戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 94)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048675741

作品紹介・あらすじ

同じ商品カテゴリーなのに、なぜ「売れるもの」と「売れないもの」が生まれるのか?-それは「商品力」や「宣伝力」の問題ではありません。その商品が売れるための「空気」ができているかどうか、なのです。商品を売るためにつくり出したい空気=「カジュアル世論」をつくり、売り上げにつなげる「戦略PR」の手法を解説します。

感想・レビュー・書評

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  • なんか今○○が流行ってるらしい ― もしかするとそれ、PR会社の仕業かも?商品が売れるための空気を作り出し、世論を巻き起こすことで売る土台を醸成する。それがPRの役割だ。
    .
    世の中の関心事を見つけて、潜在的な欲望を洗い出し、世の中が気になるテーマを設定。マスコミが採り上げたくなるニュースを提供したらターゲットに刺さる媒体を選定し、売れるシナリオを設計した上で広告で商品と接着させる。そして、消費者にこう言わせるのだ。「そうよ、わたしこれが欲しかったの!」と。
    .
    バラエティ番組で見た「ピロリ菌をやっつけるには、このヨーグルト食べなきゃ!」も、「健康オタクの友だちも会社の同僚も勧めてたな!」も、「美容家のあの人もいいって言ってる!え?○○大学の先生も言ってるの?」もすべては戦略PRの策略。広告クリエイティブの人間は「これ作りたい」が先にあるけど、この空気づくりからやらなければとっくに、商品は売れない世の中になっている。
    .
    もう、戦略のない広告なんて機能しない。選ばれるために変化に柔軟に挑まなければ、生き残れない時代がやってきた。

  • 佐藤尚之氏の「明日の広告」を読んでからこの本を読むのがベストかな。かなり関連性があり、広告業界以外の人でも十分に理解できる。

  • 自分の会社は広告枠を買うキャンペーン、宣伝しかできていないと痛感。「カジュアル世論」作りは前戯のようなもの、という表現にちょっと納得。私の企画ではどうすればユーザは受け入れてくれるのか?調査で「されたらうれしいか?」という項目を入れるのはアリかも。

  • PR、広報という仕事について理解を深めるためには良い本。
    日頃周りに何をやっているのかわからないと思われがちな仕事ですが、関わった身からすると、こういうことやっているよな、と。わかりやすくコンシューマー系の話題が中心ですが、まぁそれが主戦場なのでしょうがないですね。
    いずれにしても広報と広告の垣根がこれだけあやふやなものになっている以上、PRって言葉はなんか違うような気がしなくもないんですが。

  • 戦略PRをどう使うか?

    →商品が売れるかどうかは空気ができているかどうか
    空気をつくるパワーはカジュアル世論、消費者に気づきを与えて買う理由を生み出す
    おおやく、ばったり、おすみつき
    テーマ設定、チャネル設計が重要

  • Public Relations
    すぐに自慢せず、ラブレターを出さずまず空気を作る。
    事実を発見しその情報を公開する。
    なんとなく良いらしい、あのひとも言ってるし。
    みんなの興味あること
    から引っ張ってくる。

  • おおやけ
    ばったり
    おすみつき

  • なるほど人間の情報処理が変わらないのに情報は増え続けるから人から人へのソーシャルメディアが重要となるわけだね。

    ソーシャルメディアでは確かに共感がいいね!というバイラルを発生させるし、自分ゴトの重要さも再認識

  • この本は、同じアスキー新書から出ている『明日の広告』(佐藤尚
    之著)の「続編」的位置づけ、と著者自ら述べており、巻末には、
    佐藤氏との対談も載っています。『明日の広告』は急速に変化して
    いる消費者とどうコミュニケーションするかということを現役広告
    マンが考察したとても良い内容の本でしたから、その「続編」と言
    われれば、否が応でも期待が高まります。

    ※参考 『明日の広告』 佐藤尚之著 アスキー新書
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756150942/mocochichi-22/ref=nosim/



