からくさ図書館来客簿 第五集 ~冥官・小野篁と剣鳴る秋~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2016年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048659123
作品紹介・あらすじ
古都・京都に佇む私立図書館。不思議な力を秘めた館長さんが目にする、新たな兆しとは――。
冥官・小野篁が館長を務める「からくさ図書館」にも、秋が訪れていた。
今日も篁は、図書館を訪れるお客様のため不思議な書物"偽書"を紐とき、現世で迷う"道なし"たちを天道へと導く。
一方、その傍らで新米冥官の時子は、様々な謎に触れてゆく……からくさ図書館に施された術、そしていにしえの剣。冥官としての役目を終えた遥かな先達と、彼の愛する洛北の地、八瀬――。
多くの出会いと経験を重ねる中で、時子の身に現れる、ある兆しとは……。
悠久の古都・京都を舞台に紡がれる、優しいライブラリ・ファンタジー、第五集。
感想・レビュー・書評
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シリーズ5作目。
今回も前後編の物語が2つと短編が1つです。
秋の京都を舞台に、人と道なしと冥官のやさしい物語が描かれます。
新米の冥官として着実に成長する時子。
彼女を頼もしげに見守る篁ですが、やはり少し寂しそう…。
もうすぐ季節も一巡り。
時子のさらなる成長とともに迎えるラストシーンに、そろそろクライマックスなのかな…という予感もして、終わりが見たいような見なくないような、もぞもぞとした落ち着かなさを感じつつ読了。
余談ですが…。
本作では、からくさ図書館で利用者の調べ物をサポートするレファレンスサービスが行われている描写があります。
冥界とつながる特別な場所としてだけではなく、ちゃんと図書館として描いてくれているのが、一図書館員としてうれしかったのでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回もいつもどおり風情ある景色や祭り、道なしを天道へ導く話に安心感(^^)しかし冥官同士の恋愛に罰があることに衝撃Σ( ̄□ ̄;)をうけ、時子様の早すぎる成長と謎の能力を心配する(゜゜;)あと八瀬の赦免地躍りを見たくなった(^-^)♪
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「月下の想い」
彼女が描きたかったもの。
いくら利害が一致したとはいえ、何日間も完全に身体を貸し渡すなど怖くて出来ないな。
振り回されてばかりの彼だったけれど、彼女のおかげで学んだ事もたくさんあるのではないだろうか。
「親王のアキナケス」
作り上げた短刀を収める場所は。
一瞬だけ見えたり虎に化けて出てこられては、ただの怪奇現象か疲れているだけとしか思わないだろう…。
ヒントを与えるつもりで現れていたとしても、店の中に突然虎が現れたら恐怖しかないだろうな。
「八瀬童子」
関わった全ての人が祀られている証拠を。
自分一人で行った事でないのに、まるで全て一人で行ったように祀られるのは嫌だろうな。
大体的には祀ることは出来ない理由があったとしても、書物に残すことや伝承として残すことは出来なかったのだろうか。 -
シリーズ5作目。
ネタとしてはだんだんマンネリ化してきたが、篁と時子の関係が変わっていくきっかけになりそうなことが起こる。
時子の力が新たに覚醒したところで話は終わるので、「え?ここで終わる?」って感じです。 -
【収録作品】第十九話 月下の想い 前編/第二十話 月下の想い 後編/第二十一話 親王のアキナケス/第二十二話 八瀬童子 前編/第二十三話 八瀬童子 後編
*ややマンネリで、退屈になってきた。 -
小野篁と親王時子が活躍する物語も第5集、秋の季節を迎えた。
この季節らしく、祭りが題材となっており、古人たちの思いやりや感謝の気持ちが感じられ、肌寒くなる季節の物語なのに、温かみを感じられる物語となっている。
月下の想い
上村松園の絵を鑑賞したくなった。
西洋画に比べ、日本画に詳しいとは言えず、名前は知っていてもパッと思いつく絵が出てこない。
美術館や博物館に行ってじっくりと向き合ってみたくなった。
だから、先日の若冲展のような特別展ではなく常設展で。
お金を払って人の頭を見たんじゃ面白くないからね。
本作に出てくる「道なし」はどれほどの想いで未来を夢見ていただろう。
成功するものは一握りとは言え、敬愛する絵師のような絵がかけたなら......及ばずながら私もそんな野心を抱き続けているので、その道半ばで閉ざされてしまっては、私も「道なし」になってしまうかもしれない。
八瀬童子
弓道の話が出てきて懐かしくなった。
大学時代にほんの数ヶ月かじったからだ。
ずっと憧れていた武道に触れられて嬉しかったが、なにぶん先立つものが底をつき、退部した過去がある。
ただ、人生は縁である、と考えれば、心のうちがいつもざわついている私には向いていなかったのかもしれない。
初心者のくせに(だからか?)おごったことをいうが、技術は磨けばきっと良くなったはず、だからいつかまたやってみたい。
さて、本作ではこの心のざわめきがひと騒動の元。
どうして彼には声が聞こえたのか。
ざわめいた心だから聞こえた言葉に、美しい波模様ができる様子を堪能あれ。
なぜ「からくさ図書館」がからくさ、という名になったのか、その謎に迫り、理由が明かされる。
ただ美しいから、古都にふさわしいから、そんな理由ではなかったことに言葉の持つ奥深さを感じる。
また、時子にも変化がある。
主人公の成長もシリーズ物の楽しみだが、果たして彼女の成長はどの方向に向かうのか。
悲しい別れ、という方向になるのか、それとも笑顔の旅立ち、独り立ちなのか。
第6集を待て!!! -
待望の第5巻。刀剣のゲームはしているけれど、まったく刀には興味のない私。でも、刀剣のお話しを読んで、「写し」とか「贋作」とかそんなん関係ないんだなって。むしろ気にせず作っていいもんなんだなって思いました。まあ、私の勝手な解釈だろうけれど。そう思ったので。
神事のお祭りって、「生」を感じてしまうと一気に冷めてしまう理由がわかったなあ。神秘と生々しさ。たしかにそうだ。
次回も楽しみです。