知らないではすまない中国の大問題 (アスキー新書 162)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048688659

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  • 中国総合情報サイト、サーチナの記事を多数引用し、現代(2010年)の中国の実情・問題点を、さまざまな論点から読み解いています。
    「下水油」など、知り合いが言っていても信じがたいことが、この本に書いてあると、本当だという確からしさがあります。また、前半には政治や経済の状況も詳しく書かれていて、大変勉強になります。
    日本という国にいて他国のことを知ろうというとき、特に中国の場合は感情的になってしまう面が僕自身あるのですが、この本は非常に中立的に書かれており、ニュースなどで断片的な知識を得るよりも、よほど勉強になるし、外国のこと(政治・経済・文化)を知るために必要なことは何かまでも、垣間見えました。

  • 中国のこれまでの問題を例に中国を読み解いている一冊。


    特に日本との関係だけでなく、中国の政治の状態などについてもかいてある。

    中国政府の上にまず共産党がいて、今の胡錦濤主席は、政府や国家だけでなく、軍事に関しても権力がある点において日本の総理大臣よりも格上というか、権力が大きいということ。

    主席に相当するのは日本の天皇。
    ⇒例外的な習さんが訪日した時に天皇に会おうとしたことの背景はこれにつながる。

    最近はネットでの世論に対してもかなり敏感になっているため、様々な動きの背景には世論から弱腰と言われないように強気に出ることがある。

    日本のアニメやAVがかなり中国で人気であるということ。

    またそれに対して、中国政府は最近映画やアニメの放送に関して規制をかけているところがある。

    経済成長に関しては、成長率八パーセントを保とうとする理由には八という数字が演技がいいため。

    国民の不満の募りや貧困格差の拡大の背景には一つ前の政権で、先富論という一部が先に裕福になって、それ以外の人を救おうという政策の影響がある。

    80.90後という世代はかなり愛国主義の教育と反日感情を抱かせるような歴史的教育がなされてきている。
    また一人っ子政策の世代であるところから、勉強はできるが甘やかされてるといわれている。
    ⇒ただ四川大地震の時のボランティアなどを機に少しずつ印象が変わり始めている。

    今年、2012年に共産党の政策などを取り締まっている委員会の理事が二人以外はほぼ引退のため、かなり政府の動き方や方針が変わるのではないかという見方もある。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーー
    本 内容

    第一章
    不動産バブルと株式の急騰
    リーマンショックのあとには欧米や日本は不況に陥り、そこをいち早く脱出したのが中国
    ⇒ここぞと思い中国は経済発展のために、資金の貸出を増やす
    ⇒そのお金が投棄マネーとなり、こういう現象がおきた。
    ⇒政府がすでに投棄マネーに対して制限を定めているため大丈夫。

    2010年四月
    約一ヶ月で海外から持ち込まれたのは三兆円
    その大半がホットマネーと言われる華僑による投棄マネー。

    外貨準備高という海外債務への返却のためのお金が高くなる⇒インフレを誘発しやすい

    海外でも華僑による元買いがおこっていたため、インフレが高まった。

    人民元切り上げ
    ⇒インフレを抑えることができる
    海外からの輸入物の価格も下がる
    個人消費の活性化
    国民所得の増加傾向

    これらから海外輸出依存型から内需型の経済へと移行中。

    中国の元きりあげを拒む理由
    日本の二の舞にならないこと
    世論に弱腰と言われないため
    ⇒共産党が国を支配しており、そこが変わると国が変わるから。

    2004年から2010年までで約10倍近くまで富裕層が増えた
    大半が投機でもうけた人々



    日本のバブルと中国のバブルの違い

    日本⇒高度経済成長は終わっていた
    中国⇒日本のバブル崩壊をよく研究している
    まだ経済発展の途中であるため、売られてもそこまで売られて打撃をうけるようなことはない。


    二章

    <インターネットと若者の現場>
    中国のインターネット普及率と早さは爆発的にすごい
    九人に一人はブログを書いている

    昨今の政府の規制は多少ゆるまりつつあるものの、時にはしめるときはしめる

    インターネットユーザーの大半は10〜30代(これは、80後、90跡とよばれている)
    ⇒特徴
    忍耐力があまりなく、甘やかされ、勉強面ではかなり厳しい教育を受けている。愛国教育をうけており、抗日戦争の歴史的栄光や日本の残虐性についてかなり教え込まれている。

