終わりの志穂さんは優しすぎるから (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048652537
作品紹介・あらすじ
留間島。人里離れたその島で、画家として全てを懸けて絵を描く俺の前に、志穂さんは現れた。穏やかで可憐な彼女は、幽霊が見えるという。それが本当かはわからない。けれどどうやら、彼女は何かを隠しているらしい。
感想・レビュー・書評
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最後までいい具合に騙されてよかった.ただ残念なのはタイトルが今のよりも,作者が初めに考えていたタイトルの方が断然よかったという点.
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「表紙のイラストが綺麗すぎるから」
とくだらないことを言ってしまいたくなるほど好みの絵柄。
加えて、作者は私と同じ札幌出身。
そしてあらすじを読めば、どうやら夏っぽい感じだ。
私は四季の中で夏が一番好きで、ちょうど、夏を感じ取れるような作品を読みたいところだった。
読み終えての感想としては、もう少し夏っぽさを求めていたところではあるが、この作品はこの作品としておもしろかった。
「どんでん返し」とか「あなたも騙される!」みたいなミステリ作品の結末はすぐ気づくくせに、こういう単純(?)なものにはすぐ引っかかる。
伏線もうまいように思えるし、結構振り回してもらえた。
トリックはとある有名な映画を思い出したが、それとはまた違う衝撃があった。
ただ、ラストシーンでの志穂さんの反応がもう少しあればよかった。
主人公も志穂さんも自分の中では想いがたくさんあるのだろうが、交流がなければ感動は生まれない。
あと、文章がたまにくどい。
「Aだ。まぁ、Bなのだろうが。」
という付け足しの表現が何度も出てくる。
もちろん、好印象のほうが大きい。
私は人が死ぬだけのミステリは嫌いだが、この作品は人が死なないミステリ。
ホラーといってもライトホラーで、「怖い!」となるような本ではない。
ちょうどいい。
誰でも読める作品だと思う。
作者twitterによると、刊行は決まっていないものの続きはあるそうなので、それに期待したい。
アニメになっても面白そうだ。
なので、この作品が売れるといい。 -
途中から、なんとなくオチが見えてしまったのが残念でしたけど、優しいお話でした。ほんとに、二人が普通に出会えていたらよかったのになぁ。
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オチは予想できなくもなかったけど、ミステリ仕立てな優しいお話だった。重内商店のおばあさん好きです。
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短編にある謎解きっぽいのは少し強引というかライト過ぎるし、そもそも中盤あたりでカラクリが分かってしまったけど、そういう分かりやすさも、タイトルにある優しさの雰囲気を作る一つの要素なのかもしれない。雨の日も絵はテントに置いていたのだろうか。
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献本企画でいただいた本。
最後まで読み終わって、素敵なタイトルだなと思った。
夏の終わりの寂しさと一緒に過ぎ去っていくようなはなし。
ホラーって苦手だけど、これくらいライトなのはすき。 -
良いもん読ませていただきました。ちょっと切ないこの読後感、心地良いです。
キャラクターも魅力的で、中でも紫杏ちゃんが特に好きです。すっごく良い子。
姉妹を取り巻く複雑そうな背景が気になるのですけど、これ一冊で終わり…っぽいですよね綺麗に終わってますし。ううーむ。 -
【物語は終わりにその姿を現す。儚くも美しい、ライトホラーミステリ。 】
七月、咲留間島。東京のはるか南に位置するその島で、俺は絵を描いていた。もしこの夏の間に、画家として納得できる作品を描けなければ、その時は筆を折り、この島に骨を埋めようと覚悟して。
そんなある日、俺は織川志穂と名乗る女性と出会う。穏やかで可憐な彼女は、幽霊が見えるのだと言った。
その真偽はわからないまま、しかし俺は自然豊かなその島で彼女と時間を共有する。
蓮池の女霊、ハマユリに見える少女の呪い。そして、消えた彼女の父親。
俺はそうした謎に触れるうち、彼女が自分に何かを隠していることに気付いてしまう。