からくさ図書館来客簿 第五集 ~冥官・小野篁と剣鳴る秋~ (メディアワークス文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048659123

作品紹介・あらすじ

古都・京都に佇む私立図書館。不思議な力を秘めた館長さんが目にする、新たな兆しとは――。

冥官・小野篁が館長を務める「からくさ図書館」にも、秋が訪れていた。
今日も篁は、図書館を訪れるお客様のため不思議な書物"偽書"を紐とき、現世で迷う"道なし"たちを天道へと導く。
一方、その傍らで新米冥官の時子は、様々な謎に触れてゆく……からくさ図書館に施された術、そしていにしえの剣。冥官としての役目を終えた遥かな先達と、彼の愛する洛北の地、八瀬――。
多くの出会いと経験を重ねる中で、時子の身に現れる、ある兆しとは……。
悠久の古都・京都を舞台に紡がれる、優しいライブラリ・ファンタジー、第五集。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ5作目。
    今回も前後編の物語が2つと短編が1つです。

    秋の京都を舞台に、人と道なしと冥官のやさしい物語が描かれます。
    新米の冥官として着実に成長する時子。
    彼女を頼もしげに見守る篁ですが、やはり少し寂しそう…。

    もうすぐ季節も一巡り。
    時子のさらなる成長とともに迎えるラストシーンに、そろそろクライマックスなのかな…という予感もして、終わりが見たいような見なくないような、もぞもぞとした落ち着かなさを感じつつ読了。

    余談ですが…。
    本作では、からくさ図書館で利用者の調べ物をサポートするレファレンスサービスが行われている描写があります。
    冥界とつながる特別な場所としてだけではなく、ちゃんと図書館として描いてくれているのが、一図書館員としてうれしかったのでした。

  • 今回もいつもどおり風情ある景色や祭り、道なしを天道へ導く話に安心感(^^)しかし冥官同士の恋愛に罰があることに衝撃Σ( ̄□ ̄;)をうけ、時子様の早すぎる成長と謎の能力を心配する(゜゜;)あと八瀬の赦免地躍りを見たくなった(^-^)♪

  • からくさ図書館5作目。

    相変わらず、まったり。
    上村松園と八瀬の赦免地踊りと
    天竺に渡った高岳親王が登場していた。

    画学生が道なしのことを同居人の女友達と思い込むところや、
    冥官の一人、八瀬の退職(?)祝いの酒席が開かれたところが、
    面白かった。

    最後に時子の能力が成長したみたいだが、
    謎は持ち越し。

    赦免地踊りもだが、
    駒井家住宅はぜひ見に行きたい。

  • 「月下の想い」
    彼女が描きたかったもの。
    いくら利害が一致したとはいえ、何日間も完全に身体を貸し渡すなど怖くて出来ないな。
    振り回されてばかりの彼だったけれど、彼女のおかげで学んだ事もたくさんあるのではないだろうか。

    「親王のアキナケス」
    作り上げた短刀を収める場所は。
    一瞬だけ見えたり虎に化けて出てこられては、ただの怪奇現象か疲れているだけとしか思わないだろう…。
    ヒントを与えるつもりで現れていたとしても、店の中に突然虎が現れたら恐怖しかないだろうな。

    「八瀬童子」
    関わった全ての人が祀られている証拠を。
    自分一人で行った事でないのに、まるで全て一人で行ったように祀られるのは嫌だろうな。
    大体的には祀ることは出来ない理由があったとしても、書物に残すことや伝承として残すことは出来なかったのだろうか。

  • 心身ともに(「スポーツの秋」で)くたびれ果てた状態で読んだので、若干理解が追い付かなかった(笑)。
    相変わらず大丈夫か、私の読解力。

    (同じ状況でも)他の本ならサラサラッと読めたので、案外このシリーズは気合を入れて読む必要があるのだと思う。
    まあまあ、舞台が現代とはいえ主役は小野篁やもんね。
    何の前触れもなく平安時代のことが挟み込まれてきたり、そもそもテーマとなるものは歴史的なものばかりなので、ある程度の歴史の知識があるほうが面白く読めるんやろう。

    もちろんこの本は、私くらい歴史の知識が薄べったくでも充分楽しめるけれども。


    さて、今回のテーマは美人画と洛北のお祭り、それから、刀剣でしたね~。
    刀剣、流行ってるもんね~。
    このあたりをもう少し集中して読みたかった(私が)。

    「神様の御用人」でもそうやけど、○○が△△に伝えたことを□□が受け継いで・・・、などと、伝聞やら間に人が入ったりやらすると、とたんに
    「・・・ええっと・・・?」
    とか、なってしまうねんな。

    それもこう、数十年の間の出来事ならまだしも、数百年とか数千年単位になってくると、過去が過去を語られたら一体どうなるのとなってしまう。笑

    さて、美人画の話は青一くんと雪枝さんの会話が案外カジュアルで面白かった。
    刀剣や赦免地踊りの話に比べれば、時代も彼らもカジュアルやもんね~。テーマが美人画とはいえ、こういう話も放り込んできはるのがバランスがいいと思う。

    ほんで、要所要所はカジュアルでもラストシーンはよかった!
    最後の一文が好きです。「知っている」っていう現在進行形でお話をまとめるのが素敵。

    ラストシーンといえば、赦免地踊りのラストシーンもなかなかすごい。
    前述の通り、ほんまに文字を追うだけの読み方やったので、時子と晴明の会話の内容もわからんし、篁の懸念もわからん・・・。
    ようは、時子も偽書を作れるようになったってこと?

