シアター! (メディアワークス文庫)

著者 :
制作 : 大矢 正和 
  • アスキー・メディアワークス
3.94
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本棚登録 : 13314
レビュー : 1552
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048682213

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃、いじめられっ子で家にこもりがちだった巧は、
    兄の司とヒーロー戦隊のキャラクターである赤と青色の人形で
    ストーリーを考えながら遊ぶのが唯一の楽しみだった。

    現在は工務店で営業の仕事をしている司は
    巧が学生時代に立ち上げ、主宰している劇団「シアターフラッグ」が
    赤字で立ち行かなくなっているのを知って
    お金を貸す代わりに「2年で返済できなかったら、劇団をたため!」と条件を出す。

    優しい性格で人と争うことを好まず、劇団員全員に役を与えることを優先し、
    作品の質を上げるために配役を精査し脚本をより厳しい姿勢絞り込むことに
    今までは手を付けずに来た巧だった。
    声優としてキャリアを積み、「シアターフラッグ」に新たに参加することになった
    千歳の出現で、巧にも作品の成功を目指す欲が出てきて・・・。


    子どもの頃にいじめられた経験から傷つくことを恐れつつも、
    なぜか甘え上手で、人の心をつかんで離さない巧。
    人たらしなんだよね。
    お勉強も、スポーツも子供のころから何でもできて、その上信頼される司。
    一見隙がなさそうなのに、思わぬところに人間らしさが垣間見え、これまた大変魅力的な人。
    姉御肌でしっかり者、看板女優の牧子さんは、巧のことが気になる様子だけれど、
    どうやら巧は他の人が気になる様子で、何角関係なんだろう・・・?


    ああ、これは作る者だけが分かる言語だ
     <中略>
    同じ場所にいて同じ言葉を聞いても絶対に届かない。
    そんな領域を『彼ら』は持っている。(P209)


    どこまでも深い愛情と信頼でつながる兄弟。
    弟の辛さも喜びも包み込むように認めてきた兄にも、入り込めない世界。

    スポーツでも仕事でも何かに打ち込み、同じように高みを目指さしていても、
    その先へ行ける人とそうでない人がいる。
    行けた人の中には魂の言葉というのか、寄り添い理解しあえる言葉があるのだと思う。
    どこまでも研ぎ澄まされる才能を認めあえる人に出会えるってうらやましい。

    そういう人たちが発する言葉や雰囲気を楽しみつつ、
    心が縮こまらず自分らしくのびのびと居られる人間関係もそこにある。
    有川さんの描く気持ちのよい世界を十分堪能できる1冊です。

  • 読む前から分かっていました。絶対面白いって。読者がこの感覚を持てる作家さんはそうはいないです。でも自信がありました。

    いじめられっ子の弟。なかなか周りになじめない弟を何かにつけ庇う兄。父親はお金にもならない劇団に没頭し、家庭を顧みず母親と離婚している。弟は人との付き合いは苦手だが、不思議なことに古い戦隊モノの人形で次々に想定の設定を変えながら、新しい話で遊ぶ。変わった子だなと思っていた兄。そんな弟が育って、小劇団を主宰する。まったく儲けにならず、劇団が解体寸前で弟は兄にまた泣きつく。一般の会社でバリバリの営業として働く兄は、いろいろダメだししながらも、弟のことになるとなんだかんだ面倒を見てきたが、今度ばかりは強い態度ででる。お金は貸すが、2年以内の同じ利益を出して返させないなら劇団をつぶすという約束。果たしてこの劇団の運命はいやかに、、、

    一つの事に夢をもち、それに同調した若い人たちの集団。夢って青臭いけど、やっぱり眩しい。そしてそれに向かって努力している人たちは素敵だと思ってしまう。だけど、兄の言う事は、サラリーマンなら至極もっともで、学生からそのまま劇団というのも、一般的経済感覚(お金の収支に関する常識)が欠ければ当然団体の継続は不可能。兄の力はなくてはならないものとなっていく。あぁ、でも男同士の兄弟ってのもいいもんだなぁって思いましたね。私は姉弟だったので、こんな頭ひっぱたくようなノリはかえって羨ましいです。兄の罵倒するときの口癖、「お前、吊るすぞ!」。これ何気に大好きです!吊るすって何?と思いながら、なんか愛情感じていいなぁって思ってしまう。俺は兄ちゃんが欲しかったのか、はたまた弟が欲しかったのか、、自分の性格考えると、弟が欲しかったんだろうなぁ。「お前、吊るすぞ!」といいながら、裏でしっかり支える兄。素敵だ!

