からくさ図書館来客簿 第四集 ~冥官・小野篁と夏のからくり~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048654616

作品紹介・あらすじ

「からくさ図書館」の館長を務める冥官・小野篁は、上官である安倍晴明から「京の夏の祭礼を守れ」と告げられる。祇園祭から送り火へ、季節はうつろう――悠久の古都・京都で紡ぐライブラリ・ファンタジー第四集。

感想・レビュー・書評

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  • 京都の夏は暑い。
    そして、祭りのために人がたくさん訪れ、人々も熱くなる。
    本文中に、夏は生きる力がみなぎり、道なしと呼ばれるこの世のものではないものを見る人も増えるとある。
    最近は暑すぎて、生きる力も削がれてしまうこともあるかもしれないが、それでも移ろう季節の中で人は生きている。

    今回の物語は京都の祭りが舞台になっている。
    からくり人形の仕掛けがどうなっていたのか、修繕とはどういうことなのか。
    感心したのは修繕とは何か、ということについて述べた部分。
    元の通りにすることが修繕ではない。
    その、物自体が過ごしてきた時をも大事にすることが修繕であって、決して時を巻き戻すものではないのだ。
    美術品などで、当時の姿が蘇る!なんて宣伝されているけれど、そこだけが修繕の意味ではないのだ。
    時を重ねることは悪ではない。
    ついつい、日々の中でアンチエイジング(最近はこの言葉が魅力的に聞こえるのだ)だなんだという言葉に触れているせいか、出来立てホヤホヤこそ至上のものと思いがちだが、それは思い込みだということに気づかされる。

    さて、もう一つ気になったのが、茜が私はいい母親ではなかったかもしれない、と呟くシーンだ。
    高みから見下ろして、誰かの子を、夫を死地へ向かわせたことを悔いているのだ。
    人の在り方はその時々で変わる。
    今正しいと思っていても、そうではないと気づく日が来るかもしれない。
    それが苦しみなのか、喜びなのかは今は、わからないが。

    日差しの強さもまたすぐに秋の風に吹かれゆっくり消えていくように、そしてそれが決して寂しいばかりではなく、実りをもたらすように。
    日々は巡る。
    人の心も巡る。
    変化は恐れるものではない。
    明日は明日の風が吹く。

  • からくさ図書館4作目。

    修行に出される時子。
    といってもかんざし屋の茜と、山吹茂こと太田道灌のところだが。
    道なしがらみで既知となった人たちや、
    道なし自身が登場してその後が描かれているのが楽しい。

    茜の正体(?)が額田王であることが、
    もったいぶって明かされていたが、へーという感じ。
    額田王をあまりよく知らないというか、
    思い入れがないというか。

    晴明が川床で利き酒をしていたのも面白かったが、
    祇園祭の鷹山の山車がテーマになっていたのも良かった。
    なぜならば、去年、2022年の夏に本当に復活したから。

  • 道なしが篁に憑いたり、茜さんを避ける理由や本名が判明したり盛り沢山
    毎回思うけど、出てきたものとかイベントとか行きたくなる笑

  • 京都のライブラリファンタジー第4弾。シリーズも後半に。

  • 「からくり山鉾」
    壊れたからくりの修理の仕方は。
    昔の人たちも設計図を見て作っていたであろうに、その設計図は結局何処に消えてしまったのだろう…。
    時の流れによって朽ちていってしまった物を、復活させようとする者にとっては貴重な資料なのにな。

    「猫と睡蓮」
    彼が望む願い事は。
    持病も何もない人が突然の死に対応できるケースなど、絶対にないだろう。
    亡くなった本人ですら、自分が死んだ事実が受け入れられない可能性があるだろうに…。

    「湖北に眠る」
    観音様の腕が無い本当の理由。
    いくら人の目を引きたいからといっても、あのネーミングセンスは人として駄目だろう…。
    誰だったとしても已む無い犠牲には心痛めるだろうが、彼のとった行動のおかげでどれだけ多くの命が救われたかを考えたらな。

  • 祇園祭に五山送り火♪おぉっ!夏の京都だo(^o^)oと盛り上がる(*^-^*)冥官の過去が次々と明かされていくなか、今回は茜さんの本名が‼いやぁ驚いた(゜゜;)そして図書館以外で冥官の修行をする時子様(^^)篁と時子様の距離感にキュンとした(*´-`)

  • シリーズ4作目。
    茜の正体がとうとう明かされます。
    前作で有名な和歌が出てきたのでわかってはいたけど、はっきりします。
    登場人物たちは、基本的に生前有名だった人たち。
    少しずつ、篁と時子の関係が変化していくのが面白い。
    通常の人間が惹かれていくのは少し違い、人間の世界に慣れて色々知っていく上で、関係が変わっていくのが面白い。

  • 茜が有名人でびっくりです。
    時子がどんどんいろんなことを吸収していくのを篁が見守る2人の空気感が微笑ましい。

  • 前作を読んだときにはじめて、表紙と扉絵が対になってるのに気づいて
    「凝ってるな!」
    と、思ったのに、なんで今回は対になってへんねやろう・・・?

