からくさ図書館来客簿 第四集 ~冥官・小野篁と夏のからくり~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2015年9月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048654616
作品紹介・あらすじ
「からくさ図書館」の館長を務める冥官・小野篁は、上官である安倍晴明から「京の夏の祭礼を守れ」と告げられる。祇園祭から送り火へ、季節はうつろう――悠久の古都・京都で紡ぐライブラリ・ファンタジー第四集。
感想・レビュー・書評
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京都の夏は暑い。
そして、祭りのために人がたくさん訪れ、人々も熱くなる。
本文中に、夏は生きる力がみなぎり、道なしと呼ばれるこの世のものではないものを見る人も増えるとある。
最近は暑すぎて、生きる力も削がれてしまうこともあるかもしれないが、それでも移ろう季節の中で人は生きている。
今回の物語は京都の祭りが舞台になっている。
からくり人形の仕掛けがどうなっていたのか、修繕とはどういうことなのか。
感心したのは修繕とは何か、ということについて述べた部分。
元の通りにすることが修繕ではない。
その、物自体が過ごしてきた時をも大事にすることが修繕であって、決して時を巻き戻すものではないのだ。
美術品などで、当時の姿が蘇る!なんて宣伝されているけれど、そこだけが修繕の意味ではないのだ。
時を重ねることは悪ではない。
ついつい、日々の中でアンチエイジング(最近はこの言葉が魅力的に聞こえるのだ)だなんだという言葉に触れているせいか、出来立てホヤホヤこそ至上のものと思いがちだが、それは思い込みだということに気づかされる。
さて、もう一つ気になったのが、茜が私はいい母親ではなかったかもしれない、と呟くシーンだ。
高みから見下ろして、誰かの子を、夫を死地へ向かわせたことを悔いているのだ。
人の在り方はその時々で変わる。
今正しいと思っていても、そうではないと気づく日が来るかもしれない。
それが苦しみなのか、喜びなのかは今は、わからないが。
日差しの強さもまたすぐに秋の風に吹かれゆっくり消えていくように、そしてそれが決して寂しいばかりではなく、実りをもたらすように。
日々は巡る。
人の心も巡る。
変化は恐れるものではない。
明日は明日の風が吹く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
道なしが篁に憑いたり、茜さんを避ける理由や本名が判明したり盛り沢山
毎回思うけど、出てきたものとかイベントとか行きたくなる笑 -
京都のライブラリファンタジー第4弾。シリーズも後半に。
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「からくり山鉾」
壊れたからくりの修理の仕方は。
昔の人たちも設計図を見て作っていたであろうに、その設計図は結局何処に消えてしまったのだろう…。
時の流れによって朽ちていってしまった物を、復活させようとする者にとっては貴重な資料なのにな。
「猫と睡蓮」
彼が望む願い事は。
持病も何もない人が突然の死に対応できるケースなど、絶対にないだろう。
亡くなった本人ですら、自分が死んだ事実が受け入れられない可能性があるだろうに…。
「湖北に眠る」
観音様の腕が無い本当の理由。
いくら人の目を引きたいからといっても、あのネーミングセンスは人として駄目だろう…。
誰だったとしても已む無い犠牲には心痛めるだろうが、彼のとった行動のおかげでどれだけ多くの命が救われたかを考えたらな。 -
祇園祭に五山送り火♪おぉっ!夏の京都だo(^o^)oと盛り上がる(*^-^*)冥官の過去が次々と明かされていくなか、今回は茜さんの本名が‼いやぁ驚いた(゜゜;)そして図書館以外で冥官の修行をする時子様(^^)篁と時子様の距離感にキュンとした(*´-`)
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シリーズ4作目。
茜の正体がとうとう明かされます。
前作で有名な和歌が出てきたのでわかってはいたけど、はっきりします。
登場人物たちは、基本的に生前有名だった人たち。
少しずつ、篁と時子の関係が変化していくのが面白い。
通常の人間が惹かれていくのは少し違い、人間の世界に慣れて色々知っていく上で、関係が変わっていくのが面白い。 -
茜が有名人でびっくりです。
時子がどんどんいろんなことを吸収していくのを篁が見守る2人の空気感が微笑ましい。 -
【収録作品】第十四話 からくり山鉾 前編/第十五話 からくり山鉾 後編/第十六話 猫と睡蓮/第十七話 湖北に眠る 前編/第十八話 湖北に眠る 後編