メグメグ☆シンガーソングファイター (電撃コミックスNEXT)

  • KADOKAWA (2014年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・マンガ (162ページ) / ISBN・EAN: 9784048663526

作品紹介・あらすじ

大人気ボカロキャラGUMIの(架空の)誕生ストーリー!! ひょんなことから人造人間になってしまった女子高生めぐみは、謎の組織「インタネ団」のもとで、「GUMI」としてアイドルデビューを目指すことに!?

感想・レビュー・書評

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  • 人と機械のはざまは、過去から未来につらぬく歌声がつないでくれます。

    「VOCALOID(愛称:ボカロ)」系の商業創作の中ではわりと異端寄りの作品かもしれません。
    まず、内容として完全なオリジナル作品ということが挙げられます。
    そのため、この手のボカロを題材とした創作作品にはよく見られた楽曲を原作とする形式を取りません。
    (タイトルが『ルカルカ★ナイトフィーバー』のパロディと思しきことはこの場合は置いておくとして。)

    あと「GUMI」が表紙を飾ることからもわかる通り、ボカロの顔である「初音ミク」およびその仲間たちであるKAITO、MEIKO、鏡音リン・レン、巡音ルカらクリプトン社発の面々が一切登場しないのも特徴です。
    代わりとばかりに、株式会社インターネットからリリースされた「GUMI」らを主役に据えているわけです。

    なお、作中の世界観こそ現代日本ですが、人型ロボットが社会に認知されるなどちょっとだけ進んでいます。
    ドラえもんに辿り着くまでまだ長いと考えても、人と変わりないアンドロイドの発表を間近に控えています。
    SFという名前の箱に本作のことを押し込むにはいい意味で軽いので――、藤子先生に倣えば「すこし・ふしぎ」な作風といったところでしょうか? 日常系ですが、バックボーンは意外としっかりしてるタイプの。

    まぁ、そんなこんなでオーバーテクノロジーが存在する一方で作中においても現実世界における歌唱ソフトとしての「VOCALOID」が話題を集めていたりもするのですけれどね。
    ゆえに実在する株式会社インターネットとその製品も前述した通り、扱いを違えて登場するわけです。

    あとは当時のボカロ界隈をはじめとするネットミームや背景情報もさらりと触れられ、「架空の有名P」なる当時存在した概念を擬人化したキャラが登場するなど、現実と空想が交じり合っているのも面白いところ。
    余談ですが、色々と(版権的に)危ないところもあるキャラが出てこないところには地味に笑いました。

    と。創作にも関わらず、現実の垣根を越えるメタ・フィクションの色合いも加わる。
    言うなら本作では現実世界における当時の諸事情をほんの少し垣間見せるシナリオが特徴でしょう。「科学の限界を超えて~」と初音ミクは歌ったことがありますが、境界を崩すことならGUMIもまた叶ったようです。

    なお、本作を描いたのはイラストレーターの「CAFFEIN」氏です。
    氏が挫折したボカロPの擬人化としての意味合いを持ちながら、初音ミクの亜種としても扱われているクリプトン社公認キャラ「弱音ハク」の生みの親ということを鑑みれば趣深いですね。

    で、周辺事情について語るのはそこそこに、本作について話を戻していきますか。
    まず、この種の作品のあらすじを事細かに述べても意味はないと思うので詳細は述べることはしません。
    ですが、作品のジャンルとしてはギャグでありドタバタコメディですね。
    神威がくぽに筋トレ好きのような妙な設定が付与されていたりもしますが、GUMIをはじめとするだいたいのキャラのパブリック・イメージは外していないかと。だいたい皆さん、ゆかいな連中でまとまっています。

    その一方で、軽すぎるノリで機械として生を受けた主人公「GUMI」をはじめ、ちょっぴり重いものも垣間見せたわけですが。その辺はアイデンティティーの危機にまつわるハードSFのエッセンスも含まれますね。
    ニュアンスとしてはごっこ遊びに近いものの、正体を隠して人助けをするヒーローものであったりします。

    ちなみに初音ミクたちは公式絵がSF・サイバーチックな外観を持つことから、そちらと高い親和性を持ちます。同時に、舞台を選ばずどんな役だってこなせる万能役者としても認識されていたりします。
    ボカロから派生した数々のコンテンツを見ていけばそれは証明されている通り。GUMIもまたそうでしょう。

    にしたって、色々突っ込むと話が取っ散らかりそうなものですが……、イラストレーターが漫画の分野に進出するのは鬼門な風潮もある中「CAFFEIN」氏は上手く仕上げ、全一巻できっちりまとめていると思います。
    作者が主線太めでメリハリがしっかり効いた画風の持ち主ということもあって、ギャグに限らずとも漫画で使いこなせれば大きな武器であるデフォルメ・簡略画をしっかりモノにしておられるように見受けられます。

    よって結論として、ギャグマンガとしてもひとりのアイドルを目指す女の子の奮闘記としてもしっかり形にされていました。アイデンティティーの危機を自己実現によって解決、昇華したと考えればきっちりハッピーエンドです。荒いところこそ散見されましたが、コメディや人情物のポイントはしっかり押さえられています。

    以上。
    ちょっと甘めの評価かなとも思いますが、ノリと勢いで細かいところを洗い流した豪快さを見込んで星五とします。私がこの手の可能性を拓くタイプの、挑戦的な漫画が好きということもありますけどね。
    読者に向けて伝えたいメッセージ自体は明確ですし、ボカロ漫画にふさわしいテーマではあったのですが。

    さて。
    年齢と身長体重以外の設定はほぼされておらず、派生表現・媒体が実に豊富な初音ミクたちボカロたち――。
    そんな初音ミクが発表から十六年後の現在に至っても、第一線を走り続けているというのは驚きでした。

    が、それを置いても刻一刻と歴史が刻まれているこのジャンルにはGUMIという子もいるんだよと思い起こしていただきたかった。それから改めて声を上げてみたかった。
    そして、その当時を知っていただきたかったと思った私は、再読してレビューを上げさせていただきました。

    時に、ランカ・リー&にんじんネタのように、文脈を押さえないとわからない小ネタは本作にもありました。
    ですが、歌声とは時代を越えるためのメッセージに他なりません。
    そしてそれ以上に、歌声に乗せる「夢」は、人であっても機械であっても変わりはないと教えてくれました。

    だから、GUMIたち、彼女たち「VOCALOID」はそれらふたつを繋ぐ手と手といえるのかもしれません。
    ええ、意外にも本作は人と機械の断絶と、それを埋めるためのピースの両方を提示した作品だったようです。
    確かに全体としては軽快なギャグなのですが、根底に流れていたのは温かいエールでもあったのですね。

  • 何の漫画かよく分かんないけど、普通にギャグ漫画として面白いと思う。それに、謂わば攻殻機動隊的な「ゴースト」が複製された時の自我の危機とかそういう話題もちょっとだけ入ってる。ちょっとだけ。

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著者プロフィール

ボーカロイド・GUMIを生み出した会社。

「2016年 『シリョクケンサ(3) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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