    ・・・などと思って読了後ブックカバーを外すと(読んでるときはブックカバー必須派)、ああなるほど、昼と、夜か!!
    気づかんかった~(笑)。

    篁の靴が白いスニーカーなのは、なんかちょっとどうなのと思ってしまうけれども・・・(笑)。


    さて四巻。
    茜の正体が判明。さらに、篁の都での暮らしと彼の妻とのエピソードもちょこっと。

    今回の話は、祇園祭の山車について、古書店の話、それから、湖北の観音信仰の話。
    裏表紙のあらすじでは
    「うつろう悠久の古都を舞台に紡がれる優しいライブラリ・ファンタジー」
    とのことやねんけど、この本を読んでますます
    「関西に住んでてよかった」
    と、思ってしまった。

    京都って、やっぱり、すごいな・・・。

    今度は篁ツアーを絶対にやろう、とか思ってるあたり、私も吉政くんと大差ないかな・・・。(;^ω^)

    せやけどもう、ちょっと仕事が立て込んでいてかなり走り気味に読んだのよ。勿体ない~。
    あと、図書館から借りて手元にある第五集は、絶対に絶対に大事に読むよ!!

    それにしても、「道なし」にとりつかれてしまう人は、そもそも
    「善行を積んだのに現世でさ迷って天道へ行けない」
    と、いう「道なし」そのものも、みんな揃いも揃って不器用。

    いうたら篁も器用貧乏な人なので、基本この物語は器用貧乏と不器用な方々で構成されてる気がする。
    だから余計に、ゆっくり、ゆっくり読みたいんだよね。
    間違ってるとか正しいとかそういうことだけじゃなくて、ほんにんが納得する形を探せるまで時間をかければいいやん、と、思いたくなってしまう。

    でも、納得する形を模索するためには、ボサッとしているだけではあかんねんけどね。笑

    著者の別シリーズも読んでみたいなあ・・・。


    京都というてもこの図書館は北白川にあるそうです・・・。

    下鴨神社に行きたくなる~!!

    「下鴨アンティーク」も、このあたりが舞台になってるんよねえ。
    下鴨神社は行ったことがないし、糺の森ももちろん知らん・・・。
    このあたりは最近でもいろんなイベントが催されてる様子やねんけど、ふつうに参拝したことがないのにいきなりイベントに行ってもいいもんやろかと思ってしまって、どうにもいけない(笑。たぶん、べつにかまへんやろ)。

    しかも作中に登場した「納涼古本まつり」って、めちゃめちゃ気になる~!!
    古書なんて買えないけどさ! 持てないし、古書に興味があるわけではないやろうけどさ(じゃあ何をしに行くのか)見てみたいなあ。

    読書における私の目標は結構あって、

    いつか三国志を読む
    いつか記紀を読む
    いつか古書を愛する人になる

    ちゅう具合。

    ・・・まあ、なかなか遠い道のりやけども(笑)。

    表紙がかわいらしすぎるから反対に損してるよなー、と、思うくらい男前な内容やと思う。
    でも、東京から引っ越してきた歴史小説家を目指す高校生の大塚くんが、京都でできた友人・衣笠くんのことを
    「ガッさん」
    と、呼ぶのに対し、衣笠くんは大塚くんのことを
    「信介君」(しかも関西弁)
    と、呼ぶのはもう、どう租借したらええんかなと気になってしょうがない。

    このくらいのBLが好きです。

    (BLなのこれ!?)

    ■■■■

    ■山容

    山のかたち。


    ■居祭


    ■青楓

    読み方:アオカエデ(aokaede)

    カエデの若葉のこと


    ■意匠

    1 絵画・詩文や催し物などで、工夫をめぐらすこと。趣向。「舞台照明に―を凝らす」
    2 美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。デザイン。


    ■重畳

    [名](スル)
    1 幾重にも重なること。
    「峰巒―して長く飛騨、越中、越後の境に亘り」〈木下尚江・良人の自白〉
    2 この上もなく満足なこと。大変喜ばしいこと。感動詞的にも用いる。頂上。
    「あすの喜び、お家の為にも―じゃ」〈逍遥・桐一葉〉
    [ト・タル][文][形動タリ]幾重にも重なっているさま。「見渡すかぎり―たる山並み」


    ■インタラクティブ

    [形動]
    1 お互いに作用しあうさま。相互作用の。
    2 情報処理・通信などの用語で、双方向の。対話型の。「―テレビ」


    ■アドミニストレーション【administration】

    統治。行政。管理。

    (2016.08.30)

  • 【収録作品】第十四話 からくり山鉾 前編/第十五話 からくり山鉾 後編/第十六話 猫と睡蓮/第十七話 湖北に眠る 前編/第十八話 湖北に眠る 後編

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著者プロフィール

第17回電撃小説大2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作を大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー。既刊は『からくさ図書館来客簿』シリーズ他。

「2022年 『あなたと式神、お育てします。第二集 ~京都西陣かんざし六花~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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