    「シアター! 」では始めから続編を書く気だったのか、二年後までは書かれておらず、最初の大きな講演までの悲喜こもごもの様子が非常に丁寧に描かれています。「シアターー!2」も必読ですね!

    しかし、有川さん、こんな素敵な本、たった3か月で取材して書けちゃうんですか!なんてすごい作家さんなんだろうと感心しきりです。全部制覇したい作家さん2人目決定です!

  • おもしろい!『シアター!2』読みたい!

     小劇団「シアターフラッグ」に突然襲った300万の借金。
     悩んだ主宰の巧は兄の司に泣きつく。
     司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益のみで
     この300万を返せ。できない場合はこの劇団を潰せ」
     と厳しい条件を突きつけた。

    巧と司の兄弟愛はおいておき、
    劇団員のおおっぴらな片思い、密やかな片思いも絡ませながら、それぞれにやりきりつくして300万を目指す若さ、熱さ、悩み、真剣さをビンビン伝わって来ました。
    恋の行方も気になるし、結末も気になる。
    うーん、有川浩さんの物語に完全にハマってしまってる(^^;

    好きでやっているから、劇団は貧乏が当たり前だから、なんて逃げなんでしょうね。
    好きだからこそずっと続けられるように利益も出す。
    好きでいてくれる観客のためにも続けられるように利益を出す。

    私達の仕事もそうだよなぁ〜。
    うん、がんばろ。
    なんか元気をもらった。
    よし、もっと元気をもらうために『シアター!2』読もう!

  • この方の本は本当に面白い!

    どうしてこんなに素敵な男子が描けるのか…。
    どうしてこんなに素敵なセリフが描けるのか…。

    司の言う『吊るすぞ』が、ど真ん中にズキュンです(笑)

    有川さんの作品を読んでいるといつも湧き上がる感情が、
    『何か泣きたくなる』です。

    懐かしくて泣きたくなる。
    切なくて泣きたくなる。
    羨ましくて泣きたくなる。
    微笑ましくて泣きたくなる。

    今回は羨ましくて泣きたくなる。

    人生を懸けてのめり込める何かって自分にはない。
    良くも悪くも普通。
    普通が一番幸せだ、っていうのも分かるし、実際自分でもそう思う。

    でも、こういう人達がいるんだな~って思うとすごく羨ましくて悔しくなる。
    今の自分は随分面白味のない人間になっちゃったな~って。

    無茶なんてしないし、がむしゃらに何かを頑張ることもない。
    熱中することがないなぁ。

    学生の頃に部活に臨んでいた時の気持ちは今ではもう持てない。
    何かを新しく学んでも、興味のあることをやってみても、
    あの時のあの感じ、にはならない。

    そんなことを思いながら読んでいたので、
    羨ましくて泣きたくなった。


    さて、シアター!2を読んで、今度はどの感情にブチ当たるのか楽しもう!
    まだ発売未定みたいですが、シアター!3も出るんですね!楽しみ!!

    • まろんさん
      ゴロウさん、おひさしぶりです♪
      しばらくレビューが読めなくてさみしかったので、また書いていただけて
      しかもそれが私の大好きな「シアター!」で...
      ゴロウさん、おひさしぶりです♪
      しばらくレビューが読めなくてさみしかったので、また書いていただけて
      しかもそれが私の大好きな「シアター!」で
      とてつもなくうれしかったです♪

      「羨ましくて泣きたくなる」、すごくよくわかります。
      シアターフラッグのみんなのこの熱さ、今の私には眩しくて、そしてやっぱり切ないです。

      2は、メンバーの個性がさらに際立って、「おお!」と思う展開がいっぱいありますよ!

      そして、私も司Love♪です(笑)
      2012/06/16
    • ゴロウさん
      まろんさん、ご無沙汰しておりました!

      実はすっかり登山にハマってしまい遊びに行く週末ばかりを過ごしていたせいか、
      毎日が充実感でいっぱいに...
      まろんさん、ご無沙汰しておりました!

