ロールシャッハの鮫

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.19
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本棚登録 : 80
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047916388

作品紹介・あらすじ

エリック・サンダーソンは目を覚ました。だが自分が何者で、どこにいるのか、まったく思い出すことができない。失われた記憶の手がかりは、今は亡き恋人クリオとの日々を綴った日記だけ。真実を知るというドクター・フィドーラスを探すべく、エリックは気むずかしい愛猫イアンとともに出発する-サイコ・サスペンス×サイバーパンク×ラブ・ストーリーのかつてない融合。UK発、小説の最新進化形。世界30ヵ国を席巻した驚愕のデビュー作。

感想・レビュー・書評

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  • ふーむ・・・おもしろい本、だとは思いましたが・・・ 

    もともと海外翻訳ものは文体が苦手なんですが、今回はそれに輪をかけて小難しい表現が多かったのできつかった。でもするすると読めたのはストーリーがうまかったのかも。この量を二日で読ませたそのテリングには感服です。
    ラストのサメちゃんの白紙ページがすき。サメちゃんかわいい(絵だけ)。ラストはわかりやすく大団円、といっていいのかしら、そういうかんじだったのでよかったなと。

  • 概念のサメや暗黒卿と戦う物語。
    記憶を失った主人公が動き出すまでの前半と戦いの後半。
    戦う相手が概念なので、映画化したらコメディになりかねない
    状況が多々ある。
    重度の精神障害の人の世界、のようにも読める。
    やってることは中川李枝子のくじらとりと同じなんだけど。
    今まで読んだことのないタイプの小説なので、楽しめた。

  • 記憶を失った男の物語。「サイコ・サスペンス×サイバーパンク×ラブ・ストーリーのかつてない融合」ということらしい。実験的な試みは評価する。が、小難しい世界を描いていても、登場人物の魅力に欠け、あまり意味を感じないラブストーリーはせっかくの試みの邪魔をして作品を軽くしてしまっている。前半のミステリアスな雰囲気に期待は膨らんだが、それに比べ、後半は・・・自分好みでは無い。

  • 迷走する思考。それが作者の暗示するところなのは、うすうす察することができる。真っ平らな平原の中に秘かに読者が辿るように設計された道筋。見回してみるとどこへでも漂っていきそうに見えて、その実、暗示は余りにも強烈で、何の道しるべもない迷路のような道を一歩も迷わずに歩き続けているのだ。迷走しているように感じることすら意図されたことである、とじわじわと勘付く。慎重に次の一歩を踏み出そうとするが、その足を下す場所が計算された場所ではなかったと言い切ることができない。そこに読むことの恐怖と言えばいいような感触がある。

    作中の主人公に襲い掛かる恐怖は、二重写しのように読者にも襲い掛かる。もちろん、そんな無駄な抵抗染みたことはやめて、流れに身を任せ一気に読んでしまえば、その恐怖がこちら側に浸透することはない。少なくともディクタフォンの内側に居るように自らは守られているように思いこむことはできる。しかしそれは儚い錯覚であり、恐怖は読み進めるに従ってやはり読者の側に浸透してしまう。

    この本には物語に結びつく別の物語やイメージが強烈に練り込まれている。はっきりと文字の中に内包された「異物」として、その暗示のようなものを認識しつつ読み継ぐことのできる部分もあるけれど、いつの間にか無意識に別の物語のイメージを呼び出して読者の感情を制御しようとする暗示が、数えきれない程にある。しかも一端飲み込んでしまってから、その異物を吐き出すことはほとんど不可能だ。冷静な読書ということを根底から揺さぶってくる。恐ろしい本である。

    500頁を超える大作ではあるけれど、後半に向かって読者の頁を繰る速度が上がることは間違いない。こういうジェットコースターに乗せられたような物語を読むことは得意ではないけれど、恐怖の余り身を機械仕掛けの乗り物に任せてしまわずにいると、ジェットコースターに乗りながら冷静でいられますか、と挑戦されているようなメッセージを感じ、なんとか軌道を走るトロッコを自ら制御しよと格闘しているうちに、読み終えてしまう。不快感を感じることはない。そして、この本の投げかけるものの中に、個人というものの本質に係わるものがある、との思いに至る。

  • タイトルから心理学が関係している物語かと思ったけれど、訳者あとがきによるとタイトルの理由は原題「The Raw Shark Text」を「Rorschach test」からとのこと。心理学は全く関係なかった。

    ロールシャッハ・テストというのはインクの染みを実験参加者に見せ、それが何に見えるかを回答してもらうという検査法。
    この本の表紙もそれを意識してインクの染み状の模様が描かれているけれど、読み終わるともうこちらに大口を開けて迫りくる鮫にしか見えなくなる。

    面白いのは、ヒトの記憶や自己意識を食べるサメ「ルドヴィシアン」の存在。
    ルドヴィシアンはそのヒト特有の記憶やアイデンティティを食いつくそうとする生き物らしい。そのため他人の身振りを真似したり、過去の人の記憶が書かれたノンフィクションの本(借りた他人とも結びつきがある図書館の本ならなお良し)でバリアをはったりすることが防衛法になるのだとか。こういう細かい設定にわくわくする。

    設定は面白かったもののテンポが少し悪くて乗りきれなかったかな。

  • 僕は意識を失っていた。息もしていなかった。

  • 出だしはとっても面白そうだったんだけど…。はっきり言ってよくわからない。

  • スゲー面白そう!
    と思ったんだけど...

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