ジャパンクールと情報革命 (アスキー新書 81)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 52
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048672863

作品紹介・あらすじ

「モノづくり」から「モノ語りづくり」へ。ジャパンクールが予言する日本型情報社会の未来!バブル崩壊以降の「失われた10年」は、製造業を中心とした日本の産業構造に原因があった。一方でアニメ、マンガなどの日本産コンテンツは、「ジャパンクール」として世界に受け入れられている。ここに隠された情報革命の本質とは何か?工業社会から情報社会への転換がもたらす、生活・文化とビジネスの変容を見通す。

感想・レビュー・書評

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  • モノ作りの時代からモノ語りの時代へ。

    江戸は情報社会だったという展開は強引なところがあり、トンデモな感じもするが、J POPのルーツは浄瑠璃にある。故に歌詞による物語が大きなウェイトを占めているという指摘は目から鱗が落ちる思い。

    IT革命とは情報へのアクセスの仕方が革命的に変わったことによって、情報の意味、つまりは人々のリテラシーやそこから喚起される感情といった(いわば)ソフトウェアが変わったのに、森善朗を筆頭に単なる新しいインフラと商品の需要喚起としか捉えられていない人が多すぎる。

    [private]そういう人が形成する会社がポータルサイトだ、検索エンジンだといっているというのも事実なので、肩こりが酷くなっていくのだけれど…。
    [/private]

  • 本書の中で著者は、工業社会の後に情報社会がくるという「段階的発展説」は間違っていると主張しています。江戸時代にすでに歌舞伎や落語、浮世絵の創作者といった、享受者が重なり合うような文化が成立していました。このような日本文化の特徴は、現在インターネットを通じて広がっているサブカルチャーの享受形態とよく似ていると著者は指摘します。

    こうした文化の享受形態においては、ハードな「モノ作り」よりもソフトな「モノ語り作り」の方が重要になってきます。しかし日本の産業構造は、このような社会の動向を把握しておらず、それがバブル崩壊以後の日本の経済の低迷を招いたと著者は言います。

    そのほか、台湾・韓国・中国における日本のサブカルチャーの受容状況についてのレポートも含まれています。

    議論が多岐に渡っていて、どれも中途半端に終わっている印象があります。とくに日本の伝統文化と現代のサブカルチャーの比較というテーマはよく見かけますが、他方で批判も多く、どうしても強引なところがあるのではないかと感じてしまいます。

  • クールジャパン江戸文化起源説

  • 情報学と江戸文化とアニメ漫画に精通する著者ならではの一冊。

    見出しで抵抗を覚えたが、中身はまともだった。

    アニミズムについて強い興味を覚えた。

  • L

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著者プロフィール

京都市出身。1978年、京都工芸繊維大学大学院修士課程修了。2001年、同学術博士。米国イリノイ大学客員准教授、甲南大学教授を経て1997年より関西学院大学社会学部教授。現在は公益財団法人山階鳥類研究所長。『パソコン少年のコスモロジー―情報の文化人類学』(筑摩書房)、『人間・動物・機械―テクアニミズム』(角川ワンテーマ21)、『ジャパンクールと江戸文化』『情報人類学の射程―フィールドから情報社会を読み解く』『江戸<メディア表象>論 イメージとしての<江戸>を問う』(いずれも岩波書店)など。

「2019年 『鳥と人間の文化誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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