      実はすっかり登山にハマってしまい遊びに行く週末ばかりを過ごしていたせいか、
      毎日が充実感でいっぱいになってしまい、読書が疎かになってしまいました。

      そんなこんなで昨日、ちょっと体調を崩しまして
      (単なる風邪で今はもう回復してます!)

      でも、寝てるだけじゃあつまらん!!

      ということで再び本を手にしたところ、やっぱりハマってしまうのですね~。

      今は2を読み進めております(*´∀`*)


      今回は図書館戦争以来(私の中で、ですが)、
      堂上と郁のようなテンポのいい会話の掛け合いを楽しめる作りだな、と思いながら、
      司とシアターフラッグのみんなとの会話の掛け合いに、ぶはっと笑う時間を過ごしています。

      まだまだ序盤なので、これからの「おお!」という展開が楽しみです!

      司LOVE同士、これからもよろしくお願いします!(笑)
      2012/06/16
    • まろんさん
      おお!登山とは、アクティブですね!
      シアターフラッグのみんなに負けないくらい、キラキラな毎日じゃないですか♪
      朝のウォーキングすら挫折した私...
      おお!登山とは、アクティブですね!
      シアターフラッグのみんなに負けないくらい、キラキラな毎日じゃないですか♪
      朝のウォーキングすら挫折した私。。。見習わなくちゃ(>_<)

      もう2を読み始めてくださってるとのこと、
      また素敵なレビューが読める日も近いと思うと楽しみです。
      私としては、茅原に纏わるエピソードがツボで、大笑いしました!

      風邪が回復したようでなによりですが、
      笑いすぎのせいで、また発熱したりしませんように!
      2012/06/16
  • え〜と、何だ。その…。

    結局私はこういうのが大好きなんだと思い知らされた。
    軽いの上等。分かりやすいの上等。
    悪いか、ちきしょー。

    演劇観賞を趣味としているのでその点でも楽しめた。
    エンタメに徹した作風が揶揄されるのは絶対に間違ってる、うん。

  • 鉄血宰相の優しさと弟を信じる気持ちが素敵。 時折登場するお母さんの不思議な存在感も素敵。 また、作る側、見る側の違いも納得。 ゆっくり味わいながら読もうと思いながら、どんどん引き込まれて、 暇を見つけてはどんどん読んであっという間に読み切った感じ。2年という期限の後半、そして、2年後の二人を見てみたい気がした。

  • 『キケン』を読んだ後に本書を読む。すると、大学生の延長に位置するフワフワした巧と、社会人として成長している司という好対照をもの凄く感じ、読み応えが増した感じがした。巧の生い立ちを冒頭で紹介することで、彼の才能の開花を喜ぶ側に読者を惹き付ける著者の筆運びは、定石どおりとは言え共感してしまう。司の、弟と劇団に対しては不器用な様子も微笑ましい。劇団を解散させるための理由「全力でやって折れることだよ」と、月刊エンタメ取材で傷心の千歳に対する劇団員それぞれのコメントがグッときた。

  • 守銭奴けっこう!金は正義だ! さすが有川浩さん。キャラ立ち最高です。内容も分かりやすくスラスラ読めますよ!3巻目もはやく出て欲しいものです。

  • あー、一気に読了しちまったーw
    芝居の現場の熱気を思い出しちまったー。
    うん。あるよね。打ち上げで主宰(脚本、演出兼任)と酒を飲みながらドンパチやらかしてた。
    劇団の運用ってどのようにあるべきなのかを。
    小憎らしい正論ばかり振り上げる小憎らしい若造だったんだろーなーって、今になって思う。
    それをね、司さんっていう鉄血宰相を主軸に据える事によってあぶり出した。あぶり出しただけにとどまらず、それぞれのキャラクターの心象も丁寧に拾い上げてて、そりゃもー脱帽の一言ですよ。
    敢えて言うなら司さんの心象語りは、上演当日の巧くんの心象でもあるのだけども、司さんが主軸になってる以上は、巧くんの心象には触れられないよね。
    脚本、演出して役者としてステージに立たなかった事のある人にとっては、それはなんとなく分かる。
    そんな感想を抱いたのだけども、こりゃやっぱり蛇足か(苦笑

  • さくさく読めて楽しい。
    会話に散りばめられている気の利いた思いのやり取りが良かったです。
    ところどころ声を出して笑ってしまうところもるので面白いです。

著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

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