    ※この背景にはゆらぐ共産党主義の基盤を強固にするための措置であったといわれている

    ※インターネットと政治
    政治に対する批判などもネット上でかなりひろがっており、その世論を官僚が恐れているところあり

    ただ少数民族のことや台湾独立のことに関してはタブーになっている

    胡錦濤国家主席
    ⇒親日
    江沢民前国家首席
    ⇒この派閥を上海閥といわれている

    <Googleの撤退事件>

    中国側の言論の規制の仕方とグーグル側との意見の対立が始め
    そこから米国に寄る言論の自由に関しての批判からアメリカ対中国という構図に発展

    中国のサイトにアクセスすると香港のサイトにとぶようにして逃れるサービスをスタートしていたグーグル

    グーグルの中国でのネット産業での商売の権利の更新が近づき、香港への自動移動サービスに快くおもっていなかった中国政府と互いに話し合い、グーグルは移動サービスを停止し、権利は更新という構図で収集。

    <EC事業>
    タオバオが最大(Yahooと2010年五月から提携)
    百度と楽天が提携2010年

    日本の電化製品や子供用のスタッフが人気や中国市場の魅力から。

    2013年16兆円予想
    対して日本の規模は12兆円

    ※世界での立ち位置
    一位Amazon
    二位楽天

    <アニメ文化>
    くれよんしんちゃんやワンピース、コナン、ナルト、ドラゴンボールが人気

    主人公が幼く、かわいいものが好まれる傾向あり。

    現在は中国国内のアニメ産業保護と外国文化の侵略を防ぐ為に、外国アニメの放送を制限している

    <中国で有名な日本人>
    小泉首相、福田首相、ローラチャン、蒼井そら(av)

    日本のAVは中国で人気、その状況設定や俳優選びなどが綿密といえうことが人気の理由。

    第三章
    空母建造

    中国の造船業は世界シェアの30%をしめている

    ※背景
    経済力拡大に伴い…
    1、軍事力拡大
    2、シーレーンの確保
    したい。

    沖ノ鳥島で軍事練習をして日本と問題になった。
    ⇒日本や他の国々に囲まれおり、太平洋になかなか出れない。
    西太平洋にはアメリカの第七艦隊が待っているため、なかなか難しい。

    ※第七艦隊
    ハワイのホノルルに司令部あり。
    西太平洋とインド洋を担当、中東以外。

    排他的経済水域
    ⇒東シナ海ガス田開発問題
    2004年から続いている

    白樺は共同開発ということで同意
    他の三つは協議中

    主張する排他的経済水域が異なるため、合意が難しい。

    第三章

    中国の政治事情

    胡錦濤国家主席
    次期候補⇒習副主席
    温家宝首相=日本の総理大臣
    ※胡錦濤は軍事、司法、政治すべてにおいてトップ=天皇の立ち位置と同じ

    習服国家主席が天皇と対談した理由⇒次期国家首席だから。

    政治内での構図
    政府の上に、共産党がいる。
    共産党の中でも中央政治局常務委員会があり、九人メンバーで構成されており、五年ごとに改選される。
    2012年には、二人以外全員定年。

    北朝鮮との関係

    朝鮮戦争以来の友好関係

    背景
    中国から
    アメリカの軍がちかづくことがこわい
    環日本海経済圏がねらいで、それには北朝鮮が必要。
    北朝鮮の核保有による韓国と日本の核保有の可能性に危険視している
    中国が北朝鮮と他国との仲介役になっていることで、存在として重要にぬっているのも一応メリット。

    北朝鮮側
    これまでの支援は全部ほぼ中国
    中国のほしいものがわかっているため、わがままいってる

    アフリカとの友好関係
    ⇒スタジアムなどを無償で作っている。
    議決権獲得の問題が絡んでいる
    実際、日本のまぐろ漁が問題になった時、中国を通じて、アフリカの議決権を獲得したため、否決された。


    ビジネスチャンス⇒企業が受注して、スタッフはみんな中国からいくため。

    資源確保⇒石油、鉄鉱石、レアメタルなど

    第四章
    下水油矢印使い捨ての油や下水からとりだして、精製して、また使いまわされた油。

    出回っている油の10%くらいは下水油。

    サラリーマンの二倍の給料を得る人もいるため、根絶不可能。

    児童襲撃事件
    小学校や幼稚園が標的
    格差問題が大きいこともあり、連鎖しやすい。
    ⇒少しずつ、精神系の問題が出てきている面あり。

    おから建築事件
    マンションや家の建築が手抜き工事でできている。
    この背景には、官僚の汚職と地方財政の赤字や厳しさがあるらしい。官僚が会社を選び、そこから賄賂をもらうため、その分予算を減らしてたてる。
    ⇒四川大地震や、重慶の官僚が汚職で死刑になったことなどが例。

