血翼王亡命譚 (1) ―祈刀のアルナ― (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年3月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048657655
作品紹介・あらすじ
国を追われた王女と血染めの護衛剣士
二人の運命を描く、珠玉のファンタジー。
第22回電撃小説大賞<銀賞>受賞作!
[私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの]
――この日、赤燕の国(レポルガ)の国史には第百三十二代王位継承者アルナリス=カイ=ベルヘスと、その護舞官ユウファ=ガルーテンが失踪したと記された。
だが、それは嘘だと俺は知っている。
太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけだった……。
突如国を追われた王女アルナ。
刀を振るうしか能のない護衛剣士ユウファ。
猫の血を身に宿した放浪娘イルナ。
人語を解する燕のスゥと、軍犬のベオル。
森と獣に彩られた赤燕の国を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。
予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を前にして彼らが胸に宿した祈りとは――。
これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。
感想・レビュー・書評
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巻末広告(だったかな?)に掲載されていて、なんとなく気になったのでぽち。おもしろかったです。展開が「え。うそ。はい!?」ってなりました。決して俺強な主人公ではないけれど、だからこそ、盲目的とも言える想いについ寄り添ってしまいましたね。
しかし、世界設定がほんとすごいなあって。「こうある!」という概念を揺さぶられた感じがします。説明すべき、と思っているところをそうくるか! って。つづき、出るならば買ってみようと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉を話せない高貴な少女と、彼女を守るため戦う少年は、書庫で出会った。手語という二人だけのことばで二人は語り合う……『図書館の魔女』かな?と最初は思いましたが、いろいろと違いました。うん、これもいいですね。
猫の血、蛇の血、鳥の血、言血、調伏、護舞官と王族に、王鳥、翼。豊かな世界観が魅力的。
ただ、できればもっと一つ一つにエピソードを盛り込んで、じっくり進めてほしかったような気もする。三巻構成くらいでも良かったかも。 -
【ブクログ様の献本で】
頂戴いたしました。ありがとうございます!
ラノベ書きの勉強のためにも、とても参考になりました!きっと今後のためのレビューだと思うので、辛めに☆3とさせていただきました。
「読書量は多く、サウンドノベル&ゲーム好きだが、ラノベ慣れしていない30代女」ということが前提条件としてのレビューは以下の通りです。
・はじめが、とてもとっつきにくかった
です。献本でなければ、読むのをやめていました。ただ、一度世界観に慣れてしまえば、なんとかいける…かな?
・世界観そのものは、とてもとても作り込まれていて、言血のシステムも私的には好みでした。
・ベオル周りの話が薄い?
・ラストがここで終わったら、続きは苦しいのでは?という気も。
・それぞれのイベントがラストにしっかり意味を持って回収されていく構成は、流石とおもいました。
今後のご活躍を楽しみにしております! -
ブクログの献本企画で当たりました。
最高でした。最後はボロボロ泣きながら読んでました。
帯にある通り、「これぞファンタジー」という世界観で、中世ヨーロッパ調のファンタジーの空気にどっぷりとひたれました。
その中で、主人公と姫の感情の揺れ動きがとても丁寧に描かれていて、最後は2人が幸せになって欲しい……と願いながら、読んでました。
「言血」の使い方も素晴らしかったです。
最初は言血を世界観のギミックとしか捉えてませんでした。
言血を使って、体術や剣術が向上したり、獣を従えることが出来たり……「ああ、ファンタジーだなぁ」と読んでいたのですが、ラストで姫があの選択をしたときに「このラストのために言血があったんだ……!」と号泣してました。
このお話の続編が出るとしたら、国王と師匠や、幼い頃の主人公と姫のお話が読んでみたいです。 -
ブクログの献本企画でいただきました!
ありがとうございます。
第22回電撃小説大賞、銀賞受賞作品。
気持ちいくらい王道を行く剣と魔法のRPG風ファンタジー。
これ系のファンタジーはいつの時代も少年少女達の心を掴んで離さないが、そのために粗悪品が溢れてもいる。が、潔く王道を突っ走るこの作品はこのジャンルの模範となり得るほど世界観・文章・キャラクター造形どれをとっても丁寧だ。本当にお手本として書かれたんじゃないかと思うほど。
世界観は緻密に作り上げられている。ちょっとした描写にもそれが反映されていて、物語に入り込む手助けになる。
文章もなかなか。個人的にラノベの軽い文章は好きではないのだが、この小説はかなりしっかりと書かれている。特に戦闘シーンは骨太。とはいえラノベ的な要素(主人公の心中ツッコミなど)もあるので、そういう意味でもラノベ的王道を踏襲しているのかも。ただハマる文章ではなかった。
キャラクターもこれまた(ラノベ的)王道。ただ、「萌え」の要素がありつつ、「萌え」だけのためにそれが存在しているわけではないのがいい。ありがちの要素にもきちんと背景が存在していて、それが物語に絡んでくる。安易な「萌え」に落とし込まなかったのには敬服する。
ストーリーについてはネタバレになるので踏み込まないが、読者を良い意味で翻弄しようとしているのが伝わってくる。面白くなってくるのは後半から。前半は世界観に浸るための準備運動といった感じ。伏線も散りばめられていて、全体的に相当計算されて作られている。
総合的な感想としては、教科書みたいな王道RPG系ファンタジーだなあという感じ。指南本に書かれていることを素直に実行すればこういう小説になるのではないかという気がする。ほとんどの人はそれができないので、そういう意味では素直に凄いと思うのだが、クセがなさすぎてイマイチハマれなかった。
余談だが、ラノベは二巻目以降が雑になる印象がある。ラノベに求められている刊行スピードのせいなのかわからないが……。この作品がそうならないことを祈る。 -
子供が生まれる仕組みまで設定があって、なかなかハードなファンタジー設定だったけど、ラストもなかなかハードな展開だった。込み入った事情も含めて、全てが愛の物語というのは好き。タイトルがナンバリングされているけど、これはこれで完結して欲しいような。
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全3巻完結。
良くある剣士と王女の冒険譚との最初の予想は1巻目で覆されて、それから海外のSF作品のように、こことは違う世界に浸りました。
最後の『後書き』を含めとても素敵な作品構成だと思いました。 -
良くできているが、好みでは無い。