バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫 い 1-4)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.43
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本棚登録 : 1031
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048688192

作品紹介・あらすじ

僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった。小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。大学の新歓コンパ。そこにバカが全裸でやってきた。そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。こんなこと、誰が想像できた?現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。

感想・レビュー・書評

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  • 大学の新歓コンパ、「僕」のいる居酒屋に、唐突に全裸の男がやって来た。泥酔した全裸の男を家に連れ帰ることになる「僕」。その男は同じ大学同じ学部の学生だった。
    その男との出会いで、小説家を目指す「僕」の人間関係や小説に対するモチベーションには変化が…果たして、「僕」が応募した作品は選考を通過できるのか。


    「小説家を目指す者」「小説とは何か」「小説を書き続けるとはどういうことか」を軸に、「裸」というキーワードを絡めて、色々な視点から描写される連作短編。

    …ファンタジーものじゃない、今時のライトノベルの主軸ってこんな形なのかー。的な印象。
    キャラクター間短編間のリンクの設定は面白いけれど軸になる「小説論」の部分が、どっか薄いように感じてのめりこめず。

  • ほんとにバカが裸でやってきてた

    一章はそこそこ面白いんだけど、その後が何故か読んでいて気乗りしない

    最後は最後で面白くなるけど、全体の評価としては「?」といった感じ

  •  コミック版との違いが気になったので購入。
     コミック版と同じく熱量が伝わる作品でした。小説版では小説家になろうとする「僕」と周り、そして投稿された小説に関わる人物たちを書いていました。どいつもこいつも出てくる登場人物全員が才能に振り回されながらもあくまで「小説」を中心に人生回していってる小説バカどもでした。

     コミック版のあとがきで入間先生が語っていた結末通り、小説らしい終わり方。あえて「僕」の結果を教えず、書ききったところで作品自体が彼から離れていく。なんとも歯がゆい展開だが、この小説の表題作である「バカが全裸でやってくる」からすれば別に結果なんて宙に浮いたって関係ないかと見終わったあと妙に納得してしまいました。

     「僕」の話が終わったあとは他の「小説バカ」たちの話。コミック版では語られなかった「バカ」の背景設定、小説バカの連なりではないが。その業界でしか生きられない人間にとって自分を裸にして隅々まで切り売りしなきゃ生きていけない、そんな他人の全裸をみてどう思うか、壊れる?自分も全裸になる?どんな結果になろうともバカであり続けることでしか「自分」は生かせられないんだ。みたいな印象を文章から受けました。

     こうして読んでみれば、井田ヒロト先生がコミカライズしてくれて大正解な作品だったと思う。見せ方は違えどこの作品の熱量をそのまま伝えていた。入間人間先生の作品はこれ以外読んだことがないければこの作品は甚く気に入ってます。別作品も手にとってみようかな。というかやっぱバ◯マンとは全然方向性違う作品じゃねぇか!

  • 永遠にループするぐるぐるなお話。こういうの嫌いじゃない

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      強烈なタイトルですねぇ~どんな話なのか興味が湧いてきました(バカ話マニアです)。。。
      強烈なタイトルですねぇ~どんな話なのか興味が湧いてきました(バカ話マニアです)。。。
      2012/05/22
  • よく考えると読んでなかった入間作品その1。

    構成としては面白い。
    2章以降から登場人物が入れ替わり立ち代りな上にそれぞれ
    伏線を張りまわるのも相変わらずの入間作品。
    分かりにくさも相変わらず。

