ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047916364

作品紹介・あらすじ

ウォールストリートの食物連鎖の頂点に君臨する「クオンツ」と呼ばれる天才数学者たち。彼らは、平凡な人間には解読不能な微分学、量子物理学、応用幾何学を駆使して金融商品の値動きを分析し、莫大な利益を上げてきた。だが、彼らの開発した数々のデリバティブ(金融派生商品)や数理モデルは、史上最大の金融崩壊の引き金となってしまう。天才たちはどこで何を間違えたのか-。ウォールストリートの内幕を暴く驚愕のノンフィクション。NYタイムズ・ベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • リーマンショックの渦中にいた当事者たちを描いたノンフィクション。著者はウォールストリートジャーナルの記者。

    描かれている4人は、並外れた数学の能力を持ったポーカー好きのクオンツ。

    当時の状況が生々しく描かれていて、過去の歴史から学ぶという観点で読める一冊かと思いました。

    何においても、過去の歴史から学ぶことはいつの時代も大事なことですが、金融に関する知識を高める上でも、過去の歴史を知ることは大事なことだなぁと思いました。

    2022年の今年、日本では「金融教育を国家戦略に」「資産所得倍増」という金融庁の方針が打ち出されました。

    世界がインターネットでつながり、デジタル化が進む社会において、金融の複雑性はさらに高くなっていく一方で、ITを駆使した取引の高度化も一層進むものと思います。加えて、SNSを通じた情報の流通速度も加速し、玉石混交の膨大なニュースが飛び交う毎日です。

    相当に高度な金融教育で早期にリテラシーを高めていく必要性があるのだろうと思います。

    「歴史は繰り返す」と言われますが、再びリーマンショックのようなことが起こる可能性は十分にあると思っておいたほうが良いのだろうなと思いました。

  • リーマンショック前後のクオンツ、シストレの一部始終が物語調に書いてある。金融機関に勤め、マーケットに馴染みがある自分からすると、とても面白かった。
    確かにマーケットはある程度モデル化できる一方、感情によるに合理的な仕掛けが人間の行動にはあるから、そこで一旦逆方向にモメンタムが崩れると、一気に崩れる。
    ファットテールはあるとき一瞬にして示現するんだな、とつくづく共感。

  • "The Quants" is written by Scott Patterson

    Boaz Weinstein

    Cliff Asness

    Kenneth C. Griffin

    James Harris Simons
    Baum-Welch algorithm
    Hidden Markov Model

    Edward O. Thorp

  • 相場といえば材料があって値動きを読むものだと思っていた。ここに書かれているのはそんな因果関係を無視してただ数字の動きだけをみて未来を読む世界。でも要は人が欲の皮を突っ張って動くのだから、パニックに陥った群衆心理みたいな人間の感性を考慮しなければ、金融はまたいつか同じことを繰り返すのだろう。

  • クオンツ系の本で一番読みやすく、面白く感じた。

    いかに数学が武器になるかがわかった。

  • クオンツファンドと呼ばれる定量分析ファンド達の実績や経歴を網羅した本。手法というよりも中の人間関係やどのように発展してきたのかの軌跡が分かる本。

  • 最後は人間がやること。よく切れる包丁は使い方で凶器にも料理用具にもなる。

  • リーマン・ショックを引き起こした、ヘッジファンドの成長と没落を記した作品。

    ヘッジファンドでは、金融工学と言う、数学の知識を駆使した運用理論がある事は知っていましたが、その中身を、深く覗いた感じですね。

    まぁ確かに、嘗ては日本でも、理系の学生がこぞって金融機関に就職した時代もあったので、それが、こういう事態に至る背景であったと言う事ですね。

    ヘッジファンドの没落をしり目に、オマハの賢人が、賢く利益を上げ続けている事は、やっぱりすごいのだと思います。そしてそれは、AIよりも、人間の方が賢いと言う事なのでも無いのかね?

  • 1992年、ファーマとフレンチは、
    1963年から1990年のデータを抽出した結果、株のパフォーマンスを決定する
    二つの要因を発見した。「会社の規模」と「価値」である。

    「会社の価値」の系譜には、2つの派生がある。成長株とバリュー株だ。
    成長株は、投資家から人気があるため比較的割高になっている。
    バリュー株はウォールストリートではあまり人気がなく、
    したがって株価純資産倍率(PBR)も低く、割安に見える。

    ファーマとフレンチによる大発見とは、1963年以降のどの時期においても、
    バリュー株は常に成長株よりもパフォーマンスがよいということだった。
    言い換えれば、成長株よりはバリュー株に投資した方が、儲けは若干大きくなる。

    ファーマとフレンチはまた、発行済み株式数が少ない株の方が、
    より多く発行されている銘柄よりもパフォーマンスが良いことも発見した。
    これはバリュー株と成長株との差に似ている。発行済み株式が少ない株は、
    本能的に敬遠されることが多い。だからこそあまり発行されていないのだ。

    アスネスが博士号論文のテーマに選ぼうとしていた標題は、
    ファーマの効率的市場仮説に真っ向から反論するものだった。
    何十年分ものデータを詳細に調べていくうちに彼は、
    株価の動向に興味深い変則性があることに気づいた。
    下落している株は、その企業の収益など、
    下地となるファンダメンタルズが予測される以上に、下落する傾向があるのだ。
    同様に、上昇している株は、ファンダメンタルズから導き出される以上に
    上昇を見せる傾向にあった。

    彼の発見は、UCLAの二人の教授、ナラシムハン・ジェガディーンと
    シェリダン・ティットマンの研究に基づいていた。ジェガディーンとティットマンは、
    一定の期間内に最も上昇した(あるいは最も下落した)株は、
    その後も同方向に動き続ける傾向があると発表していた。
    彼らはその現象を「モメンタム」と名付けた。

  • 面白かった

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