本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784048674171
みんなの感想まとめ
バイオリンの名器、ストラディヴァリウスの魅力が深く掘り下げられた作品で、楽器としての実用性と美術品としての価値の両面が考察されています。300年以上の歴史を持つこの楽器が、演奏されることで命を吹き込ま...
感想・レビュー・書評
-
私はヴァイオリンに関する本は何冊も読んでいる。だから、著者の体験談以外の部分、つまり、ヴァイオリンに関する知識では新たに得るところはなかった。だが、読んでよかったと思わせる美点がいくつかあった。それはそのまま本書の特徴にもなっている。箇条書きで3つ挙げてみよう。
・冒頭の32ページに渡るカラーページ内のヴァイオリン写真の美しさ
・入門者が知りたいことは網羅されており、コンパクトにまとまっている
・平易な言葉で書かれており、非常に読みやすい
著者の横山氏はストラディヴァリウス(以下ストラド)に憑かれた写真家だけあって、撮影したヴァイオリンの写真は非常に美しい。これは、一見の価値がある。他の人が書いた本の中で、横山氏の写真が使われている本も何冊か見たことがあるが、本書ほど鮮明で大きくは載っていなかったので、本書の写真を見たときのインパクトは大きかった。
たとえば、”ニスが手につくような輝きを放つ”「メシア」の美しさについて。美しさをいくら言葉で説明しようと試みても、読み手にその美しさを伝えることは困難だ。だが、うまく撮られた写真を見れば一目瞭然である。言わんとしていることが良くわかり、百聞は一見に如かずとは正にこのことだと思わされる。
ストラドの謎(ニス、木材、音の響き、価格など)や、製作者の生涯など、門外漢がストラドに関して知りたいことは、この一冊で全て知ることができる。「一冊でわかるストラディヴァリウス」というタイトルが相応しいような本である。私がこれまで読んできたヴァイオリンの本の中では、これほどうまくコンパクトにまとまっている本はなかった気がする。素材選びがうまいのだ。
3大ヴァイオリン以外のオールド・ヴァイオリンの話や、モダン・ヴァイオリン、あるいはヴァイオリニスト列伝まで話を盛り込んでしまうと、まとまりが悪くなってしまっていただろう。類書では、最後に取って付けたように演奏家を列挙しているものも見受けられるが、本書では名器を使った演奏家という視点から「演奏家が愛した名器」という紹介の仕方をしている。この書き方は懸命な選択であるように感じた。
著者は写真家・研究家という肩書きだが、プロの文筆家と比較しても遜色のないくらい文章が読みやすく、とても好感が持てた。わかりやすい文章は、まとまりの良さを感じさせることにも一役買っていただろう。
門外漢や入門者の最初の1冊としておすすめしたい本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者は写真家であり、ストラディヴァリウスに魅せられ、ヴァイオリンの製作者としても名を馳せている。巻頭のストラディヴァリウスの写真は素晴らしい。著者がストラディヴァリウスに出会ったのは1973年で、撮影の依頼を受けてからのことである。現在、ストラディヴァリの楽器は600本余りが確認されており、著者はそのうち300本に実際に会い、音を聴いた。撮影したものは100本を超えるという。スミソニアン博物館、アメリカ国会図書館、コーコラン美術館の3つのコレクションをまとめた写真集や、装飾のあるストラディヴァリウスの写真集も出版している。大英博物館やオックスフォード大学アシュモリアン博物館、メトロポリタン美術館などでもストラディヴァリウスを撮影している。
日本人で、ストラディヴァリウスの専門的な写真家が存在することに驚きを感じる。また、日本には現在70本近くのストラディヴァリウスがあるという事実にも驚愕する。私は実物を見たことがない。
ストラディヴァリウスは、イタリア北西部のロンバルディア州南部の小都市クレモナでヴァイオリンを製作した。クレモナは、アマティ(1596〜1684)、ストラディヴァリウス、グアルネリ(1626〜1698)などのヴァイオリン製作の巨匠を輩出している。クレモナ出身の作曲家ポンキエッリに冠した劇場ではヴァイオリンコンサートが開かれており、わずか人口7万人の都市ならではの文化の一端である。現在もヴァイオリン制作に従事している人が300人以上いるとのことである。