    最終章の抄子の言葉がなかなかの響きであった。

  • ※興味グラフ表示させる為に入力してあります

  •  「どうも、バカでーす」(p.18)
     小説家になりたくて日々応募に原稿を出しては落選を繰り返す大学生の「僕」。大学の飲み会に参加していた時、そんなセリフを吐きながらバカが全裸でやってきた。抵抗むなしく「バカ」に絡まれた「僕」と「バカ」が小説家を目指す、日常的な、非日常のお話。
     初っ端から色んな意味で濃い話だがこの本自体は短編形式で、他にも死してなお愛用のパソコンを相棒に小説を書くある意味ゴーストライターな有名幽霊作家、夏休みに親戚の子供の読書感想文を手伝わされるうだつの上がらない青年、過去有名だったが今は冴えない小説作家の男性、己の才能の無さを嘆きつつ抗う小説家志望の男など様々な魅力的な人物たちが幾つもの物語を形成し、やがて一つの物語として纏まってゆく。
     そしてこの作品の魅力は何といっても作者、入間人間氏の独特の文章の書き方と、ちりばめられた伏線回収の鮮やかさである。作品を読む中で忘れていた設定や伏線が見えたとき、ついもう一度読み直してしまう、その素晴らしさがこの作品の最大の魅力だ。タイトルと初めの数ページ(特にこの文章の冒頭にも書いてあるセリフ)でコメディ路線やギャグ路線とタカを括っていると思わぬどんでん返しに驚かされること間違いなし。それでいて、この作品は常に「全裸」が付きまとうというとんでもない話である。
     「どうも、バカでーす」(p.18)。冒頭のだらだらとした飲み会の雰囲気と、「僕」の小説家を目指していることに関する後ろ向きな感想と、のんびりと読んでいた我々の退屈を吹き飛ばし、日常の終わりを告げる嵐のような言葉だ。そしてこの作品において最も重要な言葉であったことを、読み終えた時に知ることになる。実際、私はこの作品を読んで大いに笑い、驚き、読み直してバカバカしさの裏にあるこの作品の素晴らしさを知れた。
     日常に何か物足りなさを感じている人や、この作品のタイトルに衝撃を受けてこの文章を読んでくれた方は、是非この本を手に取ってみてほしい。

     全裸のバカとまではいかなくとも、何かが貴方の元へやってくるかもしれない。


    蔵書無し
    PN.黒羽

    • tokudaidokusho2さん
      タイトルの面白さも惹きつけられたが、このタイトルとは裏腹にギャグだけではないところに、さらに面白さを感じられ読みたいと思った。
      パラメータ...
      タイトルの面白さも惹きつけられたが、このタイトルとは裏腹にギャグだけではないところに、さらに面白さを感じられ読みたいと思った。
      パラメータネコ
      2020/11/22
    • tokudaidokusho2さん
      まず、タイトルの印象が強く、この本にはとても注意が引き付けられるなと思いました。タイトルだけ見れば、そのおかしさにどう考えてもギャグ路線なの...
      まず、タイトルの印象が強く、この本にはとても注意が引き付けられるなと思いました。タイトルだけ見れば、そのおかしさにどう考えてもギャグ路線なのかなという予想が付きます。しかし、それとは裏腹にこれはそういった類のものではないそうで、内容はどんなものだろうと気になりました。伏線回収が散りばめられているということなので、最初から注意して読んでいけばとても面白い1冊なのかなと思いました。「何か」が自分の元へやってくることを期待して読んでみたいと思います。
      PN: ryuushinn
      2020/11/23
    • tokudaidokusho2さん
      どんな本なのかなと思いましたが、紹介から読んでみたいと思いました。どのような展開になるのか楽しみです。
      mm
      どんな本なのかなと思いましたが、紹介から読んでみたいと思いました。どのような展開になるのか楽しみです。
      mm
      2020/11/24
  •  よく「小説を書くことは全裸を晒すこととおなじ」というけれど、それを完全に地で行った作品( ´ ▽ ` )ノ

     傾向はかなり違うけど筒井康隆「大いなる助走」の遠い親戚、藤子不二雄A「まんが道」の平成版( ´ ▽ ` )ノ
     キング「ダークハーフ」「ミザリー」の非ホラー版、全身小説家( ´ ▽ ` )ノ

