カスタム・チャイルド ―罪と罰― (メディアワークス文庫)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.86
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  • (9)
  • (1)
本棚登録 : 679
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048682237

感想・レビュー・書評

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  • もう、なんか電車で涙が出そうになったほどに、痛々しかった。

    そして最後に救いがないです。

    あぁ、ほんとにこんなに痛々しい青春ものは初めて読みました。

    心に響く言葉が沢山あって、それは人間の歪んだ部分であったり、いつも目を逸らしている自分であったりが頭によぎるから。

    それは物語の中の、春野がどうだからというわけではなくて自分とどこか重ねて見てしまうから本気で電車で泣きそうになりました。

    遺伝子工学が進んでいる現代で、カスタムチャイルドのような世界が出来上がる可能性はゼロじゃない。

    そんな妙なリアリティが読者を物語の中に引き込みます。

    最初は、トランスジェニックを肯定するこの世界を否定する物語なのかな?と思っていたけれど、話はどんどん歪んで行きました。

    子どもが「返品」される世の中、そんな社会は絶対に嫌だし。

    自然に出来る子どもをジーンプアなんて蔑む社会も嫌だ。

    最初はこのトランスジェニック否定のもと読んでいたのに。

    どんどん春野の歪み、冬上の歪みの物語に変わって行きます。

    ジーンプアの清田の真っすぐな思いに春野は自分の歪みを自覚して、最後はせっかく真っすぐに進める気持ちになったのに。

    そこでまさかの冬上登場!!?

    おいおいおい、春野が好きな気持ちはわかるけどさぁ。

    ベクトルはそっちに向いてしまうのね。

    清田を守るため、とかそういうのん、やりきれないよ。

    と、まぁ、決して明るい話ではありませんが。

    引き込まれてしまった本です。

  • たった今読み終わって、いろんな方の意見を見て回りました。
    これは、救われる人と救われない人のいるお話なんだなぁ、と思って、ちょこっと余韻に浸ってました。
    春野くんは結局、レイちゃんの足枷をつけて生きていくのかな?もしそうなら、それは救われている、のかなぁ?と考え込みました。
    レイちゃんと春野くんは、最終的には暗闇から抜け出せないままで、清田くんは光に居続ける。
    うーん、最後はやっぱりこう落ち着いちゃうのかぁ。
    あと、結局レイちゃんは悪役終わりなの?

    春野くんの幼少時代と、これからるうたろう?がどうなっていくのかがちょっと気になります。
    前作のカスタム・チャイルドにも興味があります。
    二作目から入ることになるけど、いいのかなぁ…?

  • 読了 2/10

    病んでるな~というのが読了後に思った感想。
    読了後の後味が何だか不思議な感覚で、
    ハッピーエンドでもバッドエンドでもない感じ。
    読み易い文体のお陰で、
    遺伝子絡みの難しそうな世界観にも難なく惹き込まれて、
    楽しめました。
    電撃版も結構前に読んだけどそこそこ面白かった気がした。
    一番病んでいるのは誰なのかは
    読み終わったときまでわからないので。
    ついつい読むスピードは増して行きます。

    親好みに人工的に作られた子供と、自然に親から生まれた子供、
    親に棄てられた子供と、親の容赦ない愛情を受ける子供、
    彼らの言葉のやりとりが痛くて切なくなる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「遺伝子絡みの難しそうな世界観」
      面白そう~これはSFですね。。。
      「遺伝子絡みの難しそうな世界観」
      面白そう~これはSFですね。。。
      2012/12/20
  • 待ちに待ったカスチャ二作目。壁井さんの世界観の中ではカスチャが一番好きです。ダーヴィンズ・ヒルって聞くだけでわくわくしてくる。でも想像してたより前作の影はなかったかなあ、お好み焼き屋のバイト君やらヤンロンズ・デリやらには大変にやにやさせていただきましたけど。
    あと、前作よりスラムの異質さが強調されてたような。まあそもそも前作はスラムの話でもあったからたくさんスラム内部の様子を描いてたんだろうけど、今回の主人公達は普通に学校に通っている学生だものね。前作の主人公たちとは住んでる世界がずれてる感じでした。


    最後まではっきりしたヒロインがいないってのは彼女の小説では珍しいのかな。レイはおそらく全体を通してのヒロインではないのだろうし。
    展開も話の内容もすごく好み。清田の「うちの汚点」発言に胸が苦しくなったというかすごく共感したというか、うん、親が変だと大変だよなあ。
    壁井さんが作るキャラクターっていうのは本当に皆魅力的で、ずるずると物語に引きずり込まれていってしまう。久しぶりに彼女のSFが読めて幸せでした。シリーズ化してくれないかなあ。