ストラディヴァリウスは、ストラディヴァリ父子3人(父アントニオ:1644〜1737、子フランチェスコ:1671〜1743、オモボノ:1679〜1742)が制作した楽器である。ストラディヴァリという名前は、イタリア語の「道」を意味する「ストラーダ」に由来している。アントニオが50歳代の頃にヴィバルディが20歳代であり、弦楽器が隆盛を誇る時代であった。
それにしても、300年前のヴァイオリンが美術品のように美しく、そして一流のヴァイオリニストに使われているとは驚くべきことである。前澤友作が2023年に1717年製のストラディヴァリウスの「ハンマ」を天才バイオリニストHIMARIに貸与したとのことだが、実際にプレゼントすべきだと感じる。そうか、贈与税がかかるか。最近はHIMARIのYouTubeを繰り返し聴いており、その素晴らしい音色に感動している。
ヴァイオリンは木材で作られ、美術品であると同時に楽器としても用いられる。300年以上経った今なお美しい音を出しているのは、いくつかの要因によるものである。ストラディヴァリウスは、イタリアの泥見て渓谷周辺の木材(スプルース:マツ科のドイツトウヒ)を厳選し、長期間乾燥させている。また、独特のニスを時間をかけて何層も重ね塗りしており、卓越した制作技術が伺える。
本書には記載されていないが、最近の研究ではスプルースにはストラディヴァリウスにカリウムとナトリウムが多く含まれていることが判明した。さらに、グアルネリにはカルシウムとミョウバン成分が含まれていることもわかった。これらの成分は、ヘミセルロースから水分を減少させる役割を果たしているという。ストラディヴァリウスとグアルネリの巧妙な工夫は見事である。
#横山進一 #ストラディヴァリウス -
ヴァイオリンという楽器の特殊性を改めて考えさせられる。楽器として実用性が求められる一方で、美術品としての価値を求める人たちもいる。
個人的には、娘がヴァイオリンを専門に学んでいることから、今まで、弾き方、奏法や曲の解釈ついてはいつも考えてきた。楽器について余り考えてこなかったのは、腕を楽器のせいにしてはいけないという自戒と、学生の身でストラドについて語っても、という気持ちから。以前教わっていた先生は「楽器はついてくるものだから」とおっしゃっていらした。きっとその通りなのだろう。楽器との出会いもご縁のもの、それは人に出会うことと一緒かもしれない。
演奏のことについて言えば、改めて木の箱が鳴るという素朴なことに思い至る。つい、弓を使っていかに弦を鳴らすかばかりを考えていたけれど、その振動がこんな小さな箱に伝わってそれを鳴らしているということに驚く。
そして、娘に楽器を譲ってくださったコレクターの方のお話が蘇る。何故こんなに技術が進んだ現代でストラディバリウスを超える楽器を作れないんですか、との質問に、現代人は当時のような研ぎ澄まされた感覚をもう持ち合わせていないから、とおっしゃっていた。確かに雑音に晒された現代と17世紀のイタリアでは、耳が捉える音が全く違うはず。それも一つの答えなのだろう。 -
コンパクトなストラディヴァリウス入門書(弾けるようになるわけではないが)。
ヴァイオリン愛好家でなくともストラディヴァリウスの名前は知っているだろうというくらい有名な製作者とその楽器。弦楽器の撮影をライフワークに定め、そればかりか弦楽器製作にまで手を出したという写真家によるストラディヴァリウスの本である。本書の帯には「かくも人を狂わせる至高の楽器」とあるが、そんなに狂った話は出てこない。アントニオ・ストラディヴァリの生涯と活動した土地クレモナの話題、ストラディヴァリウスの真価を認めた製作者やコレクター、楽器商の話など、ある意味でまとまりはないが、さまざまな話題をバランスよく取り入れているともいえる。読み物として楽しいのだが、冒頭30ページ以上にわたって、クレモナの風景や楽器の写真などが掲載されているのも目に嬉しい。
著者の横山氏は1980年代に名器の写真集を何冊か出している(1冊数万円!)が、それを新書版の写真集に編み直してくれればいいのに。 -
アマティ、グァルネリ、ストラディヴァリを生んだクレモナの町について知ることができた。世界中でストラディヴァリウスの写真を撮っている横山さんが語る楽器の印象は、説得力あり。
-
著者横山進一さんの、ストラディヴァリウスにとり憑かれてる感が凄い。
-
名器をひたすら追って愛でる、ある意味幸せな人生。
目利きには科学的素養が足りず、科学者に音楽の素養が足りず。
お互いがうまいこと組んで研究してほしいものだが。
