひどい内容になることもある。
p242 集団の中でいちばん優秀なメンバーよりも集団全体としてのパフォーマンスのほうが優れていることが多い。
第十章 企業
p248 (ザラの例を引き合いに)調整に長けている企業が栄え、そうでない企業は苦戦する運命にある。
あとで追記。 -
【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】
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組織体での意思決定に関わる人は必読だと思う。
原題は“THE WISDOM OF CROWDS”であるが、それを直訳せず、「〜案外正しい」とした点が素晴らしい。
なぜなら、それは常に正しい訳ではなく、「ある条件が揃っている時には」個人よりも集団の方が正しい意思決定を下す、というのが本書の主張であるからである。
「群れのルール」と併せて読んだので、理解がより深まった。
[more]
集団の知恵
違いから生まれる違い―8の字ダンス、ビッグス湾事件、多様性
ひと真似は近道―模倣、情報の流れ、独立性
ばらばらのカケラを一つに集める―CIA、リナックス、分散性
シャル・ウィ・ダンス?―複雑な世の中でコーディネーションをする
社会は確かに存在している―税金、チップ、テレビ、信頼
渋滞―調整が失敗したとき
科学―協力、競争、名声
委員会、陪審、チーム―コロンビア号の参事と小さなチームの動かし方
企業―新しいボスって、どうよ?
市場―美人投票、ボウリング場、株価
民主主義―公益という夢 -
タイトル通りの内容である。少数の専門家による密室での結論より集合知の方が良い結論が出る可能性が高いということ。
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同じような内容の繰り返しで、先が読めてしまう。
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読みやすい所と読みにくい所が、ありました。後書きを読むとカットした部分もあるそうなので、今の時代(2016年)なら完全版が出てもよさそう。集合知を働かせるには、仕組みが大事ということがよく分かりました。
小さい集団では、特に多様性、独立性、分散性、集約性がうまく働く仕組みが大切かな。
この本を軸にトークショーやワークショップがあるといいなぁ。
コミュニティや組織がうまく機能していないと感じている人は、読んでみるといいです。 -
なるほどと思う反面、じゃあどうすればそういう意思決定できる組織になるのだろう。
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大勢の集合知は有能な個人よりも正しい? 様々な事例からその是非を考察。
タイトルの"案外正しい"のとおり、この本には集合知が活かされる場合だけでなく、そうならない事例も多く挙げられ、集合知が活きるにはどんな条件が必要なのかを考察している。
最終章にあるように、この本は民主主義を考える上でとても重要な一冊である。一人一人が自分でちゃんと考えることで初めて民主主義は機能するのだと思う。
小高尚子の作品
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