物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座 (角川新書)

  • アスキー・メディアワークス (2010年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784048687423

みんなの感想まとめ

物語を創作するための具体的な方法論を提示し、実践を通じて学ぶことができる一冊です。著者は、物語を構成する6つのテーマを明確に示し、それを基にストーリーを作ることを推奨しています。才能に頼るのではなく、...

感想・レビュー・書評

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  • 才能に頼るのではなく、方法論で創作するのだ!大塚英志による物語創作のための理論書第三弾!

  • 物語の「テーマ」となる要素がわかりやすく凝縮。
    物語を紡ぐ人だけでなく、楽しむ人にとっても面白い。

  • 物語の命題と聞くと分かりやすいようで難しいのですが、
    ワークショップごとにまとまっています。
    でも、私にはちょと難しいかなと思いました

  • ここで言う「命題」は、「テーマ」とほぼ同義です。「テーマ」は、
    物語の核心であり、「何を書くか」の「何を」に当る部分です。そ
    れはまさに「作者の固有性やオリジナリティを保証するための担保
    のようなもの」ですから、教えようのないものですし、大塚氏自身
    も学生達にはそう言ってきたと言います。

    しかし、学生達を教える中で、「何を書くか」を教えない限り、物
    語は面白くならないのではないかと感じ始めたのだそうです。そう
    いう目で古今東西の物語を眺めてみると、実は、テーマは常にどこ
    かにあらかじめあったものの変奏に過ぎず、それはいくつかの類型
    に整理できるように見える。つまり、文体などと同様に、テーマに
    もまた「型」があるのではないかと考えるに至ります。

    実際、本書でテーマを解読した手塚治虫、萩尾望都、石森章太郎、
    宮崎駿といった日本を代表する漫画家達の作品も、そのテーマの型
    を遡っていくと、やはり原型があることがわかります。大作家達で
    すら、既にあるテーマの型を借り、それを変奏しながら物語を紡ぐ
    「借りぐらしのアリエッティ」だったのです。

    ただし、最初は「借りぐらし」かもしれないけれど、どの漫画家も、
    いつしか同じテーマを堂々巡りするようになるのだそうです。そし
    て、堂々巡りをする中で、次第にそのテーマが自分にとって確かな
    ものになっていく。人が「書くべきもの」を見出していく過程とい
    うのは、どうもそんな道筋を辿るようです。

    たぶん人生も一緒ですよね。きっと誰にでも自らの人生の命題があ
    って、「借りぐらし」を続ける中で、いつかそれを見出す時がやっ
    てくる。そして、以後は、その命題=テーマの周りを堂々巡りしな
    がら、それを次第に確かなものにしていく、というのが「自分」と
    いう人生の物語を紡ぐ道程なのでしょう。

    「ポニョが好きな男は絶対マザコン」等の鋭い批評満載で、楽しく
    読み進んでいたのですが、しまいには自分の物語は何か、人生の命
    題は何か、と深く考えさせられることとなった一冊でした。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    中国で社会主義革命が起きた直後に毛沢東らの生い立ちや活躍を中
    国の民話や故事の物語に似せることで思想を浸透させていく「工作
    隊」がいた、という論文を読んだ記憶があります。なるほど民話は
    思想統制に使えてしまうものだと驚いた記憶がありますが、政治的
    な主張を「テーマ」として大衆的な物語に組み直していくことは日
    本でも同様にあったことです。

    たいていの物語論は主人公が冒険の冒頭で何かを「欠落」や「喪失」
    した状態から始まると定義し、そして、「欠落」「喪失」を回収す
    ることを目的にストーリーラインが進行します。主人公が「未だ手
    に入れてない」、ないしは「失ったもの」を手に入れようとすれば、
    物語はたいていひどくあっさり成立してしまいます。

    「アトムの命題」
    人造人間は人造人間でありながら成長を望み、しかし、人造人間で
    あるが故に成長できないという問題により深刻に直面する

    梶原一騎原作の『巨人の星』は「アトムの命題」に基づいている

    一三歳、あるいは物語においては一四歳は大人と子供の境界線上の
    時間として常に意識されます。

    「大人になれない男子」の物語が日本の文学やサブカルチャーの特
    徴です。

    「トリックスター」とは侵入された側から見れば秩序の破壊者です
    が、最終的には彼のもたらした混乱は世界を更新します。だから
    「創造者」でもあるわけです。

    ハリウッド映画のストーリーは殆ど例外なく個人のアイデンティテ
    ィの確立なり回復です。

    物語には様々な分類が可能ですが、主人公の行動が世界を救済した
    り変化させる「救世主型」と世界の変化に関与しない「普通の人型」
    がある、と思います。