    ですが、読んでみて、正直、がっかりしました。確かに著者の体験
    を交えた実例には「なるほど」と思わせるものがありますが、内容
    は薄っぺらいですし、著者の語り口調にもむかむかさせられます。

    では、何故、そんな本を「今週の一冊」として推薦するのか。

    それは、こういう世界があるということをやはり知っておいて頂き
    たいからです。

    日本ではまだまだ広告が強いですが、アメリカではPRのほうが広告
    よりも上位にある概念だと言われるくらい、PRは重要視されていま
    す。オバマ大統領の「Change」というキャッチフレーズ も、世論
    分析の結果から、PRプランナーが戦略的に導き出した成果だと本書
    にありますが、大統領選だけではありません。今や戦争に対する世
    論形成までもが、PRプランナー達の腕の見せ所になっているのです。

    「空気をつくる。世論で売る」と副題にある通り、著者は、今の社
    会でモノを売るためには、モノが欲しがられる「空気をつくる」こ
    とが重要だと説きます。PRプランナーとはこの空気をつくって商品
    を売る人々のことを言うのです。

    空気をつくるノウハウを持った人々が、企業や政治家に雇われて、
    その人達に有利になるような空気をつくる時代なのです。これ、怖
    いことですね。空気ですから、気づかない。自分で判断していると
    思ったことが、実は空気に判断させられている。空気に支配されて
    いるのです。

    本田氏は、「PRはヤラセや世論操作ではない」「世論はコントロー
    ルできない」と言いますが、KY(空気を読めない)などという言葉
    が流行するくらい空気に支配されやすい日本人には、空気をつくる
    ことは、その行動を支配することと同じくらい威力があるのだと思
    います。

    どうもこの著者は知らないようなのですが、「空気」については、
    既に30年以上前に山本七平氏が『空気の研究』という名著で、日本
    人がいかに空気に支配されやすい人々であるかを喝破しています。

    ※参考 『空気の研究』 山本七平著 文春文庫
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167306034/mocochichi-22/ref=nosim/



    空気の支配をいかに逃れるべきかと山本氏が問うた30年後の日本で
    はKYが流行語になり、「空気をつくろう」という本が売れる。この
    事実は戦慄的ですらあります。

    戦略PRは、広告よりもずっと安上がりで、効果的な手法ですから、
    実務家としては、知っておくべきです。一方、そういう時代を生き
    る一生活者としては、戦略PRに対するリテラシーを高め、山本氏が
    説いように、支配的な空気に対して「水を差す」勇気と力を持てる
    ようにならなければいけません。

    マーケティング的な興味から読まれる方は、『明日の広告』『戦略
    PR』の順で読まれるとよいでしょう。生活者としての興味から読ま
    れる方は、『戦略PR』と『空気の研究』をセットで読むことをおす
    すめします。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    (「空気」とは)その場にいる人々の多くが、暗黙のうちに共有し
    ている情報や意識の集合体。本物の空気と同様で、普段は誰も意識
    することなどしないし、目で見たり手で掴んだりすることもできな
    い。しかし、その匂いや熱さ、風向きは、意識を鋭敏にすれば誰も
    が感じることができる。そんな存在だ。

    空気はそもそも大勢の人に共有されているものだ。しかも、大勢の
    人に共有されているということ自体が「安心感」や「信頼感」に自
    然につながっていく

    本書では、この「商品が売れるためにつくり出したい空気」のこと
    を、「カジュアル世論」と定義している。

    消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出す。これがカ
    ジュアル世論の担当領域だ。

    カジュアル世論をつくる3つの要素
     1「おおやけ」・・・・公共性→マスコミの活用
     2「ばったり」・・・・偶然性→クチコミの活用
     3「おすみつき」・・・信頼性→インフルエンサーの活用

    要は、「自分の良さを宣伝する」だけでなく、「周囲との関係をい
    い感じにする」ことで、企業や組織がその目的を達成していく。PR
    はそんな考え方なのだ。

