この大陸で、フィジカは悪い薬師だった (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年4月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048658829
作品紹介・あらすじ
第21回電撃小説大賞<大賞>受賞作家が贈る、新感覚異世界ファンタジー!
僕は絶対許さない。エイル教の教典『ラズの書』に記された禁忌を冒し『害獣』を治療して回る異端者フィジカを――。
彼女はその可愛い見た目(あくまで見た目だけ!)とは裏腹に、人間の治療を拒否するんだ。薬師なのに! だから僕は、フィジカを必ず捕まえて、改心させてみせる。エイルの教えは絶対なんだから。
……でも、最近フィジカの行いが正しいような気もして……いや、絶対認めない!
コカトリス、サラマンダー、一角獣、人魚……異世界にまつわるモンスターの神秘と医療を描く、新感覚ファンタジー、登場。
感想・レビュー・書評
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宗教に使える青年と、教えを否定していく異端児の旅物語でした。協会の教えと実際の状況に揺れる青年が自ら判断していく成長劇でもあります。聖獣、幻獣と呼ばれる異世界の生物とその設定はしっかりと練られており、また二人の軽い掛け合いは楽しく読み進められました。 事実と真実という言葉の使い方もとても好きな作品です。
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『ひとつ海のパラスアテナ』の作者の2作目。
前作とはがらっと変わってドラゴンや人魚の登場するハイファンタジー。
人にあだなす害獣を退治する新米角守アッシュとその害獣を治療して回る異端者の少女フィジカの物語。
なんというか読んでて某『狼と香辛料』や『うちの姫様にはがっかりです』なんかを思いだしてしまった。
そう言う意味ではどこかで見たようなお話だなと感じるのだけど、一つ一つの話は人と幻獣との関係の複雑さを描いていてそこが新鮮。
特に人魚の話はなかなか深みがあってよかった。
ただ、物語の盛り上がり的にはちょっと微妙。
ハイライトはドラゴン話だと思うのだけど、それまでにフィジカの正体と目的を明かして いなかったために、もう一つ盛り上がりに欠けてしまった。
最終話の内容を前に持ってきた方がよかった気がする。
そこはちょっと残念。
アッシュは最初そのあまりの頭の固さにちょっとイラッと来たけど、真実を直視し考えを改める実直さはいいよね。
フィジカの方は異世界人か未来人かと思ったけど半分正解半分ハズレかな。
それにしてもフィジカのピンチに颯爽と現れたアッシュが女装してたとは!
信仰を守る方法がそれかい!
台無しだよ!(笑)
うん、想像すると笑える。
あと、アッシュは女性に年齢を聞いちゃいけないなあ。
ラストは自業自得だよね(笑) -
宗教に使える青年と、教えを否定していく異端児の旅物語でした。協会の教えと実際の状況に揺れる青年が自ら判断していく成長劇でもあります。聖獣、幻獣と呼ばれる異世界の生物とその設定はしっかりと練られており、また二人の軽い掛け合いは楽しく読み進められました。 事実と真実という言葉の使い方もとても好きな作品です。
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主人公に癖がある点を許容できれば、ストーリーはエピソードごとに粒ぞろいで尻上がりに面白くなる作品だと思う。断章みたいな部分がやや突飛すぎるところとフィジカ視点の部分がもっとあってもよかったかなと思う。