    また、瑞希と時子の(見た目)年齢が近かったおかげで、わりと打ち解けてお話していた、その内容もチョイチョイひっかかったよな。
    図書館の外に出たら篁が心配して云々、のくだり・・・。
    わかるようで、わからんこのもどかしさ。(;^ω^)

    この続きは次巻で掘り下げられるんやろうけど、たぶん次巻が出るころには詳細を忘れてる~!!
    完結したらまとめ読みしたいな・・・。
    ほんで、瑞希と時子のガールズトークはめっちゃ可愛かったですよ。
    可愛い子たちがセットでいてるとほんま可愛いよね・・・!

    そんな、冥官たちの事情はさておき、前回の湖北ネタに似てるな~、と、思いつつ八瀬の話を読みました。
    そもそも「赦免地」と、いう言葉から初めて聞いたのだけど、八瀬の土地柄や赦免地踊りはとても興味深かったです。
    もし私が弓道を嗜んでいたら、行ってみたくなるかもなあ。

    歴史の取り上げ方とか、その土地の史実の取り上げ方とかが、著者は桑原水菜氏の本と同じ系統な気がする。
    著者のほうが、たしょうは軽いかな? どっちもとても面白いです。

    御苑あたりから寺町通りを四条まで、今度機会があれば歩いてみたいな!
    でもまあ、とてもじゃないけど私が入れるような店はないと思うけども・・・。(;^ω^)

    表紙は八坂の塔かと思ったけど、違うか。真如堂か。あそこにも見事な三重塔があったもんな。
    春先に行ったときに、もっと見ておけばよかった・・・!

    ■■■■

    ■ツワブキ

    ツワブキは、キク科ツワブキ属に属する常緑多年草である。葉柄は食用になる。


    ■物故 ぶっこ

    [名](スル)人が死ぬこと。死去。「昨年―した友人」「―者」


    ■哀調 あいちょう

    詩・歌・音楽などにただようもの悲しい調子。「―を帯びた旋律」

    (2016.09.17)

  • シリーズ5作目。
    ネタとしてはだんだんマンネリ化してきたが、篁と時子の関係が変わっていくきっかけになりそうなことが起こる。
    時子の力が新たに覚醒したところで話は終わるので、「え?ここで終わる?」って感じです。

  • 【収録作品】第十九話 月下の想い 前編/第二十話 月下の想い 後編/第二十一話 親王のアキナケス/第二十二話 八瀬童子 前編/第二十三話 八瀬童子 後編 
    *ややマンネリで、退屈になってきた。

  • 二人の微妙な関係にじれじれします。

  • 小野篁と親王時子が活躍する物語も第5集、秋の季節を迎えた。
    この季節らしく、祭りが題材となっており、古人たちの思いやりや感謝の気持ちが感じられ、肌寒くなる季節の物語なのに、温かみを感じられる物語となっている。

    月下の想い
    上村松園の絵を鑑賞したくなった。
    西洋画に比べ、日本画に詳しいとは言えず、名前は知っていてもパッと思いつく絵が出てこない。
    美術館や博物館に行ってじっくりと向き合ってみたくなった。
    だから、先日の若冲展のような特別展ではなく常設展で。
    お金を払って人の頭を見たんじゃ面白くないからね。

    本作に出てくる「道なし」はどれほどの想いで未来を夢見ていただろう。
    成功するものは一握りとは言え、敬愛する絵師のような絵がかけたなら......及ばずながら私もそんな野心を抱き続けているので、その道半ばで閉ざされてしまっては、私も「道なし」になってしまうかもしれない。

    八瀬童子
    弓道の話が出てきて懐かしくなった。
    大学時代にほんの数ヶ月かじったからだ。
    ずっと憧れていた武道に触れられて嬉しかったが、なにぶん先立つものが底をつき、退部した過去がある。
    ただ、人生は縁である、と考えれば、心のうちがいつもざわついている私には向いていなかったのかもしれない。
    初心者のくせに(だからか?)おごったことをいうが、技術は磨けばきっと良くなったはず、だからいつかまたやってみたい。
    さて、本作ではこの心のざわめきがひと騒動の元。
    どうして彼には声が聞こえたのか。
    ざわめいた心だから聞こえた言葉に、美しい波模様ができる様子を堪能あれ。

    なぜ「からくさ図書館」がからくさ、という名になったのか、その謎に迫り、理由が明かされる。
    ただ美しいから、古都にふさわしいから、そんな理由ではなかったことに言葉の持つ奥深さを感じる。
    また、時子にも変化がある。
    主人公の成長もシリーズ物の楽しみだが、果たして彼女の成長はどの方向に向かうのか。
    悲しい別れ、という方向になるのか、それとも笑顔の旅立ち、独り立ちなのか。
    第6集を待て!!!

  • 待望の第5巻。刀剣のゲームはしているけれど、まったく刀には興味のない私。でも、刀剣のお話しを読んで、「写し」とか「贋作」とかそんなん関係ないんだなって。むしろ気にせず作っていいもんなんだなって思いました。まあ、私の勝手な解釈だろうけれど。そう思ったので。
    神事のお祭りって、「生」を感じてしまうと一気に冷めてしまう理由がわかったなあ。神秘と生々しさ。たしかにそうだ。
    次回も楽しみです。

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著者プロフィール

第17回電撃小説大2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作を大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー。既刊は『からくさ図書館来客簿』シリーズ他。

「2022年 『あなたと式神、お育てします。第二集 ~京都西陣かんざし六花~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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