    アリエッティの行動は世界の危機を救済することでなく彼女たち自
    身が生き延びていくことで、そこには一切の救世主的行為はありま
    せん。アリエッティたちが生き延びようが滅びようが世界は変わり
    ません。しかしアリエッティは成長することをおそれないわけです。
    その主人公の行動と世界の切断のされ方がとても『借りぐらしのア
    リエッティ』では厳しいのです。それは世界に背を向ける、という
    ことではなく、世界に向かい合った時、たいていの人が感じる現実
    で、しかし、アリエッティはくじけず前向きです。

    ぼくがずっと見てきたのは自分のオリジナルの物語をつくりたいと
    願ってやまない未だ何者でもない若者たちです。彼ら彼女らの、自
    分の物語を書きあぐね、立ち尽くし、大袈裟でなく煩悶し、書き終
    えて破り捨て、そういうことの繰り返しを傍らで見ていると、彼ら
    彼女らのうちの幾人かは次第に同じ物語を繰り返し書くようになる
    ことに気がつきます。

    そして「同じ物語」の中で堂々巡りを始めると、たいてい彼ら彼女
    らは創り手として一皮剥けます。もちろん職業的作者になるにはま
    だ幾度も脱皮が必要ですが、ぼくにはそれが、その人が「書くべき
    もの」を見出してそして堂々巡りの果てにそれを確かなものにして
    いく過程のようにも思えます。
    ぼくが本書で「テーマ」そして「命題」と呼ぶのはそのようなもの
    です。手塚治虫も梶原一騎も萩尾望都も宮崎駿も新海誠もみな、そ
    れぞれが「同じ物語」を繰り返し繰り返し書き、そして少しずつ変
    化したり、そしてまた元に戻ってきたりしている点で、まだ何者で
    もない作者以前の人たちと少しも変わりません。いや、一点決定的
    な違いがあるとすれば、どこかで自分が「同じ物語」を堂々巡りし
    ていることを自覚し、覚悟を決めていることです。

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    ●[2]編集後記

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    妻が二人目を授かり、産婦人科でもらってきたというエコーの写真
    を見せてもらいました。まだ直径3cmくらいの影に過ぎないそれに
    新しい命が宿っているのかと思うと、何だか不思議な感じでした。

    新しい命が宿る過程というのはとても神秘的ですね。

    命はどんなふうにやってくるのかを知りたくて、娘に、どの親のも
    とに行くかは自分で選ぶのか、それとも誰かにあそこに行けと言わ
    れたのか、と聞いてみました。

    そしたら、「自分で選んできた」と言うのです。何で僕達夫婦を選
    んでくれたのかと聞いたら、「足下を見て選んだ。足下が光ってい
    たんだよ」との答え。それに「いい男の人といい女の人に思えたか
    ら」とも。

    どこまで本当のことかわかりません。それこそ絵本や物語から借り
    て創作した彼女の「始まりの物語」なのかもしれません。でも、足
    下の光を目指して、自ら選んでやってきたという物語をもって彼女
    は生きている。それは何だかとても凄いことのように思うのです。

  • テーマからストーリーを作る

    アトムの命題
    人造人間は人造人間でありながら成長を望み、しかし、人造人間であるがゆえに成長できないという問題により直面する

    エーリクの命題
    転校生は外の世界からやってきて内側の世界の問題をあらわにし、そして解決し、内側の世界を再生させ自らも成長する

    百鬼丸の命題
    捨てられた水辺に流れ着いた「不完全な子供」は、やがて出生の秘密を求めて旅立つ

    ジェニーの命題
    進行する速度の異なる時間を生きる者同士の恋愛は困難である


    ハリウッド脚本術 ニールDヒックス
    ①バックストーリー
    ②内的な欲求の提示
    ③キッカケとなる事件
    ④外的な目的の提示
    ⑤準備
    ⑥対立の構図の明示
    ⑦自分をハッキリさせること
    ⑧オブセッション(周囲のキャラクターへの共感の広がり)
    ⑨闘争
    ⑩解決
    ハリウッド映画のストーリーは殆ど例外無く個人のアイデンティティの確立なり回復

    フロルの命題
    男女いずれの性も選択できる主人公は、自分にとっても大切な人にとっても自分が自分であるために性を自己決定する

    アリエッティの命題
    成長を選択した主人公は「ライナスの毛布」や「空想の友達」に別れを告げなくてはいけない

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。国際日本文化研究センター名誉教授。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『木島日記』『多重人格探偵サイコ』『クウデタア<完全版>』(KADOKAWA)他多数、評論に『暮しのファシズム』(筑摩選書)、『「14歳」少女の構造――大塚英志まんが評論選集80’s-90’s』(ちくま文庫)、『感情化する社会』(太田出版)、『大政翼賛会のメディアミックス』(平凡社)『日本がバカだから戦争に負けた』(星海社新書)、他多数。

「2026年 『「学問」の本筋 柳田國男と双極の民俗学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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