アンラッキーヤングメン 1

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048537247

感想・レビュー・書評

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  • 大塚英志と藤原カムイのおそらく初めての顔合わせではないでしょうか。角川の「野生時代」というエセ文芸誌に連載されてるんですが、ストーリーはなかなか秀逸で、60年代に起こった3億円事件などの実際の事件や時事ネタを通して、当時の若者(ヤングメン)のなんだかもどかしい日常が描かれます。

    これまで柳田国男や折口信夫のサーガをやってきましたので、この辺の話はお得意ですね。

    日本赤軍の永田洋子や三島由紀夫などの実在する人物を下敷きにしていますが、タイトルの元ネタは大江の「われらの時代」に出てくるジャズバンドの名前らしく、ここでも大江健三郎がネタとして使われています。

    この作品はこれまでの大塚作品の中でもっとも大人っぽい作品となりそうです。かなり文学的で、石川啄木の詩を引用するあたりは、他の大塚作品にない雰囲気さえあります。しかし、1話のページ数の少なさで一気に読まないとわかりづらいストーリー展開のため、ぜひ早く単行本で見たいものです。

    藤原カムイいわく、「いよいよ物語も終盤を迎え、残すところあと数話」らしいので楽しみに待ちたいものです。

  • 70年代青年群像。

    もっとドロドロじゃないのかねぇ現実は。せっかくの3億円事件もあまり意味をなしていないような。学生共闘の話のほうがいいな。

  • 息子用

  • 実際の事件、実際の人物をモデルにした人も出てくるフィクション、ノンフィクションが複雑に入り組んだ小説のようなマンガ。時代背景は暗い感じだがスラスラと読めた

  • 大塚英志の最高傑作なのでは。

  • う〜ん。なんつーかオサレすぎる。
    小綺麗というか。

    石川啄木の詩を引用するのは良いとして、登場人物がみな清潔感漂ってて俺の思ってる昭和と違う…

    三億円事件といえば初期のこち亀にそれを題材としたエピソードがあり、あの時代特有の重苦しさが印象深い。
    青酸コーラ無差別殺人事件ネタとか、今では掲載不可なあの感じ好きだったなぁ。

    時代設定的に8mmフィルムが出てくるのだが、最近大学の同期に聞いた話によると未だに実習で使ってるらしい。

    とか関係ないことばかり連想させるマンガ。タケシの撮る映画にはもう感動しないのかとか、三島由紀夫を介錯した人を介錯しようとした人は腕が悪くてなかなか死ねなかったとか。

    そういう意味では面白かった。

  • いや、もうスゴイよ。圧倒的な画力とストーリー。この時代テーマにした作品には何故か惹かれ続けとる。

  • 脚本の通り動く。でも現実はそうはいかない。
    しかし現実には裏がある。果たしてどっちがフェイク=脚本か。

    石川啄木をチェックしてみよう。

  • アタシはアタシの世界から脱出する度いろんなものを置いてきた。それは信仰だったり思想だったりする。無知を知る度にアタシは揺らいでただの「大人」になった。
    学生運動のことは知らない。だけど。

    まだ芝居を続けてたら、私の人生はどんなだったのだろう。

  • 時代を感じる…

  • 図書館:三億円事件にハマって、パロディものでよさそうなこちらの作品を発見。
    絵の重厚さがいい。
    事件のシーンは思わずニヤリとしてしまった(笑)
    ケイコあんまり好きじゃないな…。

  • 高校2年のとき買ったけど全然わかんなかった。
    今よんだらすこしわかった。よかった。

  • 複数の昭和史上の事件をモデルにした無軌道で刹那的な若者の群像。
    うまいこと実在の事件を絡めたストーリーと、緻密で書き込みの多い絵柄の親和性が高い。
    所々に挿入される石川啄木の詩の叙情性も効いている。

  • いたく錆びしピストルありけり

  • 全2巻読了

    大塚英志が藤原ムカイに話を持ちかけて誕生した作品。

    まず、絵が僕の好きな感じ。繊細なタッチかつ細かい描写。 1コマ1コマの絵の書き方が浦沢直樹っぽいなって感じた。 ただなんとなく藤原ムカイさんの絵にはわざとらしさというか狙っている感を感じてしまったのはなぜでしょう。 浦沢直樹にはそれはないのに。

    ただ、作者の意気込みというのはもんのすごく伝わったからよし。

    啄木の詩も情緒マックス

    実際の事件なんかに感化されて書いているのも いいと思う 作者の意図がどうであるにしろ、見ている読者側は刺激をもらえるはず

  •  大塚英志って文学の方ではなんだろうなーって思うことあるけど、漫画の脚本やらせるとやっぱり上手い。ツボしってるよね。
     この漫画、上下巻で結構長いけど、一気に読まされちゃって。
     事実と虚構を混ぜる技術が、堂々としてんだね。その点褒めすぎでも、手塚イズムを語るだけあるわね。
     どのマンガもリンクさせたり、世界の広げ方が秀逸です。
     内容は、三億円事件と学生闘争、青春の三本柱。織り成す人間関係、駆け引き。
     漫画家藤原カムイさんの絵、構図、が良いので、いま思い返すと、絵が動く、映画を見ていたような気がする。
     最近漫画でこころを動かされた作品のひとつです。

  • 全2巻所持
    2冊で重さずっしり。買って帰るときビニール袋が破れて大変だった。
    3億円事件についてもっと調べようかな。

  • うちのおじさんがこんな感じだった。
    革命を本気で起こそうとした人達の話。

  • サイコの大塚英志と藤原カムイのタッグで描いたのは、あの3億円事件をモチーフにしたお話。その少年ははたしてアンラッキーだったのかラッキーだったのか。

  • えっと、これはあいつで、こいつはあいつ。
    っていうかTとかNとかKとか夏目漱石かよ、わかりにくいなー。
    そうおもっているうちに、学生運動、三億円事件、三島割腹自殺、それぞれが絡み合うフィクションとはいいきれない世界にのめり込んでいく。
    どこか手塚治虫や浦沢直樹に似た世界観を感じる。

    ちなみにヨーコが二人とも魅力的。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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