1925(上) (電撃コミックスNEXT)

  • KADOKAWA (2015年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ) / ISBN・EAN: 9784048653459

作品紹介・あらすじ

270万再生の人気曲、待望のコミック単行本化。大正時代の東京を舞台に、都市伝説『幽霊列車』としてミクやレンが、人の“願い”をかなえるために奔走。そして物語は、とある“アイ”をめぐって大きく廻り出す。

感想・レビュー・書評

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  • 取り寄せ探偵ミクの、特に推理はしないけど解決はする事件簿。

    初音ミク/VOCALOID総合誌「MIKU-Pack」に掲載された、いわゆる「ボーカロイド楽曲」の漫画化作品のひとつになります。他の掲載作品としてはノベライズもされた『Just Be Friends.』など。
    媒体は違えど楽曲の映画化は珍しくなかったりしますが、ボカロのこれもその流れに沿った変種ですね。

    ちなみに、元となった「1925」は悪ノP/mothy氏の「悪ノ/大罪」シリーズなどのように明確なストーリーラインが楽曲内で提示されているタイプの楽曲(「物語音楽」)ではありません。
    抽象的で解釈の余地がある歌詞からなる一般的な楽曲を題材に採る形になっています。

    ただし、車掌姿の初音ミクがレトロでシックな雰囲気の背景と共に抑えめな色彩で佇むイメージイラストが印象的なので、リスナー間での共通認識はある程度とれているタイプの楽曲でしょう。

    また、歌詞を軽く解釈した分でも、女の子がお金なりなんなりが関わって赤裸々であるけれど、どこか乾いた駆け引きをしているラブソングとして十分に成立します。
    もちろん深掘りの余地はまだまだあるので、漠然とした輪郭は別に作れるのかもしれません。

    ただ、今回は動画投稿に際して当該イラストを担当された「ちほ」氏がそのまま、このマンガを手掛けています。人によって感じ方の差異はありますが、一貫性では問題なしかと存じます。
    ところで作中においても印象的な引用がされていますが、「買えないものなどないのです」のフレーズからちほ氏は物語を大いに発想されたのでしょうか? いずれにせよかなり強固な作風がうかがえます。

    と、肝心の物語ですがマイペースの権化であるド天然探偵(役)「ミク(初音ミク)」が最初の事件の依頼人でもある、振り回され系助手の「神楽坂レン(鏡音レン)」を大いに振り回していく王道形式です。
    ミクがツッコミ役のマスコットを介してその都度必要な小道具をお買い物(異空間から取り寄せ)し、時には大道具の「幽霊列車」を駆って恋愛がらみの事件を解決していくというスタイルとなっております。

    単発の事件を解決していく過程のかたわら、ミクその人が抱える謎に迫っていくという構成になっていたようですが、掲載媒体の「MIKU-Pack」休刊に伴ったか、予告されていた下巻の発行は未だならず。
    また、作画の方もこの巻を取っても一話、二話はいいとしても後半になるにつれて息切れ気味だったので星三つの評とさせていただきました。

    「名選手、名監督にあらず」という言葉があります。
    名イラストレーターが必ずしも名漫画家とは限らないのが、難しいところです。表紙から受ける印象と内容のギャップはわりと高めなので、評価を辛めに付ける方の気持ちもわからないでもないです。

    事実、話を読んでいく上でもちょっと繋ぎが強引かなと私が思った部分もないことはないです。
    その一方で、大過なくまとまっているなと感じました。
    話の流れをせき止めるほどではないですし、どうあっても最低評価にはなりえない作品だとは思います。

    なにより細かいところで小道具をポンポン出していく遊び心や、ミクのコスプレ寸劇がもたらすかわいさなど、センス自体は高いと、そう実感いたしました。

    作風としてはライトでポップで、題材が恋愛沙汰なだけにちょっと重くはあるけれど探偵役のすっとぼけたノリも相まって茶番にしてとりまハッピーエンドにしてお引き取り頂こうという風でしたね。
    後半になると、場面を弛緩させるような力が抜けた絵が支配的になって「茶番」の度合いが上がっているなと思ったのも確かですが。その辺を飲み込めるかどうかでも評価は分かれそうと考える次第です。

    あと余談ながら、本作はタイトルにある通り「1925(大正14年)」を舞台にしています。
    作中でも少々自嘲気味に言及しておられる通り、「大正時代」をモチーフにした同界隈の巨大コンテンツ『千本桜』と多少比較される可能性もありますが、差別化は出来ているなと思う次第です。

    また、「重音テト」や「亞北ネル」といったクリプトン公認のキャラが客演しているなど、色々贅沢に盛り込んでやろうという意志も感じたりしたのでその辺の熱意を買いたいというのも正直なところです。

    とまれ、本作は空想冒険浪漫路線の快作であるあちらと比していい意味での小品であり、主演/客演したボカロキャラたちも小難しくなり過ぎないポップな言葉遊びの住人と言えるでしょう。
    あんまり気にしないでいいと、かる~い雰囲気を受け入れれば評価は上向きます。いずれにせよここ上巻のみで言えることであり、下巻と合わせて評価がどう上下するか語る機会がないのが悔やまれますが。

    加えて。かなりニュートラルというか、捉えどころのない作品である一方、この題材ならまだまだ上向く余地もあることを指摘するのも容易でした。私は好きになりましたが、ゆえに星三つです。
    楽曲自体の情報量が控えめな分、遊ぶ余地が大きかったのは確かに仇にもなったのかもしれません。
    ただ、それが逆に枷になるだなんてこともなくて、のびのびと奔放に振舞っていた風にも見えました。

    結局のところは繰り返す通りに痛しかゆしでしかないのかもしれませんが、まぁいいでしょう。
    というわけで、まとめさせていただきますところ。全体的に自由であった、またはあってほしい作品だという私なりの感想に尽きる、と相成りました。つまりは蛇足になるかもしれませんが、私は好きです。

  • 打ち切りという形なのでしょうが下巻が欲しいぐらいには面白かったです

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