     ためらいや恥じらい、桎梏、既成概念、道徳、しがらみ、理性、常識、良識等々からの完全脱却・人間をやめる背徳・狂界へのノーリターンダイブ( ´ ▽ ` )ノ
     それだけの犠牲を払った者の前にだけ、全裸=天使=閃きのカタルシスが訪れるんだ( ´ ▽ ` )ノ
     これは小説家に限らず、あらゆる芸術家、職人、創作者、表現者に共通する理想形、「言霊」とか「ゾーンに入る」とか「なんとかズ・ハイ」ってやつで、その究極の到達点がついに肉体まで脱ぎ捨て完全作家と化した叔母さんに象徴されているんだろう( ´ ▽ ` )ノ

     永劫回帰というか輪廻転生というか、時空を混乱させる構成が、キャラクターたちに「小説・創作本能」という呪・業・悪夢がドミノ的に取り憑いていく様を巧みに表現していると思う( ´ ▽ ` )ノ
     さらにラノベ的なキャラ配置も挿入して異色の青春小説としても成功している( ´ ▽ ` )ノ
     隠喩、寓意、文章力も一級( ´ ▽ ` )ノ
     参りました、入間くん( ´ ▽ ` )ノ

    (ブクログレビュー、あんまり高評価がついていないみたいだけど、ほんのちょっとでも作家を志した経験があるかないかで本書の評価が変わるのかな?(´ε`;)ウーン…寝食を忘れて執筆に没頭するシーンなんか、とびきり胸アツなんだけどなあ(´ε`;)ウーン…自分がもし中高時代にこの本と出会っていたなら、それこそ人生左右されていたかもしれない(´ε`;)ウーン…)


     で、だ。
     こんな傑作を書く人が、なんでまた「花咲太郎」なんてゴミを世に出したんだろう……(´ε`;)ウーン…
     あんな、小説以前、落書き同然の代物を……(´ε`;)ウーン…
     あっちを先に読んでいたから完全に不意をつかれた形だけど、もし二冊同時に買っていなければ自分が本書を読むことは決してなかったろう……(´ε`;)ウーン…
     どんな作家にも出来不出来はあるけれど、「花咲」はダメの限界を突破したクズだからなあ……(´ε`;)ウーン…
     あんなのとっとと絶版にしてほしいと、切に願う(>_<)


     もうずいぶん昔の話だけど、たしか大滝詠一のラジオ番組でゲストの植木等が思い出話をしていたのを聴いたことがある( ´ ▽ ` )ノ
    『かつてハナ肇主演の映画で「馬鹿シリーズ」というのがあって、その第三作「馬鹿が戦車でやって来る」の撮影前、安全祈願祭で神主さんが大真面目で「馬~鹿~が~戦車で~や~ってくる~」と祝詞をあげるもんだから、スタッフ一同笑いを堪えるのに必死だった』云々( ´ ▽ ` )ノ
     自分が本書に興味を持ったのはその記憶があったから( ´ ▽ ` )ノ
     ただし、元ネタの読みは「バカがタンクでやってくる」なんだけどね( ´ ▽ ` )ノ
    (秋本治がこの映画のファンで「こち亀」のサブタイトルに「バカ(りょーつ)が戦車(バトルタンク)でやって来たの巻」ってのもあるらしい。いま調べたら)
    (「馬鹿」に植木等は出てないな? 又聞き話だったのか、そもそもゲストが別人だったのか?……あんまり古い記憶だから曖昧模糊……)

    2019/10/30
     
     

  • タイトルのリズム感とインパクトはすごいなーと思う
    内容がね…思ったよりなんもなかった

  • 文体が何だか読み辛い。主軸となる小説家に絡めて複数人の話が進むんだけど、それで?ってカンジ。自分には合わないなと言う感想

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著者プロフィール

電撃文庫『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』『電波女と青春男』シリーズなどを執筆

「2023年 『安達としまむら(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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