Fragile (B-PRINCE文庫 こ 1-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 667
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048670029

感想・レビュー・書評

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  • BLというのはBLの世界に現実を映して描くものなのに、この人は現実世界にBLを映して書いているのが桁違い。

    本作はBLというより『ザ・世界が仰天ニュース!恐怖の監禁ストーカースペシャル』。

  • 究極のSM?人間性まるまる剥き出しの愛情と憎悪をこれだけ生々しく描いた作品は、BL以外の小説でもそう滅多にお目にかかれるもんじゃない。
    耽美でも華やかでもロマンでもない、この手の監禁話で衝撃を受け、魂を揺さ振られたのは想定外でした。
    木原作品らしく、これでもかという息苦しさで読み手をどん底に突き落とし、警戒させといて、また凍りつくような展開。心臓に悪すぎですね。

    主人公の青池と大河内は、BLにあるまじき性格の悪さです。もうどっちがどっちかに殺されても文句なしの、ズルさと性悪の持ち主。で、双方ともかわいそうになるほど弱くてダメな奴。
    青池が大河内を憎んで憎んで、憎みきれないのが反転して執拗な執着になる、その心理状態がじわじわと伝わってきて目を背けることができません。
    痛い話だけど、それだけじゃ終わってないのがすごいところ。
    ひとつひとつの仕打ちが過激で残酷で辟易するんだけど、段々そんな青池に同情心も湧くし、一方の大河内の騙し方逃げ方も酷すぎなんだけど、けっこう可愛いところもあるじゃんって思えるようになります。
    そもそも、こんな奴のどこがよかった、青池?というのが世間一般の見方でしょうね。でも、人を好きになるってそういうもんで、理屈じゃないのはわかります。

    二人のほめられたもんじゃない人間性に共感覚えたりして、ドキリとさせられるし、好きな相手に酷いことして苛めて泣かせて、それから死ぬほど優しくしたいドS攻願望が満たされました…
    最終的に、大河内無自覚な愛が芽生えてましたね。でなきゃ、あのまま青池を見殺しにしてたに違いないし。ま、悪く見れば保身とか身勝手とか潜在的ドMなのかとも思えるけど。
    二人の関係が確実に変化していることがわかるエンディングは絶妙です。
    大河内は自分の気持ちを肯定しなくても、一緒にいて甘えてたから、割れ鍋に綴じ蓋で上手くやっていくんでしょうねー

  • やっぱり木原作品です(笑)

    上司×元部下。 監禁 陵辱入ってます。

    性格がもの凄く悪い主人公の上司と職場でいじめ抜いて
    辞職させた元部下という復讐系?
    こんな上司がいたら、即座に辞めるかストレスで
    胃潰瘍になるか、会社に放火したくなるかだと思いますが…
    そんな男をあれほど虐げられても慕う攻めの心理がわからない…
    わからないんだけど、逆襲の切れっぷりがもの凄くて…
    最初は拍手してしまいましたがだんだん流石に
    ついていけなくなりました。

    それでも、どんでん返しやら何やらでいったいどちらが
    被害者なのかわからない展開になってしまい…
    という感じで結局最後まで一気に読んでしまう…
    やっぱり木原マジックは健在です。

    相当にエグイシーンもありますので覚悟して読まれる事を
    お勧めします。


  • 面白くて一気読み。

    攻め受け共に強烈な性格で、特に受けの大河内の性格が悪すぎて笑っちゃうくらい。
    虐め抜き退職に追い込んだ張本人である大河内に、恋情を抱きつつも監禁して凌辱の限りを尽くす青池の方もなかなかに鬼畜。
    後半「そう来るか…!」と思わされるのが小気味よかったです。すごいな大河内!ってなりました。
    最終的には大河内が「不幸だ」と思いながらもまんざらでもないんじゃ…?とこちらに思わせるところで終了。
    いい意味でも悪い意味でも余韻の残る作品でした。

    今後「○液まみれのドッグフード」を超えてくる食事は、なかなか出て来ないのでは笑

  • 良い意味で…、心がグッサグッサえぐられる。受けも攻めも七転八倒し、その度に心も体もガッツリ傷つき、それでもわずかな望みを期待して嘘っぱちな時間を共にする。結局どっちもどっちのクソったれなんだろうが、私はやはり青池に引っ張られてしまう。今まで読んだ木原さんの作品の中でもこれはかなり苦しい。終盤、青池が手痛い返り討ちに合ってからが怒涛の展開というか、返り討ち合戦みたいになって最後、ああーっとなったが、あのラスト…! 木原さんほんとお見事だと思う。私はこの方の作り出す狂気の世界がめちゃくちゃ好きです。

  • 図書館で借りて表紙と裏表紙心臓に悪すぎた笑

    内容も心臓に悪い展開が続く、でも読み進みたくなる不思議

    人間の二律背反な部分を煮詰めて行ったらこうなるのか

    ここまで人を憎んだり執着できるのすごいなあ
    この2人を綺麗にまとめてるのすごい笑笑

    余談ですが、最近読んだBL漫画の攻めが受けを囲い込むパターンは病んだ受けに家を与えて介護してスパダリによる更生見守り軟禁だったから、時代の変化なども感じました。どっちも執着には変わりないけど

  • クズ無能上司の受けに攻めが復讐する愛憎入り交じった話でした。
    やり方はどうあれ最終的に丸く収まった感が…?メリーバッドに見えますがなんかこれはこれでいいのではと思います。

  • とうとう読みました!思ったより平気で自分でも驚いた。

    パワハラというなまっちょろい言葉では済まない陰湿な苛めをした上司の受け。復讐のためとはいえ、監禁して人間の尊厳を奪っていく攻め。うわぁうわぁと思いながら読んでたけど、これは攻めの絶望的な片想いなんだ、という点がみえてきて、自分的にはそれが神の一手だった。途中で愛が芽生えるとかあり得ないし…。それを思えばハッピーエンドだよ…ね?

  • 2章立て、つらくて1章(半分)読んだところでやめてしまった。どう辛かったって、話が進まないのがというか、……。監禁とかは全然大丈夫なんだけど、主人公は最初からゲス過ぎて魅力ゼロだし。ゲスも好きなんだけど、人として卑怯な感じでちょっと無理な感じでした。

  • 読んでる途中で、私はいったい、何を読んでるのか。。。と何度も思った(笑)
    BLとゆうより、スリラーです。でも、後半の青池目線のお話は、大河内への複雑な愛憎が綴られています。
    青池よ、なんでこんなやつがいいんだー!
    ってなります。
    世の中に、性格悪い受けをギャフンと言わせるBLは数あれど、木原先生が書くとこうなるのかと思いました。
    木原先生のBLには一切綺麗事無し、リアルで痛々しい点もあるけど、だからこそ胸を抉られます。

    そして、流血のイラストカットがめちゃめちゃ衝撃でした。。
    ほんと、何を読んでるのか分からなくなった(笑)

    ただ、やはりさすがの文章力、BLとかそーゆー問題じゃなく、面白かったです!

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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