ペネロピアド (THE MYTHS)

制作 : Margaret Atwood  鴻巣 友季子 
  • 角川書店
3.22
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本棚登録 : 42
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047915091

感想・レビュー・書評

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  • 神話を女性目線で語る試みは面白いことが多い気がします。
    トロイア戦争をカサンドラ目線で語ったヴォルフの「カッサンドラ」も面白かったし。

  • 図書館で。
    ホメロスのオデッセイは高校時代、授業でやったな~と懐かしく思いだしました。その妻のペネロピアドは貞淑で賢い妻、というのは覚えてましたが彼女の視点からの物語はちょっと面白い。死者の国に居る亡者が降霊で時々呼び出されるってのも面白い発想だなぁ。確かに貞淑な妻よりも傾国の美女の方が話は聞いてて面白そうだよな。

    ペネロピアドは覚えてたし、寝台の話も覚えてたんですが求婚者と同時に殺された12人の侍女ってのは覚えてなかったなぁ…。このお話ではペネロピアドの密偵のような扱いだった事になってますが…確かに何を思ってオデッセイは彼女たちも惨殺したんだろうか?

    過去の記憶は美化されるものだし、罪は仕方の無かった事だと思いたがるものですが…それを許さない、過去の自分の罪をまざまざと思い起こさせる存在が居たら… 確かに居たたまれないだろうな。でも当事者の口から語られる過去はその人に都合が良い展開になっているのはまあ仕方のないことなのかもしれない。そんな事を思いながら読みました。面白かったです。

  • ギリシャ神話の英雄、オデュッセウスの妻であるペネロペイアから見た、オデュッセウスが旅から帰還するまでの物語。作者としては、特に帰還後殺されてしまう12人の女中たちのことをどう解釈したらいいのかを描きたかったらしい。

    文体はお気楽な感じで処刑までもがあっけらかんと進んでいく。なんだか面白い作品。

  • いつだってとばっちりを食うのは名も無き乙女。
    神話に潜む現実。

    アトウッドらしい短編、面白かった。

  • ●新聞読むのもしんどいくらい目がやられてる今日この頃。
    いやあ、これだけ字組みに余裕があると、よみやすいなあ。ヽ(´∇`)ノ
    て、そんなことを言うくらいなら、ネットやめりゃいいんですけどね・・・パソコンないと成立しない仕事だもんで・・・・・・。

    ●それはさておき。
    ホメロスの『オデッセイア』で有名な妻の鑑ペネロペイアを語り手とし、
    「しかし、本当に彼女は貞女だったのか? オデュッセウスは英雄だったのか?」
    と問いかけ、語り(騙り)直す物語。と言うより詩。詞?
    おみごとな文章です。
    雰囲気的に、『バタフライ・キス』をちょっとおもいだした。話の内容はまったく似てませんが。

    ●信用できない語り手ペネロペイアちゃんに1票で賞。
    短くても読みでがあるで賞もダブルで。

  •  ギリシア神話で有名なオデュッセウスの妻であるペネロペイアのお話。彼女は死後の世界から、夫がトロイ戦争へ行き、帰還するまでの20年について語る。

  •  アマゾンでは、あまり評価が高くないみたいだけれど……でもアトウッドのような作家が、この題材に取り組みたくなるのもわかる気がする。「オデュッセイア」を読むと、男どもの身勝手さがほんと半端ないから。

  • 入手方法:もらいもの(借りもの?)

    大学の授業でも取り上げられたアトウッドは、ちょっと気になる作家でした。

    文体ががっつりしゃべりことばなのがちょっと苦手です。しかし、どの語り手も信用できなくて物語の真実というものが最後まで明かされない様子は、実にいい。これは神話の本来性のパロディ化ですね。神話はある時期まで口承のものでしたし、口承ゆえに地域性を帯び、ある意味では信用できない、しかし同時に多様性のあるものになりました。このふたつの要素が、たびたび人を立ち返らせて止まない魅力なのでしょう。

  • オデュッセウスの妻ペネロペイアを新解釈で描いた凝った構成の作品。ホメロスの叙事詩の中では、トロイア戦争に行ったきり帰らない夫を待ち続けた貞節な妻として描かれているペネロペイア。
    戦争の原因となった美女ヘレネとは従姉妹にあたるのですが、まったく対照的。
    20年も主のいない王国と幼い息子を守り続けた女性の側から見た真実とは…?
    オデュッセウスが帰国した途端、宮廷で王位を狙っていた求婚者だけでなくペネロペイアの女中達も処刑されてしまったことに注目、彼女たちはペネロペイアのスパイだったという解釈で、身分の違う女性同士の葛藤も含めて描いています。
    母系社会から嫁とり婚へと変わっていく時代が神話の背景にあるというのは、そうかも知れませんねえ。
    黄泉の国に行ってからも美貌を誇り、男性の魂を引き連れて歩くヘレネには笑ってしまいます。
    アトウッドはカナダの作家で、一筋縄ではいかない語り部ですね。やや実験的とも言える作品。
    この本は2005年11月世界同時刊行「新・世界の神話」〜超一流作家による神話の書き直しを毎年数点ずつ出していこうという壮大な企画だそうです!