    そもそもPRの役割というのは、政治の分野で「世論」を生み出すよ
    うなダイナミックなものだということだ。

    戦略PRとは、メディア、ひいては消費者の関心を最大化できるテー
    マを設定し、そのテーマを広げることで商品の売上に貢献するとい
    う「シナリオ」を描き、そのシナリオを具現化させるための綿密な
    チャネル設計を行い、設計にもとづき情報の伝播を仕掛ける、とい
    う一連の流れだといえる。

    戦略PRによるカジュアル世論の役割を、「消費者に『気づき』を与
    えて、『買う理由』を生み出す」ことだと定義した。ならば、「買
    う理由ができた状態」で消費者に何を伝えれば売れるか?を考える
    のが広告の役割といえるかもしれない。

    良い商品や良い情報だという自信があるならば、もっと伝える工夫
    をしよう。世の中すべてがキャンバスだという意識を持てば、「伝
    えるためのデザイン」の可能性は広がるはずだ。

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    ●編集後記

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    東京は月曜日から雨がしとしとと降り続いています。快晴が続いた
    週末は土曜日が妻、日曜日が私の順で子守りを担当しました。

    朝、「どこに行く?」と娘に訊いたら「こうえん!」と言います。
    本当は美術館に行きたかったのですが、娘に嫌と言われてしまった
    ので、しょうがありません。快晴で花粉が舞う中、バスに乗って浜
    田山近辺の善福寺川緑地に行ってきました。

    ここは気持ちの良い公園です。付近には竪穴式住居跡もあるという
    ことですから、縄文時代から人が住んでいたところなのでしょう。
    縄文人には土地の気のようなものを感じる力があったと言われます。
    例外なく良い場所を住居に定めているからです。善福寺川緑地も、
    やはり気が開けるような、とても気分の良い場所です。

    娘とは最初は遊具を使って遊んでいたのですが、砂場を見つけてか
    らはお砂遊びをしました。考えてみれば、娘と本格的なお砂遊びを
    するのは、私にとっては初めてのことでした。

    それで娘がどんな行動に出るのか興味深く観察していたのですが、
    最初に両手を砂に突っ込んだ時の娘の表情の変化はとても印象的で
    した。何というか、惚けたような、とても恍惚とした表情になった
    のです。ああいうのを原初の喜びというのでしょう。手の平だけで
    なく、砂を全身で味わっている。砂の感触に全身の細胞が喜んでい
    る。そういう感じでした。初めて陸地に上がった生物が、自らの手
    で砂を掴んだ時はこんな表情を浮かべたのではないかと思うような、
    そんな原始的な喜びの表情を浮かべていたのです。

    私も一緒になって砂遊びをしましたが、手に触れてくる砂の感触は
    独特のものがありますね。非常に五感が刺激される感触です。官能
    的ですらあります。ちょっと忘れていた感覚でした。

    そのうち娘は裸足になると言い出し、裸足で砂と戯れ出しました。
    それを見ていた近くのお嬢さんが「私も裸足になりたい!」と言う
    のですが、お母さんに、「駄目!」と言って認めてもらえませんで
    した。子どもは手や足で感じる砂の感触の素敵さをわかっているの
    に、汚れると面倒だと考える親の都合で、させてもらえない。こう
    やって自らの五感を使って大地を味わう機会はどんどん失われてい
    くのだろうな、と寂しい気持ちになってしまいました。

  • 戦略PRを、「消費者を買いたい気分にさせる空気を作りだすこと」と定義。PRの重要性を再認識できました。

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著者プロフィール

本田事務所代表/PRストラテジスト「世界でもっとも影響力のあるPR プロフェッショナル 300 人」に 『PRWEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレントを設立し代表に就任。09年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に「戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、「ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力」(東洋経済新報社)など多数。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

「2022年 『パーセプション 市場をつくる新発想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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