    人身売買の問題や売春婚
    ⇒まずしさと一人っ子政策の影響からきている

    黄砂の問題
    ⇒窒素酸化物や硫黄酸化物がゴビ砂漠やタクラマカン砂漠からくる黄砂にくっついてきてしまう。

    窒素酸化物は自動車の排気ガスからきている。
    硫黄酸化物は電力の七十%を石炭発電でまかなっているところから。

    第五章
    中国は自国よりも低い国には対応が雑。
    ⇒ベトナムやアフリカ
    とくにベトナムは非友好的な感情を抱いている。
    1中越戦争の影
    2優越心
    粗悪品を売りつける
    安価で時代遅れの商品
    ※ベトナムは政府が貧しいが民間が貧しいということとはちがう

    映画産業
    基本的に大きなリスクをとって大きなリターンを期待する
    レッドクリフなど。
    国内向けの映画がベース
    産業保護のために、洋画を制限している

    ルーペを守らない理由
    並ばない⇒計画経済でものが足りず、ルールを守っていては損をするという意識がある。

    便座がきたない理由
    ⇒警戒心の強さ

    パクリ文化
    損得感情が善悪感情や公徳心よりも上回っている
    ビジネスは損得感情。
    善悪の問題と損得の問題をごちゃまぜにしないこと。

    第一章のつづき

    中国の抱える問題
    先富論→格差拡大
    三農問題→農業、農民、農家

    西部大開発プロジェクト
    所得倍増計画
    第12次五カ年計画
    →農家へのサポートなどを増やして、個人消費をあげる
    かつ、輸出の70%をしめるアメリカなどでは、中国製品は安価で収入が少ない

    その辺も含めて、所得をさらにあげけ、さらに消費も増やして、経済を内需型にして、かつ成長もあげようとしている。また、高付加価値商品の開発にもとりくんでいる。
    例、自動車のチェリーという会社はQQという車を販売。欧州のユーロ3という基準をクリアしており、高品質で安価。

  • 記憶に新しい中国ニュースが、とても分かりやすく紐解かれてスッキリと読めました。
    尖閣諸島やその後の反日デモへと続き、東北関東大震災を経た日本との関係についても解説される続編の出版も期待したいですね。

  • サーチナ総合研究所著「知らないではすまさない中国の大問題」アスキー新書(2010)
    * SBIホールティングスの北尾CEOを取締役会長に迎えたサーチナは、04年に創設したサーチナ総合研究所をコアに、中国事業をより強く推進している。
    * 中国は09年、リーマンショックによる景気低迷から早期脱却するために、銀行の新規貸出を一気に前年の2倍である約130兆円に増やしました。日本の国家予算の1.5倍にあたる大量の貸し出しを容認した中国の狙いは、その資金によって、企業の設備投資や個人消費を促し、経済を活発化させることにありました。
    * 中国の企業は銀行から大量にかりた資金を設備投資ではなく、不動産の株式購入に費やしました。中国では、上場企業でさえ、利益の大半を本業以外の不動産や株式投資で稼いでいる例が少なくありません。
    * 日本の場合言うまでもなく政党は国(政府)の下にありますが、中国は違います。中華人民共和国憲法は、中国共産党を「中華人民共和国を指導する政党」と明記しています。国(中国政府)よりも中国共産党のほうが上に位置するのです。よく中国が中国共産党による「一党独裁国家」と表現されるのはこうした体制上の理由です。
    * 中国共産党や中国政府が、つねに民衆の声におびえている理由は、政権をいじするためには民衆の不平不満を鎮め、社会の秩序と安定を保たなければなりません。そのためには、すべての民衆をなるべく平等に豊にすることが必要です。
    * 中国政府にとって8%の経済成長の維持は至上命題です。国内の公共投資や個人投資を活性化させて経済成長を支えていく必要があります。しかし、中国の名目GDPに占める個人消費の割合は35%しかありません(2009年)。これは米国に70%や日本の60%と比べると著しく低い割合です。自動性に限度のある公共投資だけで内需を支えることは不可能ですから、個人消費の割合を高めていくことが大きな課題になります。
    * しかし、どんなに消費力が高まっているといっても、中国人1人あたりの年間消費額は12万円程度にすぎません(2009年)。日本人は1人当り222万円ですので20倍近い開きがあります。
    * チェリーのQQがすぐれているのは安さや燃費のよさばかりではありません。世界でもっとも厳しいとされる欧州の排ガス基準「ユーロ3」を満たすなど、輸出にも耐えられる製品の品質を実現しているためです。
    * 最近では、中国最大の民間自動車メーカー、ジーリーホールティングスが、米国自動車大手フォードから、傘下自動車会社のボルボを2009年12月に買収しました。
    * 自動車分野では2009年10月にトラクター製造大手の四川騰中重工機械がGMの「ハマー」ブランドの買収で合意。同12月には、北京汽車工業が同じくGMの「サーブ」ブランドの一部資産の買収を発表しました。
    * 中国がアフリカと友好関係を深めている理由は、資源確保と国際社会での対峙です。後者としては国際会議での一票が得ることができるためです。

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