ストーリーメーカー 創作のための物語論 (アスキー新書 84)
- アスキー・メディアワークス (2008年10月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048674157
感想・レビュー・書評
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物語の基本中の基本は「行って帰る」である…など、神話や民話の構造を分析して物語の構造を理解していく一冊。
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創作される物語には一定のパターンがあって、有名になるようなものを分析してみるとそのとおりになっているという内容。良いストーリーを作るための十分条件程度のものが示されている。
映画や小説の構成は、どれをとってもなんか似ているな、という肌感覚は持っていたが、やはり定式化されたプロットというものは存在した、ということか。 -
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ビジネス
ことば -
あとがきにある、一言。物語論は、"文学 for everybody" というコンセプト。それだけでこの人は好き。
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マニュアル的且つ実践的なテキストで面白かったけども、例えに出される作品(スター・ウォーズ等)を全く観ていないため、終始取り残された気分。
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創作活動に「再現性」をもたらすこと。
それが著者の姿勢であり、この本の内容も「創るためのツール」に他ならない。
これはまだ、日本のクリエイターには受け入れにくい考え方なのかもしれない。小説家やその卵たちの態度を見ても、テクニック論に関しては、まだまだ閉鎖的なように思える。
ただ僕の立場は、完全に著者よりで、ツールでもテクニックでも、使えるものはばんばん開示してしまえばいいと思っている。
本当の独創性は、それを越えた先にあると信じているし、なにより創作の敷居を下げることができるからだ。
もっとたくさんの人に、創る楽しさを知って欲しい。 -
『物語の体操』(朝日文庫)や『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)と同じく、キャラクター小説のストーリーを作るための実用的なマニュアルをめざした本です。
第1部は、神話論や物語論の基本文献を紹介しながら、著者のキャラクター小説論が解説されています。取り上げられているのは、瀬田貞二『幼い子の文学』、ウラジミール・プロップ『昔話の形態学』、オットー・ランク『英雄誕生の神話』、ジョセフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』、クリストファー・ボグラー『神話の法則』の5冊です。その際、中上健次が死の間際に手がけていたマンガ原作の『南回帰線』という作品の分析も、併せておこなわれています。
第2部は、30の質問項目に答えていくことでじっさいにストーリーを作ってみるという、きわめて実践的な内容です。著者が大学で教えている学生の回答例をもとに、より詳しい解説がなされています。
とくに第2部は、『物語の体操』よりもさらに実践的な内容となっていて、じっさいに作品を作ってみたいと考えている読者には役立つのではないかと思います。 -
実践しろ!と書いてあるので実践しましたが、巻末の31の質問に答えるだけでは単純にプロットを作ることはできません。流し読みすると、質問の意図がよくわからなかったり、最後の方で「行って帰る」の図に落とし込んだり、ボグラーのプロットに当てはめるためには、情報を編集して、言葉を自分がわかりやすいように編集する必要も出てくる。手続きとしては、確かに簡単だが、31の質問にしっかり答えるだけでもけっこう大変です。やっぱり物語を作るのに、楽ばっかりはできません。
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「読み終わった」って言っていいのかわからないが、
読み終わった。
なかなか興味深い。これに則っていっぽん書いてみよう。 -
プロットからの物語の作り方。
ただ、これを読んでわかるのは、自分が無意識にさけようとしているテーマは、なかなか表面にはあがってきにくいよということです。
ある意味、プロットの時点で、この配役(?)、配置で正しいのかを誰かに見てもらうというのは大事かも。 -
社会でさえも、ものがたりをつくりたがる。集合無意識さん、やるわね。
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物語るという技術。
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ストーリーの文法書。大塚英志がマンガ創作のための大学の講義を凝縮してまとめた理論的著作第二弾!
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ウラジミール=プロップの物語論などを参照しながら物語の構築の仕方を説明した本です。平易な文章で読みやすいです。けど、やっぱりそれ相応に大変なんだなあ、というのもわかりました。
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ダラダラと読んだが実績しないと意味のない代物。図書館で借りてきたものなので、実費購入して再読と実施が必要かと。
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第二章のプロップの所はちゃんと読んだが、あとは流し読み。著者の主張は、「誰でも物語の文法を押さえれば、物語が書ける」というものである。また、「オリジナリティ」と称して自己をさらけ出すだけでは人に見せられるものにはならないという指摘や、そもそも書く能力を身につけることによってしかオリジナリティの源泉である「近代的自己」は発現しないという指摘はなかなか興味深い。
考えてみれば、日本ではもともと「近代的自己」なんてものはなく、夏目漱石にしろ、森鴎外にしろ、「近代的個人」とか自己とかは留学の経験から出てきて、そうした自己表現がなんか高等なものと考えられていた時代があった。これが「私小説」という日本独自の分野が成立しているわけでもあり、ブログの隆盛や、「にちゃんねる」の罵詈雑言もこういう「個人的意見を書きたい」という願望の表れとみなすことができる。そもそもノベルというのは『ロビンソン・クルーソー』(これはある船員の実体験にもとづく)以来、ニュースや報道と密接に関わって発展してきた分野なんである。だが、日本ではなんか、個人の苦悩を書く小説が高等なこととされていて、「マニュアルをつかって書くなんて、ゲージュツじゃない」という理屈がまかり通り、物語を書くなんて「才能」が必要なんだとされている。だが、印刷メディアがなかった時代にも「物語」を語るジーサン、バーサンはいたのである。こうした「物語」ははっきりとした形式をもっている。
この本によれば、村上春樹や吉本ばなななど、世界に届いた文学にはこうしたはっきりとした構造があること、ジャパニメーションなども分かりやすい構造をもっていることが指摘されている。だから、ゲームやアニメなどが世界でもてはやされていても、それは日本人の特性でもなんでもないし、いずれ競争にさらされ、変質していくとしている。
物語の文法の基本は、「主人公が何らかの意味で異世界に行って、ちがう自分になって欠乏を補い、何らかの意味で帰ってくる」というものであり、この点ではプロップも、ハリウッド映画の研究から現代の神話研究をしたキャンベルも同じである。まあ、プロップの8つの人物、31の過程が基本でこれが省略されたり、少しひねりをくわえられたりして、お話は作られているんである。著者は独自のタロットカードをつかった発想法や30の質問に答えてストーリーを作り出すマニュアルを載せているが、この点はディックが『易』でストーリーを書いたことを髣髴させる。詳しくは、プロップ(1895-1970)の「魔法昔話」の研究などを参照する必要がある。ほんとうはクセジュの『物語論』を読もうとしたが、訳が読みにくいので、最近の動向も書いているこの本を読んでみた。 -
小説を書いてみようとする人のための書き方とプロットの作り方を指南してくれる本。
前半は神話とかの作り方から物語の傾向を説明してくれる。
後半が実際に質問に答えていく形でプロットとか詳細を作っていけるものだった。
ちゃんとやるとなんだか書けそうな気がしてしまうのがすごい。
あと自分の書いているお話とかの詳細をきちんと作れたのでこれ以降キャラがぶれにくくなったかも。 -
プロップなどの物語論をとても平易に説明してくれています。
文学や映画、アニメを鑑賞する際の新たな一つの視点を得たい方や。
小説とまではいかずとも、自ら何らかの話を組み立てたい方には一読をお勧めします。