ロスト・シンボル 下

  • 角川書店 (2010年3月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (362ページ) / ISBN・EAN: 9784047916289

作品紹介・あらすじ

人質となったピーターを救うには、フリーメイソンが代々守り伝えてきたという”古の神秘”を探し出さねばならない。アメリカ建国の父祖が首都ワシントンDCに散りばめた象徴を追って、ラングドンが駆けめぐる。  

みんなの感想まとめ

信仰や神秘がテーマとなる本作は、ラングドンシリーズの中でも特に深い内容が展開されます。抽象的な考察が多く、時には難解に感じる場面もありますが、緊迫感と展開の速さが読者を引き込みます。特に、フリーメイソ...

感想・レビュー・書評

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  • ダン・ブラウン「ロバート・ラングドンシリーズ」第3弾『ロスト・シンボル』。

    アメリカ建国の一助を担った組織「フリーメイソン」と、その組織にのたまう数々の陰謀論、そして隠された真実に、主人公ロバート・ラングドンが巻き込まれるという物語。
    ロン・ハワードによって映画化の予定が進められていたが、突如として予算が切り上げられて撮影の続行ができなくなった為、実写化はされていない。

    これまでの作品でロバート・ラングドンは、バチカン、パリ、ロンドンと、住まいのあるアメリカから遠く離れた国で、芸術作品や古代の書物などから暗号を読み取り、数々の危機を乗り切ってきた。今作の舞台はホームグラウンドであるアメリカの首都ワシントンD.C.だ。

    私はそうだったが、象徴学者ロバート・ラングドンとワシントンD.C.の組み合わせは、想像ができなかった。ワシントンと象徴。だが、陰謀論界隈ではかなり有名な都市伝説として語られていると言う。そのもっとも有名な話が1ドル札の印刷である。

    ピラミッドと目。そして、紙幣に印字されている文字を特定の法則で抜き取ったときに現れる単語、

    MASON-メイソン。

    そう。フリーメイソンだ。『秘密結社』と知られるフリーメイソンが、今回の作品の骨子となっている。

    「天使と悪魔」と「ダ・ヴィンチ・コード」でも、若干登場した組織だが、正直、私はよくわかっていない。何が秘密で、何をしている団体で、どんな人たちで構成されているのか。一切が私は分からなかった。そんな私でも、今作「ロスト・シンボル」はとても分かりやすく書かれていた。物語の進行を大きく妨げるほどに分かりやすく書かれていた。

    前作までも含めて、主人公のロバート・ラングドンの特徴は大きく3つで構成されている。1つ目は「知識が豊富」、2つ目は「ミスリードをする」、3つ目は「しゃべりすぎ」であることだ。
    今作には今までいなかったのが不思議なほどに、ロバート・ラングドンと相性が最悪の登場人物が現れる。CIA局長の「サトウ」という女性だ。彼女は事あるごとに語り始めるラングドンに対して、的確なアドバイスを毎回投げかけていた。

    「教授、手短に。」

    これがなければ、今作は子供の会話のようにまったく前に進まなかったと思われる。登場すぐは嫌なキャラだったが、物語後半には「サトウがいれば」と思うシーンがいくつか現れる。

    また、この作品のキーマンと言える人物「ピーター・ソロモン」は、いわゆる、この物語の端緒を作った人物と言える。全てがピーターから始まり、ピーターで終わった。下巻のとある部分でラングドンがダースベイダーの話をするが、全て読んだ後であの時の無意味だと思われたこの会話は、この伏線だったのかと忸怩たる思いに駆られた。

    ダン・ブラウンは、明らかにとんでもない作品を書いたと思う。前作、前々作からの伏線、読者の時間経過をバグらせるトリック、事実と陰謀論の混ざったフェイク、そして科学と宗教に対するダン・ブラウン本人の価値観。3作目にして壮大な物語を作ってしまったが、4作目の「インフェルノ」を読むのを躊躇してしまうほど、今作の余韻は深い荒波のように、感想を書いている今もなお、私の心を荒立てている。