    クライマックスがやや駆け足だった気がするので星四つ。でも、すごく好きな小説です。
    あと、壁井さんって春って漢字好きだよね、きっと。

  • 近年では、あなた好みのカスタムで子どもを生み出せる。肌も髪も瞳も、造作だけでなくて性質も才能も、全部。気に入らなければ返品も可能。そんな日本の高校生男女3人が、歪んでたり歪ませたり歪まないようにしたりするSFちっくな青春ファンタジー。
    途中でBUMP OF CHICKENのアルエを思い出した。みんなの心に彼女はいるのだな、という気持ち。この世界に果たして未来はあるのだろうか。
    前作の無印もかつて読んだ記憶があるので、再読したい。

  • ああやっぱこの人の書く話好きだ!としみじみしました。中二病感溢れる設定とこれぞラノベって感じの文体で、仄暗く不気味なストーリーで、なのに青春小説…このアンバランス感がたまりません。面白すぎるがゆえに読むのを中断出来なかったのは久しぶり。登場人物の半数以上が言っちゃえば頭イカレてるので、ヒェ〜どいつもこいつもおっかね〜〜!くらいのハイテンションで一気に読み切ると話の疾走感もあいまって良い感じです。あと知佳さんがすごく素敵。

  • えっ最後なに、罪と罰?
    イヤミスと言われる作品よりもよっぽどかイヤミスでした。


    エロ本隠す以外に後ろめたい事をするな
    は名言だと思います。

  • 遺伝子操作によって、親の思い通りの子どもを作れるようになった日本。
    けれども、そんな才能を持って生まれてきても、環境が伴わなければ、思った通りには育たない。
    遺伝子操作を受けずに生まれてきた才能のない清田と、恵まれた可能性をもって生まれてきた春野、容姿のみを求められて生まれてきた冬上。3人は互いの魅力に惹かれ、行動を共にするようになる。

    そんなお話でした。

    久しぶりに壁井ユカコさんの小説を読みました。
    昔はこの人の作品ばかり読んでいたのに。
    本当に、この人は、ダメな魅力をもつ男の人を書くのが上手い(笑)。清田や、冬上ばかりではなくて、読者である私も惹かれていくのです。これまで読んだ中でも、一番暗黒の魅力にあふれていたかも。
    けれども、今回は、清田もすごくいいキャラでした。
    ふたりの魅力に引っ張られて、途中からはもう止められなくなって最後までぐんぐん読んでしまいました。

    ただ、序盤、なんとなくいやな感じがして、50ページくらい読んで本棚に4年くらい眠っていたので、序盤のなんとなく、面白くないというか、んー、よみたくないなぁってところがあったので、★★★★☆です。

  • 自分好みに作る事ができる子供達。
    そんな子供と、違う子供、3人の話。

    好きなように外見を作れるのだから内面も…と
    文句をいう人達は、確実にこうなるでしょう。
    けれど健康面を考えると、非常にあると便利。
    しかしながら…遺伝子を好きなように組み換えるのは
    当然1択しかない状態になるわけで。
    そう考えると、非常に恐ろしいシステムです。
    アニメに似せてできた女の子。
    名前やら恰好やらを考えるに、確実に『あれ』かと。

    最後の方、何が救いで、何がいけないのか。
    さっぱり分からなくなってきています。

  • 『カスタム・チャイルド』(電撃文庫)と同じ世界の、もう一つの物語です。

    ダーウィンズ・ヒルで電話サポートの仕事をしている春野知佳(はるの・ちか)のもとに、吉一(よしかず)あきこという悪質なクレーマーから子どもが「返品」されてきました。子どもの名前は倫太郎(りんたろう)。彼は、カタログの中から気に入った遺伝子を組み合わせて作られた「カタログ・トランスジェニック」です。知佳は倫太郎を、自分の家に引き取り、育てることを決意します。

    やがて成長した春野倫太郎は、予備校で清田寿人(きよた・ひさひと)に出会います。彼は、遺伝子操作の技術に頼らずに生まれた、「ジーンプア」です。優秀な遺伝子を持って生まれてきたカタログ・トランスジェニックに対して劣等感を抱く清田と、親の理想からかけ離れていたために捨てられた苦しみを隠しながら飄々とした態度をとる春野、そして、父親のお気に入りのアニメ・キャラクターそっくりに作られた冬上(ふゆがみ)レイの3人を中心にして、物語は進んでいきます。

    物語の終盤、春野の弟だった吉一るうたろうが登場し、春野は自分を捨てた親と再会することを決意します。ですが、当然ながら吉一の家には春野の居場所はありませんでした。春野は、吉一家に対する復讐を敢行しますが、るうたろうもまた、ヒステリックな母親のもとで春野の知らない苦しみを味わっていたことを知らされます。

    春野と清田の、どこか少女マンガを思わせる男どうしの友情が魅力的に描かれています。

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