断章のグリムVII金の卵をうむめんどり (電撃文庫 こ 6-20)
- アスキー・メディアワークス (2008年4月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048670166
作品紹介・あらすじ
時槻風乃は、知っている。この世界と全ての存在は、常に『痛み』という火によって、焼かれ続けている。幼い頃に火傷した時、火という物の本質は『痛み』であると学んだ。-火は『痛い』もの。そして、彼女に燻り続けていた『火』と『痛み』への思索は醸成され、一つの結論へと-。時槻雪乃のクラスメイトの古我翔花は、継母との確執により、いつも雪乃の家で泣いていた。死んだ母親の居場所を、形見の指輪を守りたいが、翔花は悔しさと悲しみに明け暮れて泣いていた。そんな時、ゴシックロリータに彩られた人形的な美しさを持つ風乃に出会い-。悪夢の短編連作型で贈る幻想新奇譚。
感想・レビュー・書評
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「よくばりな犬」
占いにすがりたい想いは。
目に映る光景は一番相関図を作りやすいが、付き合っていないのであれば行動に移すべきだろ。
「アリとキリギリス」
努力を続けても叶わない。
相手の想いを知ってしまったからこそ、大切な友人を守りたかったがトドメの一言になったな。
「金の卵をうむめんどり」
伝わらない想いは壊れて。
理解しようとはしているのだろうが、理解度が低すぎるが故に最悪な最期を迎えてしまったな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回は、サブタイトルになっている「金の卵をうむめんどり」のほか、短編2編を収録しています。
「よくばりな犬」は、瀬川彰人(せがわ・あきと)という男子生徒への恋心をかくしてきた衣川遊美(きぬがわ・ゆうみ)という少女の物語。「アリとキリギリス」は、親友であり対照的な性格の霧生比奈実(きりゅう・ひなみ)と有賀美幸(ありが・みゆき)の物語。どちらも、「霊能者」として事件の解決にやってきた雪乃の登場で、それぞれの主人公たちの身に起こった災いの終わりが訪れるという構成で、あっさりしていますが本作特有の雰囲気はじゅうぶんにたのしむことができました。
「金の卵をうむめんどり」は、雪乃とその友人の古我翔花(こが・しょうか)、そして雪乃の姉である時槻風乃(ときつき・かぜの)が登場する過去の話です。父親の再婚相手によって母親の指輪をかくされた翔花は、残虐な行為に手を染めることになります。雪乃や風乃の過去についてはまだ語られていないことも多くのこされていますが、この後の展開のなかですこしずつ明らかにされるのでしょうか。つづきが気になってきました。 -
今回は覚悟していたほど、心理的に来るものは少なかったような気がする……猫の話を除いて。
今回は短編形式で構成されているせいで一つ一つの話の重さが少々物足りないと感じてしまうのは相当毒されているな。今回の現象は今までのような残酷な“泡禍”ではなく普通のありふれた悪夢と表現したほうが似合いそうな雰囲気が漂っている。
現在と比べて三年前の時槻姉妹の性格が大いに違っていたことは意外だった。三年前の雪乃は普通の少女として、風乃は傷付くことばかりに意識を向けている社会的に死んだ人間のよう。このような過去を知るとあの悲劇の前後で一体どこまで残酷な出来事があったのか是非とも知りたくなってしまう。 -
番外編。イソップ童話を元にした短編集として、それぞれの物語が展開されている。面白かった。
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アリとキリギリスの話、わたし確実に美幸タイプだ…!ちゃんと努力しないとなあ。先輩も残酷だよね、そんなに気持ち悪いものなのか…←
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短編集。
風乃さんの過去編が特に好きでした。 -
再読。甲田先生は、人間関係から生まれる負の感情描くのが上手いなっていつも思います。リアルで読んでいる時自分まで泣きそうに…。
あと風乃さん好きです。尖ってない雪乃さんもかわいかった。 -
断章のグリム・イソップ寓話編(笑)。
短編が2つと中編1つ。それと幕間のお話。
イソップはもともと話が短いので、作中で引用されている寓話もほぼ自分の記憶通りだなぁという印象。もちろん断章に膨らます中でひとひねりふたひねりされてて、やっぱり関心せざるを得ませんが。
今回は風乃さんの過去話とか読めるのが、なんだか得した気分です。