    余談だが、今作「ロスト・シンボル」は2022年にU-NEXT限定でドラマ版として放送されたが、1シーズンで打ち切りになった。実写映画版のときと同じく、ロン・ハワードがメガホンを取ったが、これが「ロスト・シンボル」の2度目の頓挫である。
    都市伝説界隈では、フリーメイソンによる妨害に遭ったとか、俳優の中にフリーメイソンがいてめちゃくちゃにされたとか、ロン・ハワード本人がフリーメイソンだと言った、根も葉もない話が出回っているが、少なくともフリーメイソンのような歴史も会員も栄誉で飾られた組織が、そんなお粗末な工作めいたことをするとは考えられないと私は思っている。
    ダン・ブラウンは確かに著名な作家だが、選んでいる題材が明らかにセンシティブな問題をはらんでいる。時代が進む連れ、SNSの普及によってこれまで見えなかった、見ていなかった出来事を目にする機会が増えたが、それらの中にはフェイクニュースも溢れている。日本ではまだ法整備が進んでいないが、アメリカではフェイクニュースに対する処罰がどの国から比べても、かなり厳格に定められている。作り話をでっち上げた者も、拡散した者も、目にした者でさえ裁く法律が整備されている。そんな国で陰謀論、とりわけフリーメイソンなどというアメリカ建国に携わった組織の話を配信すれば、あらぬ誤解や印象操作に使われてしまうだろう。そう言った倫理的な観点から「ロスト・シンボル」の映像化が進まない原因を考えた方が、自然ではないだろうかと私は思う。

    長くなったが、今作「ロスト・シンボル」を読んで感動したセリフを残す。

    「どんなに純情で善意に満ち溢れた両親に育てられ、その両親の血潮が流れることで生を育んだとしても、その血を送り出す心臓はその子の物だ。」

    親ガチャ、子ガチャでうんぬん言ってる現代の人たち。ゲーデルが不完全性定理を見つけたことで、宿命などという概念は否定された。運動法則だけで人間の行動原理は一切予測できないことが証明されたのだ。このセリフは、そのことを温かみをもって伝えていると思う。

    もちろん今作も、予測できない出来事で満ち溢れている。

  • 宗教と科学、神話と古の知恵、錬金術、フリーメイソンにCIA。「やりすぎ都市伝説」の世界観をそのまま小説にした感じなのだが、やりすぎが始まったのが2007年頃でラングドン教授シリーズが2000年、こちらがやりすぎの元ネタなのか? ラングドン教授を液体の中で溺れさせるという拷問シーンがあり、絶体絶命の危機。肺の中に液体を入れ液体呼吸と言う話の流れだったが、実際には実用化はまだなのだと思うがアニメのエヴァンゲリオン内でそれらしき描写があったような。そして連邦議会議事堂やワシントン記念塔、思わずググってしまった。

  • ラングドンシリーズの中でも特に信仰色が強く、抽象的な考え方が出てきて難しくもあったんですが、
    安定の緊迫感と展開の速さ、登場する組織や場所のミステリアスな世界観が相まって、引き込まれました。
    今までになく息が詰まりそうな、神秘的なスリルも面白かったです。

  • 後半は理論の表記や、どろどろの確執が中心になりかなり疲れました。前半が軽快な展開で、手に汗を握っただけに残念でした。最後のどんでん返しは流石でしたが。

  • もしかしなくても、人間って何でもできるのかもしれない。「神が来るのを待つのではなく、神がこっちを待っている」みたいな件が刺さった。

    世界中の古代神話や教典は大体共通した教えがあって、寓話や例え話でカモフラージュされて真の知識は隠されているという説。
    昔話って大体は教訓を教えるためのものだよね〜のすごい版みたいな話だった。

    果たして、純粋知性科学が日の目を見る時代が来るかは怪しいけど、蒙を啓かれた人間に不可能は無いんじゃないか、と勇気づけられるお話だった。

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著者プロフィール

1964年ニューハンプシャー生まれ。アマースト大学を卒業後、英語教師から作家へ転身。2003年刊行のラングドンシリーズ二作目「ダ・ヴィンチ・コード」で一躍ベストセラー作家の仲間入りを果たす。父は数学者、母は宗教音楽家、そして妻は美術史研究者であり画家でもある。

「2019年 『オリジン 上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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