マイスターが精魂込めて作り上げ、世代を超えて受け継がれる。ファティマか。 -
面白かった。クラシック音楽に詳しくなくとも耳にしたことがあるであろう、この銘を持つ楽器の魅力が十分に伝わってくる。日本円で億の桁の値がつくのは、様々な事情があるというが、17世紀あたりの木製器が未だ嘗て現役で歌い、それが最高級の音色だというのは、あらためて考えると、感慨深い話だ。美術品であり骨董品であり、そして実用品であるということが、比類なき魅力なのであろう。
-
楽器という、モノを作る。イタリア、クレモナにいた弦楽器の名(職)人ストラディヴァリ、そして、その工房で腕をうならせていた工房の職人集団。内容に興味は尽きず、もっと知りたいと思ったのだが…読みにくい文章(苦笑)。
-
ストラディバリウスとストラディバリの違いって?という素朴な疑問から本書を手にした。結論から言えば発音の違い(イタリア語とそれ以外?)だが、通常楽器はストラディバリウスで作成者をストラディバリと表記することが多い。
それにしても300年経って本領を発揮する素晴らしい楽器製作をしながら、オープンに後継者を育てなかったというのが残念というか。
使ってこそ楽器であるが、芸術作品として使われずに保管されてしまうという運命にあるまことに難しい楽器でもある。
できればストラディバリウスとグァルネリを聞き比べたくなってしまいました。 -
写真もあって華やかな本なのだが、他のバイオリンと形がどう違うのかもっと詳しく知りたかった。表面的な内容を広くカバーしている、初心者向けの本。
-
誰もが知っている「ストラディバリウス」という楽器に対する著者の愛が詰まっている。
著者が半生以上をかけて写真を撮り続けてきたストラディバリウスについて書かれている。
作者のストラディバリの話、当時の時代背景、いくつかのヴァイオリンの話。
美術品として、楽器として、長い年月を愛され続けてきたすばらしい楽器を知ることが出来る。
惜しむらくは音が聞けないことだが、それを本に要求するのは無理がある。
また、聞けても何かを感じ取れる感覚を持っている気がしないという問題もある。
それでも生きている間に一度、聞いてみたいと思うだけの内容はあった。 -
愛娘のためにバイオリンを一から作ってしまった叔父に
影響され、ストラディヴァリのことが知りたくて図書館で
思わず借りた本です。
ちなみに、これを読むまでストラディヴァリウスの名前も
よく知らず、ストラビバリだと思ってた大バカ者の私。
美空ひばりみたい・・・。
一応全部読んだのですが、知識として吸収された気配は
残念ながらありません(笑)
いろんな名前が出てきて、頭の中で整理しきれずにぐるぐると
踊っています。
これを読んで思ったのは、それぞれ手にされた人の思い、修復や
手入れ、演奏などの調節を経て、300年以上経た今も名器と
して残っているのだなということ。人類の大いなる遺産ですね。
ストラディヴァリウスのヴァイオリンの製作には秘密が多く、
今も様々な謎があり、真似をして作られたりもしたそうですが
なかなかあの名器たちのような形状や音楽にはならない。
300年の「時の経過」がそこには加わっているからで、今すぐに
同じように時を早送りするような細工を施したとしても、
やはり同じようにはならないらしいです。
ロマンがありますね。
これからヴァイオリンのCDを聴くときには、どなたがどんな
ヴァイオリンで演奏されたものかに注目して聴きたいと思いました。 -
ストラディバリの生い立ちやバイオリンの名器がどのように作られるかといった記述は面白いが、他のバイオリンとどう違うのかとか、その見た目の「美しさ」についてはピンと来ないところがある。
-
カラーページのヴァイオリン、ヴィオラ写真が素晴らしい。
中身も丹念な取材とストラディヴァリウスへの愛にあふれてて、読み応えあり。ストラディヴァリウス所持者の紹介リストなんてのも巻末にあって興味深かった。 -
著者は世界で最もストラドに出会っている人。
自身もバイオリン製作者であり、
ストラディバリウスに魅せられた著者と、たくさんの楽器との出会い、歴史、などが紹介されている。
-
ストラディバリウスなど楽器の写真をずっと撮影してきている写真家が著者。クレモナは湿度の高い日があるとか、楽器の材料になるような森はないとか、面白い話がたくさん。カラーページの代表的な楽器は垂涎の的。写真を撮る時に、事前の準備に十分時間をかけることが書かれていて、興味深い。
横山進一の作品
本棚登録 :
感想 :