  • ギリシャ神話の知識のない私にはわからなかったっす

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著者プロフィール

Margaret Atwood 1939年カナダのオタワに生まれる。オンタリオ北部やケベックで少女時代の大半を過ごし、トロント大学に入学、ノースロップ・フライのもとで英文学を学ぶ。その後、ケンブリッジ、ラドクリフ大学で英文学修士号を取得。さらにハーバード大学大学院で学んだ後に、カナダ各地の大学で教鞭を執る。処女詩集『サークル・ゲーム』でカナダ総督文学賞を受賞。詩、長編、短篇小説から評論、児童書まで幅広く活動する。詩集『スザナ・ムーディーの日記から』(1970)、小説『食べられる女』(1969)、『浮かびあがる』(1972)、『侍女の物語』(1985)『Alias Grace』(1996)などで世界各国の文学賞に輝く。最新作『The Blind Assassin』(2000)でブッカー賞を受賞。評論集『サバイバル』(1972)ではカナダ文学とは何かを正面から問いかけた。邦訳書に『キャッツ・アイ』(マーガレット アトウッド 著、松田雅子、松田寿一、柴田千秋訳、開文社出版、2016年)、『負債と報い――豊かさの影』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子訳、岩波書店、2012年)『死者との交渉―作家と著作』(マーガレット アトウッド著、中島恵子訳、英光社、2011年)『オリクスとクレイク』(マーガレット・アトウッド著、畔柳和代訳、早川書房、2010年)『またの名をグレイス 上・下』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子訳、岩波書店、2008年)『ペネロピアド(THE MYTHS)』(マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、角川書店、2005年)『良い骨たち+簡單な殺人』(マーガレット・アトウッド著、中島恵子訳、北星堂書店、2005年)『カンバセーション アトウッドの文学作法』(マーガレット・アトウッド著、加藤裕佳子訳、松籟社、2005年)『ほんとうの物語』(マーガレット・アトウッド著、内田能嗣 訳、多湖正紀・山本紀美子 共著、大阪教育図書、2005年)『昏き目の暗殺者』(マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、早川書房、2002年)『闇の殺人ゲーム』(マーガレット・アトウッド著、中島恵子訳、北星堂書店、2002年)『寝盗る女 上・下』(マーガレット・アトウッド著、佐藤アヤ子・中島裕美 共訳、彩流社、2001年)『マーガレット・アトウッド短編集』(マーガレット・アトウッド著、Alan Turney編、久慈美貴 注釈、ロングマン・ジャパン、1998年)『食べられる女』(マーガレット・アトウッド著、大浦暁生訳、新潮社、1996年)『サバィバル』(マーガレット・アトウッド 著、加藤裕佳子訳、御茶の水書房、1995年)『Sudden fiction (2)』(「ハッピー・エンド」 Happy Endings 収録。ロバート・シャパード 著、ジェームズ・トーマス 訳、柴田元幸 著、文芸春秋(文春文庫)、1994)『ファミリー・ポートレイト—記憶の扉をひらく一枚の写真』(「偉大なる叔母たち」 Great Aunts収録。キャロリン アンソニー (Carolyn Anthony)編、松岡和子・前沢浩子訳、早川書房、1994年)『浮かびあがる』(マーガレット・アトウッド 著、大島かおり訳、新水社、1993年) 『青ひげの卵』(マーガレット・アトウッド 著、小川芳範訳、筑摩書房、1993年)『スザナ・ムーディーの日記』(マーガレット・アトウッド著、平林美都子 他訳、国文社、1992年)『侍女の物語』(マーガレット・アトウッド著、斎藤英治訳、新潮社、1990年→ハヤカワepi文庫(早川書房)2001年)『ダンシング・ガールズ マーガレット・アトウッド短編集』(マーガレット・アトウッド著、岸本佐知子訳、白水社、1989年)『描かれた女性たち 現代女性作家の短篇小説集(SWITCH LIBRARY)』(「急流を下る」 The Whirlpool Rapids収録。マーガレット・アトウッド・アリス マンロー・アン ビーティ 他著、岸本佐知子 他訳、Switch編集部編、スイッチ・コーポレーション書籍、1989年)などがある。

「2001年 『寝盗る女 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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