ストラディヴァリウス (アスキー新書 82)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 76
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048674171

作品紹介・あらすじ

誰よりも艶やかに歌う三〇〇歳のプリマドンナ。「時間」を超えるその価値とは何か?カラー写真多数。いまも解明できないその音色の秘密、ニスの謎、億を超える価格…。多くの人を魅了し、人生を狂わせもした至高の楽器。パガニーニなど著名な音楽家やヨーロッパ王室との関係など、所有者と名器がたどった数奇な運命とは。そしてアントニオ・ストラディヴァリは何を成し遂げたのか。第一人者による決定版。

感想・レビュー・書評

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  • ヴァイオリンという楽器の特殊性を改めて考えさせられる。楽器として実用性が求められる一方で、美術品としての価値を求める人たちもいる。

    個人的には、娘がヴァイオリンを専門に学んでいることから、今まで、弾き方、奏法や曲の解釈ついてはいつも考えてきた。楽器について余り考えてこなかったのは、腕を楽器のせいにしてはいけないという自戒と、学生の身でストラドについて語っても、という気持ちから。以前教わっていた先生は「楽器はついてくるものだから」とおっしゃっていらした。きっとその通りなのだろう。楽器との出会いもご縁のもの、それは人に出会うことと一緒かもしれない。

    演奏のことについて言えば、改めて木の箱が鳴るという素朴なことに思い至る。つい、弓を使っていかに弦を鳴らすかばかりを考えていたけれど、その振動がこんな小さな箱に伝わってそれを鳴らしているということに驚く。

    そして、娘に楽器を譲ってくださったコレクターの方のお話が蘇る。何故こんなに技術が進んだ現代でストラディバリウスを超える楽器を作れないんですか、との質問に、現代人は当時のような研ぎ澄まされた感覚をもう持ち合わせていないから、とおっしゃっていた。確かに雑音に晒された現代と17世紀のイタリアでは、耳が捉える音が全く違うはず。それも一つの答えなのだろう。

  •  コンパクトなストラディヴァリウス入門書(弾けるようになるわけではないが)。

     ヴァイオリン愛好家でなくともストラディヴァリウスの名前は知っているだろうというくらい有名な製作者とその楽器。弦楽器の撮影をライフワークに定め、そればかりか弦楽器製作にまで手を出したという写真家によるストラディヴァリウスの本である。本書の帯には「かくも人を狂わせる至高の楽器」とあるが、そんなに狂った話は出てこない。アントニオ・ストラディヴァリの生涯と活動した土地クレモナの話題、ストラディヴァリウスの真価を認めた製作者やコレクター、楽器商の話など、ある意味でまとまりはないが、さまざまな話題をバランスよく取り入れているともいえる。読み物として楽しいのだが、冒頭30ページ以上にわたって、クレモナの風景や楽器の写真などが掲載されているのも目に嬉しい。
     著者の横山氏は1980年代に名器の写真集を何冊か出している(1冊数万円!)が、それを新書版の写真集に編み直してくれればいいのに。

  • アマティ、グァルネリ、ストラディヴァリを生んだクレモナの町について知ることができた。世界中でストラディヴァリウスの写真を撮っている横山さんが語る楽器の印象は、説得力あり。

  • 著者横山進一さんの、ストラディヴァリウスにとり憑かれてる感が凄い。

  • 名器をひたすら追って愛でる、ある意味幸せな人生。
    目利きには科学的素養が足りず、科学者に音楽の素養が足りず。
    お互いがうまいこと組んで研究してほしいものだが。
    マイスターが精魂込めて作り上げ、世代を超えて受け継がれる。ファティマか。

  • 面白かった。クラシック音楽に詳しくなくとも耳にしたことがあるであろう、この銘を持つ楽器の魅力が十分に伝わってくる。日本円で億の桁の値がつくのは、様々な事情があるというが、17世紀あたりの木製器が未だ嘗て現役で歌い、それが最高級の音色だというのは、あらためて考えると、感慨深い話だ。美術品であり骨董品であり、そして実用品であるということが、比類なき魅力なのであろう。

  • 楽器という、モノを作る。イタリア、クレモナにいた弦楽器の名(職)人ストラディヴァリ、そして、その工房で腕をうならせていた工房の職人集団。内容に興味は尽きず、もっと知りたいと思ったのだが…読みにくい文章(苦笑)。

  • ストラディバリウスとストラディバリの違いって?という素朴な疑問から本書を手にした。結論から言えば発音の違い(イタリア語とそれ以外?)だが、通常楽器はストラディバリウスで作成者をストラディバリと表記することが多い。
    それにしても300年経って本領を発揮する素晴らしい楽器製作をしながら、オープンに後継者を育てなかったというのが残念というか。
    使ってこそ楽器であるが、芸術作品として使われずに保管されてしまうという運命にあるまことに難しい楽器でもある。
    できればストラディバリウスとグァルネリを聞き比べたくなってしまいました。

  • 写真もあって華やかな本なのだが、他のバイオリンと形がどう違うのかもっと詳しく知りたかった。表面的な内容を広くカバーしている、初心者向けの本。

  • 誰もが知っている「ストラディバリウス」という楽器に対する著者の愛が詰まっている。

    著者が半生以上をかけて写真を撮り続けてきたストラディバリウスについて書かれている。
    作者のストラディバリの話、当時の時代背景、いくつかのヴァイオリンの話。

    美術品として、楽器として、長い年月を愛され続けてきたすばらしい楽器を知ることが出来る。

    惜しむらくは音が聞けないことだが、それを本に要求するのは無理がある。
    また、聞けても何かを感じ取れる感覚を持っている気がしないという問題もある。

    それでも生きている間に一度、聞いてみたいと思うだけの内容はあった。

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