雨ときどき、編集者 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 191
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048691857

感想・レビュー・書評

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  • 語学仲間と以前こんな話をしたことがある。
    「正しい翻訳は良い翻訳ではないし、良い翻訳は正しい翻訳ではない」

    まさにその事をこの物語の一部分で語られている。

    英語ですらろくに読むことができない私が洋書を買い込むのには、翻訳されていないという問題があるから。
    実際に日本語で読める本のなんと少ないことか(嘆かわしい限りだが、ノーベル文学賞を受賞した作家ですらそうだ)
    そして、また逆もそう……。
    ローマ史をテーマに精力的に作品を描いている塩野七生氏がこう嘆いている。日本語が英語並みの言葉であればと。

    私は海外へ行っても書店へ行って本を買い込むことが多い。だが、日本文学の棚にあるのは良くて数冊。ミュンヘンの大きな書店に川端康成と大江健三郎のレクラムが二冊しかないことに呆然としたことが記憶に新しい。

    前置きが長くなったが、これは一冊の書籍を翻訳する物語だ。そこには利益を追求しなくてはならない出版界の現実があり、まだまた翻訳される日本文学の少ないことが描かれている。
    サブカルチャーの部分はともかく、この作品を読みながら、それでもまだまだ日本文学が世界文学になるのは遠いと思うし、その一方で私が辞書を引きながら翻訳されていない本を読むように日本文学を読もうとする人がいまいかとも思う。
    実際、ある語学仲間に自分で翻訳すればいいんだよ、と言われたこともあるから(笑)

    ライトノベルズでこうした内容のものが出たのはある意味では驚いた。
    でも、現実は物語のように簡単じゃないんだよねと、思いながら本を閉じたのも事実。これは翻訳の大変さをわかっているが故だからです。

  • 表紙、タイトル、あらすじを見て絶対に面白い!と思って購入しました。期待以上の作品でした。巡り巡ってすべてがリンクしている感じ、挫折・達成などの物語の面白さだけではなく、日本の小説が抱える問題、世界に広めたい編集者の思いと言葉の壁、それだけではなく、翻訳者の目から見えた日本人の意図しない外国人差別という事まで盛り込まれており、本当に読み応えのある面白い作品でした。本好きの人にはぜひ読んで頂きたい。オーダーは探偵には引っかかりませんでしたが、この作品はかなりハマりました。

  • 翻訳出版て大変なのね。

  • 切なくて良い
    作家が若くして亡くなった
    ドイツの血を引く作家が残した遺言は編集者に宛てたもの…
    その思いを受け継いだ編集者が作家の思いをどう引き継いで叶えるか?

  • 出版を翻訳サイドから眺めることができる本。作者と編集者との戦いと協力にも触れ編集にかける熱い思いが伝わってきた。そしてこんなに頑張っても、売れるとは限らないのだ。

  • 海外において日本文学の現状を教えてくれる小説、のような感じですが、外国人から見る日本、というのも少々含んでいます。
    あと、翻訳の難しさも教えてくれる小説です。川端康成の「ノーベル賞の半分は、サイデンステッカー教授のものだ」という翻訳者に敬意を表す言葉から翻訳者の大切さが伺えるように、翻訳者なしに日本文学は世界文学になりえないです。
    いろいろ考えさせる小説です。

  • 翻訳の世界なんて何にも知らないし面白そうと思い購入。
    なかなか面白かったけど、ラストがちょっと納得いかないし、ルイルイが中途半端だった。こんな中途半端なら強烈っぽいキャラにしなければ良いのに。
    そー考えると樫木も、一瞬強烈に感じるけどちょっと弱かったかも。
    でも面白かった。

  • 【死去してしまった担当人気作家。その『遺言』を胸に、編集者は出版業界に無謀な戦いを挑む! 】
     出版不況にあえぐ大手出版社『仙葉書房』。そこに勤める中堅文芸編集者・真壁のもとに、一通の手紙が舞い込んだ。それは、新人時代からいがみ合いながら共に成長してきた担当作家・樫木重昂からの『遅れてきた遺言』。「真壁、俺の本を親父に届けてくれ――」。
     樫木の父親は生粋のドイツ人。日本文学は読むことができないため、作品を翻訳する必要があった。真壁は『遺言』を胸に、超マイナー言語である日本語で書かれた『名作』を、世界に羽ばたかせる決意をする。出版業界と翻訳業界の狭間で東奔西走する文芸編集者の苦悩、その行く末は……!?

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プロフィール

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